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21.5話 ギフト

すいません、ぬけてました。

 



ギンが鉄雄を転移させた事で

シオンの場所を把握したリルはすぐ動こうとしたのだが

シオンに止められる、そしてシオンは幾つかリルに指示を送る

命じられた役割を果たす為、イヤイヤながら、仕方なく造船ドックに残ったリルは

シオンと念話を交わしながら(ほぼ一方通行だが)

戦況を見守っていた


このまま、蓮がゴーレムを倒せれば良かったのだが

シオン見解では、蓮は、すぐにはゴーレムは倒さないと踏んでいた

イヤ、蓮がゴーレムを倒す方法は幾つも有るのだが

その方法を選んでいると言ったほうが正解に近いのだろう


周りに及ぼす被害を考慮すれば、単純に【ブラックホール】を使えばいいのだ

この魔法なら、ほぼ被害無く、ゴーレムは消えるだろうが

蓮の事である、紫音の作った魔法 (ブラックホール)で勝つなど

紫音に対して負けを認めている様な物である


そして、脳筋の蓮なら、単純な魔法で勝つと言うより

武力で、ゴーレムを勝 (まさ)りたいと思っているだろうと確信していた

それは、ミカに魔法の威力を制限させ、七星も制限付きで渡し

ミカに空中に浮くことも禁止し、地上戦をしている事からも頷けるのだ


だが、それも時間の問題

そのうち痺れを切らした蓮が【キレ】て周りを巻き込むほどの魔法を使うことは

紫音は分かっていたし、ミカもミーティアも分かっていた事でもある


その時の為の、リルであり、鈴でもあるが

紫音にとって、アリスが大人しいのが気がかりでもあった

本来なら、一番に突っ込んで行きそうなアリス

それが鈴と胡桃を守る為と言えど動いてないのだ


でもだ、蓮が苦戦すれば必ず動くと感じていた

そして、今の盾を失ったアリスでは

数日前に聞いたチート臭い【完全防御?】を使っても

ゴーレムの攻撃を防御できるのは1擊が限界だと踏んでいた

そう、たぶん今のアリスでは役に立たない

完膚なきまでに負けるだろう


世界の大きさ、いや、現実では有り得ない

異世界の魔物という、抗いようのない力を体感し

他人を守るとか、聖騎士とか

小さな世界で戯言をほざいていた事に気づくだろう

そして負けを認め心が折れ聖騎士と言う夢が

幻想でしか無い事を知るだろう

本当に心が折れたなら、それはそれでいい

それまでの人間だと言う事だ

ギンに記憶を消させ、元の生活に戻ってもらうだけだ


だが、心が折れても、魔物に勝てないと分かっていても

それでも、まだ立ち上がるなら、力を欲するなら

その時は、仲間に誘おうと試みる事にした


アリスを仲間に引き入れるのは

約2年後、高等部に成った辺りだと考えていた

紫音にとって、20歳前後までしか生きられなだろうし

高校を卒業したら進学はしないで、家を出るつもりなのだ

そんな事を考えると

その後、鉄雄達とチームが組める存在を仲間に引き入れていないとダメなのだ

それは、きっと蓮ではない、今回の様に手を組む事が有っても

鉄雄と蓮は、同じチームとして成り立たない

蓮に取って、この世界での仲間は【ミーティア】と【ミカ】だけだし

鉄雄にとって蓮は、紫音と言う友達の知り合いであって、友人ではないのだ


そして、なんで此処に、アリスが居るのかは、すでにどうでもよく

来てしまった物は仕方ないと

予定していた時期よりかなり早いが

機会が有れば仲間に誘おうと、リルに言いつけるのだった



そして、アリス、ゴーレムに突っ込み

自身の、慢心と油断から、ゴーレムの攻撃を喰らう

圧倒的な力と、自身の無力さから

アリスの、精神も心も体も崩れ去っていく


鈴は紫音から回復魔法は誰にも見せるなと言われていた

そして、異世界の人間である、蓮相手でも

上位の回復魔法は、生死に関わらない限り見せるなと言われているし

この場には、何をしでかしても、最後には

「まぁ、アレはチートだからな(笑)」と言われ

それを皆が納得してしまう存在がいるのだ


そんなリルに、アリスの回復は任せる

まぁ、鈴の上位回復魔法は、母親の蘭や身内同然である、鉄雄や胡桃は知っている

リルも、その事は分かっているし

そんな事は、シオンの予想の中の1つにすぎず

当たり前の様に行動を開始するのだった



リルは、ボロボロになった、アリスに近づくと

その耳元で、優しく囁く


そして、小さく震え、途切れ途切れに帰ってきた言葉に


また、めんどくさい人間が増えますね

まぁ、鉄雄さんにベタ惚れですから

シオン様には手を出さないと思いますが

手を出したら、その場で殺しましょう

それに、さっさとシオン様の指示どうり事を済ませて

シオン様のエキスを吸いに行かなければ!!


そんな事を考えながら

戦っている蓮とミカを背にし視界を防ぐ様に瞬時にアリスを回復する

回復魔法を見せない為ではない

これから行う事をその視界から隠すためである




アリスは、奇跡を体感するのだった

死に直面しボロボロになった体

激痛が続き息をするのすらキツかった体から痛みが消え

ゴーレムの攻撃を防御した、半分以上潰れ動かないはずの左手に

神経が回復し、指先までもが動き出す

それは、信じられない体験である

先ほどの、フードの娘 (こ)が、壊れた腕を回復した回復魔法

いや、その存在、実際に存在した本物の回復魔法にも驚いたが


メイドの回復魔法は、次元を超えていた

そう、それは、神の奇跡と称される程の魔法


「これは・・・・・もしかして最高位の回復魔法・・・」


「気にしないでください」


「気にしないでって・・・」


「うるさいですね

 私は一刻も早く、あの御方に抱きつきたいのですよ

 無駄口を叩く気はありませんので、話を進めさせて頂います

 まず、以前あの御方が差し上げた

 【あはん♥うふん♥】は左手に装備されていますか?」


アリスが、シオンから貰った魔法

装備の強化魔法だ、物理と魔法の切り替えができる

物理防御は【あはん♥】魔法防御は【うふん♥】合わして【あはん♥うふん♥】

人に知られてはいけない魔法名、使わなければ良いと思うかも知れないが

無駄に魔法性能が良すぎる上に、他の魔法と比べても使い勝手がいいし

一番の理由が消費魔力が格段に少ない

一度これを使い出したら他の防御系魔法など一世代前の科学魔法だと思える程だ

ただ・・・・・

その名前を変えてくれと

その魔法名を口にするのは辞めてと思うアリス


基本、魔法はデバイスで発動する科学魔法式であり

数式である、その題名が魔法名であり

使用者によって好きなように書き換える事ができるが

独自の魔法式作る人間は、魔法式を解読出来ないように開示をロックしたり

魔法名をロックし書き換えが出来なくする事はよくある話であり

シオンの、ふざけた魔法名を書き換えたいアリスだったが

ロックされた、紫音の、ふざけた魔法名は変更が不可能だった



「あ・・あぁ」


勝手に話を進めるメイドの気迫に押され

地面に、ペタンと腰を落としたまま、返事をするアリスだった


「では先日あの方が渡された【カチン!コチン!】は

 【あはん♥うふん♥】と同じデバイスに登録していますか?

 そして【ラン♪ラン♪】は右手デバイイスに登録していますか?」


「言われた通りにしている」


「それでは、あの御方から、貴方に対して

 ある贈り物 (ギフト)を、お送りいたします」


「ギフト?変態から?」


「はい、異世界の力を

 コレによって貴方は、一つ上の次元の戦いの世界を知る事となるでしょう」


『ギン、そちらは終わったのでしょう?終わったなら此方に』

(ギンは念話で呼ばれ、鉄雄の元から、蓮の視線から隠れる様にリルの手の上に転移する)  


リルは、両手を胸に宛て、静かに目を閉じると

先程までの張り詰めた雰囲気から一転し

アリスを包み込むような、穏やかで優しい温かい雰囲気となり


シオンの事を考え、頭に浮かべ、一人でトリップしていく


「私の主・・・私が最も尊敬し、愛し、この身を捧げ

 この世界で、唯一にして、ただ一つだけの価値のある存在

 あの御方に対し、この世界の全ては、頭をたれ、膝を付き

 存在を許されている事に感謝し、敬意を払うべきなのです

 あの御方無しで、この世界など成り立たないのですら

 世界の全ての事は、あの御方の掌の上

 あの御方の為に世界は存在し

 あの御方を楽しませるために、世界は回り続けるのです

 今、この瞬間、世界の裏側で

 心優しいそよ風が一輪の可愛いお花を揺らす事すら

 あの御方を楽しませる為でございましょう

 世界は理解しているのです

 この世界で最も尊き御方の事を

 ですが無知とも言える、この世界の人間は・・・

 その存在さえも確認もできず、理解もしない

 ですが、あの御方は気にもしないでしょう

 自身に仇なす存在すら受け入れ

 自身を傷つけられ殺されようとも

 笑って許し、その死すら受け入れるでしょ

 優しく、心広い寛大で、気品あふれる、すばらしき御方

 貴方も、あの御方の優しさに感謝しなさい

 この世界で、認められた数少ない人間の1人として

 この力を与えられる事に」


アリスにしてみれば

このメイド、頭おかしいのか?である

アリスにとって、変態は変態であり

宮守鉄雄の友人でしかない

それが、この世界で最も尊き御方?

体中の痛みより、笑いの方が込み上げてくる

バカバカしい戯言である


『ギン、おやりなさい』


『コン』


「ああぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・あぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁっぁっぁああーーーーーーーーーーーーーー」


ギンが、ある魔法をアリスに掛けると

突如、叫びをあげるアリス

叫びながら、アリスは兜の中で白目を向き

床に座ったまま、背中から後ろに倒れ

両手で頭を押さえ、首を振りながら、カン高い奇声を上げ続ける


その場に居た全員が、それに驚き口々に声を上げたり

叫びをあげる、アリスの側にいる、リルに念話を送る


リルは冷静に範囲念話で状況を告げる


『すぐ治まると思いますので

 しばしお待ちください

 装備も、あちらの世界の伝説級に匹敵する装備を貸し与えますので

 それくらいの、ゴーレム相手なら対峙できると思います』


『それくらいだと!!

 それに、伝説級の装備だと?』


蓮の念話がリルに突き刺さるが

いたって冷静であるリル


『1分でしょうか?

 この方が、そちらに合流するまで、ソレを倒されましても良いですし

 この方の参戦まで、時間稼ぎされても構いませんが

 ソレをレン様がミカと2人で倒される気なのでしたら

 早くしませんと、参戦者が、この方以外に1人増える見たいですよ』


『増える?宮守か?』


『ん?俺?行かねぇよ

 その代わりと言ってはなんだが

 俺の代役は、そのシスターに頼んだよ』


『シスターだと!!』


その時、10メートルはある、ゴーレムの頭の上を飛び越える青い存在があった

それは、先程まで車椅子に乗っていた、修道女姿の女性である


シスターは空中で、ゴーレムに左手を向けると【イグニス】と唱えると

ゴーレムの頭を覆うほどの大きな炎が燃え上がった

だが、ゴーレムの体は石であり

人間なら、弱点でもある目も鼻も口もゴーレムには無く

シスターの攻撃は、ほぼダメージは無く

ただその炎で視界を多少奪ったのみであった


シスターは、そのまま空中で心身宙返りしながら、身体に捻りを加え

蓮から少し距離を開けた場所に綺麗に着地する

修道服のロングスカート、サイドに入ったスリットが

スカートの前後をふわりと舞い上がらせ

その美しい美脚のラインを露にするが

黒のストッキングは、スカートの最奥を闇で隠すが

その一瞬に多くの男は視線を奪われるのだった


「なんで、味方する?」


蓮の言葉に、視線も向けず


「小宮、裏切ッタ

 小宮、クレナイ、アーミー・アーチフィジカル(軍事用義足)

 アノ、サングラス男、足動カナイ、戻シテクレタ

 足ウゴク、引キ換エ、コレ、大キイノ、倒ス」


表情も変えず、淡々と話すが

彼女も、本物の魔物と戦うのも初めてであり

その相手が、10メートルのゴーレムでは

その冷静さを欠き、緊張で手や額に汗をかくのは仕方なく

誰にも気づかない程に微妙にだが声が震えていた


サングラスと聞いて蓮の視線は鉄雄に移る

ゴーレムの死角に潜り込むように

ゴーレムの真後ろを位置取る鉄雄は

転がっている【魔物ボール】を拾っていた


『何やってるんだ!』


『え?変態に【コレ】の回収頼まれたんでな

 拾ってるだけなんだけど?

 それよか先輩、いつまでも遊んでんだ?

 相性も有るだろうけどさ

 あの変態なら、そのゴーレムに楽勝で勝てるぞ』


蓮は嫌な顔をする


石の体を持つ【ストーンゴーレム】にとって

シオンの持つ、超振動による粉砕系の武器は天敵といっていいのだ

そう、シオンなら楽勝とわ言わないが・・・

勝つ気が有るなら、勝つだろうと・・・


だが、この【ストーンゴーレム】

この世界に転生してきた蓮の天敵と言っていいほどの相手でもある

ある程度の自我が有る相手ならば、覇気や闘気で押え付けれるだろう

肉体を持つ生命なら、電撃が効かないなど有り得ない

そう、まるで、俺様を倒すだけに用意された相手ではないのか?と

蓮に思わせるほどの魔物なのだ


ミーティアもミカも

この世界で自由に魔物を扱える存在など、知る限りギャルコレルだけであり

この魔物も、ギャルコレルのジジィが用意したと薄々分かっていても

いや、この【魔物ボール】の存在は

ユーリから(ギャルコレルのグチを)聞いていた2人は知っていた

だが、聞かれなければ、言うつもりがない、ミーティアに

言えば言ったで、怒る蓮が、五月蝿いので知らぬ存ぜぬを決め込むミカだった



シスターと呼ばれた女性は

10メートルはあるゴーレムに地上戦を挑む

黒い仮面の男と、突如現れた白と黒の仮面の女の戦い方を

ずっと観察していた、そして、自分の戦う場所は地上ではなく

空である事を、確信する

そう、失った足を取り戻し

また昔の様に飛べる事を感じながら


シスターは、軽く飛ぶと、その体はふわりと宙に浮く

そうすると、いきなり空から引っ張られるように加速し

地上から10メートル近くまで飛び上がったのだ

これには、蓮も驚く


10メートル、それは地上の蓮を攻撃するために

少し屈んだゴーレムの頭の上であり


宙返りをするように、両手をゴーレムの頭部分に向ける

先程は炎であったが

今度は、ゴーレムの頭部が何かの衝撃によって弾かれた

そうとは言っても、多少頭が動いた程度である



シスターの気体操作系スキル

ゴーレムの頭を燃やしたのは、そのスキルで酸素を集め

そこに炎系の魔法を使い引火させた

そして、今度は圧縮した気体を飛ばしぶつけたのだ

人間なら、それだけで充分だったが

だが、相手が10メートルにもなるゴーレム

人間相手しかしたことのない人間にとって

戦い方すら分からない、未知の敵であった



「コレ、倒ス、方法、オ前、知ッテル?」


空中から降りてきた、シスターは蓮に向かって声を掛ける


「ゴーレムの倒し方?」


蓮が知るわけがなかった

今まで、こんな雑魚など力で踏みつけ潰せば終わっていたのだ

そもそも倒し方?とか有るのか?というのが本音である

これは、ミカとて一緒である、圧倒的な力で潰せばいい事であったのだ


そんな状況を見て、戦うことはしないが

その答えを口にするのは【鈴】だった


「ゴーレム?、要は魔法で作り上げられた魔物でしょ

 【魔核?】魔力の核となる物を壊せば動きは止まるよ

 人型ゴーレムなら、人間と同じで、胸の中心だね

 それか、全身に動きの指令を下す、人間で言う脳みそ?

 それは頭にあるから、首を落とせば?

 あ、、でも、さっき電撃でその魔力の流れを絶っても回復したから

 もしかして、魔核が動いている以上、回復するかも?

 胸の魔核を潰すのが確実かも?」


「だ・・・そうだ」


「・・・・・ワカッタ、ケド、無理

 アレ、壊ス、ズィナミ・・・パワー、タクサン、時間、イル」


ほう?力を溜める時間さえ有れば、あれを壊す方法が有るって事か

面白そうな話だが、すでにゴーレムに対し敵対行動をとってしまったからな

俺やシスターに、その時間が作り出せないのも事実か・・・


距離を取れば、魔法が飛んでくる

接近すれば、5メートル近い腕が飛んでくるのだ

それを防御でき、ゴーレムの敵対心を全て引き受ける存在が居れば別だが

蓮やミカですら、ゴーレムの攻撃を受けることは出来ず

その意識や攻撃を、分散させるのが精一杯であった


そして、ゴーレムの胸にある魔核を壊せと言うが

その高さは軽く7メートル手の届く位置でもないし

ゴーレムの懐に潜り込まないといけないのだ

鈴は簡単に言うが、そこに攻撃を当てるだけでも至難の技である


力を溜める時間もなく、だからといって逃げ出す事もできないシスター

無駄と分かっていても、再度ゴーレムに攻撃する為に

空に舞おうと準備に入ったのだが

何かに怯えるように、横に飛び退く


「ナニ?・・・・・・」


そこには、覇気を纏った蓮よりも闇に染まる存在

ドス黒く毒々しいオーラを放ち

周りの空気すらそのオーラで取り込み汚染し侵食し

闇を撒き散らすように近づいてくる存在が居た


左手に持つ禍々しい盾を地面に引きずり、ズリズリと音をたて

右手に持つ、細身の長剣も柄のまま剣先を地面に引こずりゴリゴリと

盾と剣を持つ両手をブラリと下げ、ひこずる様に歩みを進めるのだが


その盾と剣よりも

その人物は自身の体すら無理やり動かし進む

一歩踏み出す足は、コンクリートで固められた地面を割り、めり込んでいく

そしてまた一歩踏み出し、コンクリートを割る

彼女の歩く後には、地面を割った足跡と

盾を引こずった一直線の後と

剣を引こずった鞘の後が、床にジグザク上に傷を残す


蓮ですら、一歩下がりたいほどの、異質な存在

そのの視線の先に居た人物は

禍々しいオーラを放ちながら進む

聞き取れないほどの小さな声で何かをつぶやきながら


「なんで、私がこんな目に遭うのよ、バカじゃないの、あの空飛ぶ化物のブレスはびっくりしたけど、なに?ゴーレム?あのデカさって、有り得ないでしょ、一撃で体が壊れたわよ、でも、そんな事は問題じゃないのよ、あのメイド・・・・いや、あの変態か?ギフトだって?なにの魔法か知らないけど脳みそ?頭の中をグチャグチャに掻き回された感じ、死んだと思った、ゴーレムの攻撃より、死んだと、殺されたと思ったわよ、あんな思いをするなら、死んだほうが・・・いや死んでテツに素顔を見られるくらいなら、あんな苦しみでも耐えて見せるけど、先に言ってよね、私にだって準備ってものがあるのよ、いや、テツに素顔を見られずに、生き残る方法があったらって、あの変態のギフト断って回復だけしてもらえばよかったじゃない、クソ、後であの変態に文句言ってやる、それよりテツは、いつもこんな魔物?と戦っていたの?どこまで強くなれば気が済むのよ、貴方大工よね?大工ってなによ、大工が戦える相手じゃないでしょって、戦ってないじゃない、てか、あの修道女何者よ、テツがナンパしたって?冗談でしょ、いい気になってんじゃないわよ、浮かれてテツに近づくなら殺してやる、その前にゴーレムに潰されろ潰されろ潰されろ、見るも無残な姿になってしまえ、潰されろ、テツに色目を使う人間なんて全て潰されろ、アレは私の物だ誰にも手を出せて溜まる物か!手を出すなら出してみろ、追い込んでやる、私が追い込んでやる、生きるのすら嫌になるほど地獄を見してやる、外に出る事にも怯え人と話すのにも疑惑や恐れを抱くように、じっくりと闇から闇へ落としてやる、他人ヘの恐怖で息も出来なくなるほどの苦しみを与えてやる、私が味わった苦しみを、あの地獄の日々を、テツに近寄る全ての女に与えてやる、世界にある唯一の価値ある存在、それこれテツただ一人、彼が居るから私の世界は存在するのよ、テツの居ない世界になんて価値もないのよ、まずテツに口説かれた、あの修道女を殺したい所だけど、あの修道女よりも私の方が役に立つって所を、テツに見せつけないことには、あの修道女を殺すことは出来ないわ、そうまず私の優位性を示して、あの修道女に敗北感を味あわせないと、そして踏みにじってやる、弱ったところを、這い上がれないくらい叩きのめしてやる、私のテツに手を出そうなんて女は、地獄に落ちてしまえ、地獄すら生ぬるい、痛めつけて潰して、潰して潰して叩きのめしてやる・・・・・そう、あのデカ物を倒して、私の力を見せつけてやる・・・・・それにしても、体が綿の様に軽く感じるのだけど、まるで体が思うように動かないと言うか、意識に体がついて来ないわ・・・・・まるで、あの変態がくれた、体の動きが遅くなった様な、そうあの魔法は、これの為?まぁいいわ、あの変態の考えることなんて解るはずも、理解する気もないけど、この感覚は知ってる、慣れた感覚だわ、それに今なら盾があるわ、私はこれでもナイトなのよ、盾さえあれば、デカ物の攻撃なんて屁でもないわ、私の持つ魔法は、全て盾あっての事、見してやる盾を持った本気の騎士の力を、そして叩き落としてやる、あの修道女を、完膚なきまでに、ハハハハハ、地獄を、苦しみを、潰してやる、潰す、潰す、潰す、全て潰してやる・・・・・」




そう


とめどなく


何かを口ずさみながら


ただ、ゴーレムに向かって歩みを続けていく




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