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6話 疑惑

 



右手で頭の上の、ふさふさの何かを押さえ動かないように固定した男は

目の前の黒い仮面の男に対し、一言溢す


「どれどれ、一つもんでやろうかいのぉ」


そして、攻撃的な赤い髪の仮面の男もやる気であり

構えを取りながらも全身で揺れるように筋肉を動かし

これから起こる戦いに向けて適度に緊張を与えていく


蓮はゆっくりと息を吸い、右足の親指に力を込め

息を止めると同時にその力を開放し、一気に・・・・・


その時である

地震?と思われる揺れが建物を包み込み

その為か蓮の動きは急停止し

右足は大理石の上で動くことはなかった


蓮は視線を天井に視線を送る

いや、そのもっと上にいるだろう人間に向けて視線を送るのだった

同じく、ふさふさの何かを頭の上に置く人物も天井に視線を送り


「小童の仲間も、なかなかハデであるのぉ~」


「そうなんだがな・・・・

 ところで、じぃさん今のは魔法での衝撃だよな」


「そうだのう、重複し大きくなった爆撃音その反響し拡散した音から

 中級範囲の爆発系魔法科であるかいのぉ~」


「だよなぁ、アイツ等そんな魔法を隠し持ってたのかよ

 攻撃力に問題があるかと思っていたが

 きちんと持ってるようだな、攻撃用の魔法を」


「まるで、初めて手を組んだような言いようだのう」


「あぁそのとうりだ、手を組んだのは初めてだ

 まぁ、上の状況は後で聞くとしよう

 今はこっちはこっちで楽しもうではないか」


蓮は目の前の人物に目を向ける


「それはどうかのう・・・

 奴 (やっこ)さん達も、今ので動くみたいだしのう」


視線を中二階のフロアに目を向けながら、ゆっくりと後ずさりしながら

倒れた、チャイナ服の人物に近寄っていく


蓮も、その視線の先に目を向けると

そこには、拳銃を構え今にも、一斉射撃をせんとする人間達

元アメリカ軍の傭兵達のすがたがあった


「ちっ!」軽く舌打ちした蓮

その瞬間多くの銃口が蓮を狙い弾丸を吐き出した

横に飛び初撃を躱す蓮、防御の為に木刀を突き刺した場所まで

移動を開始するが、すでに木刀は存在しなかった

そこに有ったはずの木刀、軽く穴が空いた大理石の床は

先ほどまで、その存在が有った事を告示していた

再度舌打ちをする蓮


「いつの間に・・・・邪魔ばかりしやがって」


左右に腕を開き胸を張り

開いた両手に軽く魔力を溜める

そこには、先ほどと違い大きな電撃が貯まり

ソレを飛ばすように、おおきく左手と右手を交差させるように振ると

蓮の両手から吐き出された電撃は扇状の電撃となり飛んでいく

1つは、中2階に居る傭兵部隊に飛んでいき

もう1つは、1階エントランス奥で

今まさに蓮に対して銃口を向けた傭兵部隊に飛んでいくのだった


悲鳴が上がる

それは、野太い声から

まるで、女性の様な絶頂を伝える悲鳴のような物まで様々だったが

一瞬にして、傭兵達の動きは止まり

何人かの意識を刈り取には十分な魔力だった

だがソレだけでは終わらない


蓮の放った電撃は傭兵部隊を葬り去っても威力は弱まわらない

壁を這い、天井を這い、床を這う


壁を這う電撃、それは薄いガラスを割り、壁にあった張り紙を焦がしていく

天井を這う電撃は、そこにある昔照明だったであろう物を破壊しつくし

床を這う電撃は、大理石の床を広がっていく

綺麗な平面である床は電撃が走るには恰好の場所でもあった


そして、その電撃はエントランスにいた2人の人物である

身体の麻痺が完全には治らなく未だに床に伏せている女性と

それを守るかの用に立つ男性に襲いかかった



ドゴ!!!!!!


一撃、いや、一踏み


頭の上に、ふさふさの何かを乗せた男

軽く右足を上げると、床を踏みつける


それは震脚・長年の鍛錬と修練で培われたそれは

発勁を込められ、大理石の床を踏み抜き

その衝撃は襲ってくる電撃を相殺し

彼の頭の上にあった、ふさふさの何かは頭の上から10cm程浮き上がり

今まで彼?が隠し通して来た何かを蓮に披露して元の場所に戻っていった


「勁か、なかなかの【クンフー】だな源流は中国武術か

本物と手合わせするのは初めてだな

 ククク、面白くなってきた!

 邪魔な奴らは排除したぞ

 気兼ねなく相手をしてもらおうか!」


震脚によって相手の実力を理解した蓮は久々の強敵との死合だと

嬉しさを隠し通せず仮面の奥で白い歯を見せ、声を出さず笑う


だが、男も顔だけを蓮に向け、ニヤケながら言葉を紡ぐ


「それは・・・・・・どうかのう

 小童対策で、電撃耐性の装備らしいぞ

 それにな・・・」


蓮の視線は再度、中二階に居る傭兵に向く

そこには、呻きを上げながらも、徐々に動き出す存在を確認したのだった


「加減したのが裏目に出たか

 今度は電撃で焼き殺すつもりで行くか!」


「待て!」


「いや待たん!これ以上、俺の楽しみを奪うきか!

 じぃさんは、自分で防御しろよ、たかだがさっきの倍の電撃だ!」


「小童!待たんか」


「うるさいな!なんだ、さっさと言え!」


「言いにくいんだが・・・・」


「なんだ?」


「・・・・・腰を・・・・やってもうた・・みたいでのう

 う・・・動けん・・・」


「・・・・・・・・ハァ?・・・・・・・・・」


ため息と共に一気にやる気が無くなる蓮は、どっと肩を落とす

そして、動き出す傭兵たちは

蓮に対して再び攻撃を開始する

一気に飛びのく蓮だが、広いエントランスに居る以上まるで【まな板の上の鯉】

狙ってくださいと言わないばかりである

そう、蓮の目には、すでに範囲魔法を作り上げた魔法士や

手榴弾を投げようとする傭兵の姿まで存在した


蓮1人逃げるのは簡単であるが

エントラス中央で、ぎっくり腰で動けないじじぃ

そして、そのじじぃの震脚を至近距離で喰らい意識を刈り取られた女性

直撃すれば、死ぬかも知れない現状に蓮は


「見殺しにするのも、アレだしな・・・・」


小さく呟くと、意思加速し念話で


『ミカ、今どこにいる』


『ん?6階で休憩中?』


『なんで疑問符なんだ?まぁいい

 1秒後、俺とオマケを2人そこへ転移しろ』


『ほーーーい』


蓮は一気に加速し走り出す

動けなくなったじじぃを、左脇に抱え

転がるチャイナ女を足で蹴り上げ右肩に担ぎ

一気に傭兵がいる方向から後ろに飛び退くと


『ミカ!今だ!』


ミカの転移が発動すると同時に

蓮達が今までいた場所に攻撃が集中し銃弾が降り注ぎ

魔法は爆発し、手榴弾は炸裂する

そこに残ったのは、舞い上がる残骸とホコリだけであった





6階に転移した蓮

その気配に、アリスは慌てて盾を持つのだったが

鉄雄の言葉で息をなで下ろすのだった


「先輩、お土産なら食べ物にしてくれよ

 ハゲたおっさんは要らねえ」


「色々あってな、完全な敵でもないし

 見殺しにするのもなんだから拾ってきただけだ」


そう言うと、蓮は2人から手を放し、その場に落とす


「こりゃ、小童落とすやつがあるか!

 年寄りは丁寧に扱え・・・それより、今のはなんだ?」


「ちょ・・・ちょっと先輩ひどすぎませんか?」


アリスは意識を失っていた、チャイナ服の女性に近づき

仰向けに寝かすと


「あれ?、もしかして・・・・・?」


アリスは、女性の丸眼鏡とマスクを取り

ヘアピンで丁寧に固定されていた赤毛のカツラを取ると

そこには黒いショートの髪を揺らす美人が存在した


「やっぱり・・・・・メイファン先生」


「「先生?」だと?」


「ええ、高等部の体育教師のメイファン先生よ

 面識はないけれど、それなりに有名な人よ」


「ほう、どうりで見た覚えがある

 学園関係者だから俺の正体も解ったって事か」


「小童が奴の孫だからの、それとなくワシが、メイに言って

 小童と、小童の妹の情報を調べていたんだがの」


「先輩、このハゲたおっさんは?」


「その先生の師匠らしいな、ぎっくり腰で動けなくなったマヌケな姿だが」


「ハゲではないぞ!みよ!このふさふさの頭を!?

 ない!ないぞ、ワシのふさふさの髪が!」


「これか?それでは、ここに置いておくぞ」


蓮は手に持っていた、ふさふさの何かを

うつ伏せで転がっているハゲたじじぃの手の届かない所に置くと

階段近くにいた鉄雄の近くまで進み、床に腰を下ろすのだった

そして、そこに姿を現したミカ、どこからともなく

缶コーヒーや、缶ジュースを取り出し、鉄雄と蓮の前に7本ほど置くと

無言で手を振り消えていった


「とりあえず休憩だな

 それで目的の人間達はいたのか?」


「いや・・・・屋上から6階までは見て回ったが

 それらしき人間が居た痕跡はないな・・・・・

 そこの、おっさん

 この建物に女性2人男性1人が監禁されているハズなんだが知らないか?」


「先に、ワシのふさふさを返せ・・・・

 まぁ、ここに来て半日ほどたつが

 奴等・・・武装兵以外の気配はないのぅ

 それより、どういう事かいのう

 ワシは、あのバカ弟子から

 仲間を殺した人物に復讐がしたいと聞いたが?」


「やっぱり気配は無いか・・・」


「無視するな小童共、ふさふさを返せ、質問に答えろ」


「お?そうだ、何か解らんが

 俺と、あの変態の首に10億の懸賞金が掛かっているらしいぞ」


「ん?待ってくれ、その話し詳しく教えてくれ」


「小童達は、何ゆえにこんな所にきたのかのう」


じじぃは無視し

蓮は先程の鷲尾との会話を鉄雄に伝えていく

補足部分はミーティアが念話で付け足していく



鉄雄はコーラを片手に考え込む、頭の中にある矛盾を紐解こうと


蓮はジュースを飲み干した後、立ち上がり体を軽く動かす

それは溜まったフラストレーションを解消させようと


アリスは、メイファンを介抱しながら、周囲を警戒する


そして、とある男は、ふさふさの何かを掴みとろうと

床に倒れたまま腕をソノ何かに伸ばしながら

「ソレを取ってくれんかのう」とか

「なぜ、一瞬にして場所が移動してる?」とか

「さっき現れた女子は、どうやって・・・」とか

「人の話を聞け」とか

腰の痛みを抱えながら文句を言っていたが

誰もその言葉に返事をする事はなかった



「さて、そろそろ良い案は浮かんだか?」


「・・・・案ではないけど

 俺達は騙され罠にハマった事だけは理解した」


「ん?それは、初めから分かっていた事だろ

 あの鷲尾が言っていた、参謀?らしき人物の罠にハマったって事だろうが

 何を今更ソレを言う事に意味が有る?」


「やっぱり先輩は、そう取るのか

 まぁ今は・・・・

 それでいいか、話しからして参謀?ラスボス?

 なんでもいいや、そいつはこの建物には居ない

 そのへんの事情を知っているのは、鷲尾?って男だな」


「あぁ、だが気がついたら姿がなかったが

 お前は奴の居場所が分かるのか?

 なんなら(真上を指差し)アレ (ミーティア)に居場所を聞くか?」


「聞かなくても解るし

 それに・・・・

 退避や準備も終わって 

 もうそろそろ動き出す頃だろうしな

 まぁ、もうちょっと待ってな」


「「?」」


含みを入れ、小さく笑う鉄雄に対し

意味不明であるが面白そうと鉄雄の話に乗る蓮

その一方で、話しに付いて行けないアリスは沈黙を貫き通すのだった


そしてそれは、すぐに始まった

5階の階段付近に設置されたスピーカーから声が流れる


「ブラックマスク、お前達が6階に居ることは

 探知魔法ですでに分かっている

 そして、師匠達もソコに居るんだろ

 悪いが全員そこで死んでもらう」


「ミサイルでも打ち込む気か?

 それくらいで死ぬきはないがな

 ・・・・で、この声は?」


「あぁさっき下の階でゴソゴソしてたから、スピーカーでも設置したんだろ

 それに先輩、ミサイルじゃなしに爆弾だよ建物ごと潰す気だろうな

 さっきC4、プラチック爆弾を数個見つけたから

 ご丁寧に遠隔操作で起爆できるタイプだ

 ボタン1つで、この建物はぺちゃんこだ!」


「ふふふ、聞いて驚け、その建物には爆弾を仕掛けてある

 俺の手元に有る、ボタン1つで建物ごと全てが崩壊する

 神に祈る時間は与えてやる、3秒ほどな!」


「テ・・・・・テツ?」


「ん?」


アリスはすかさず身構え鉄雄の名前を呼ぼうとするが

視線の先にいるリーゼントの男は

緊張感の欠片もなく

何かの準備をするように両手でリーゼントをセットしていた


鷲尾には鉄雄や蓮達の会話は聞こえない

6階にも隠しカメラも数個在ったが

それらは全て鉄雄の手によって排除され

鷲尾は彼等の姿を想像する事しかできないが

その姿に心を踊らさせ、止めることなく彼等に言葉をかける


「あと、2秒だ!お前らの恐怖で引きつる顔が目に浮かぶわ!」


「さて、お前達とりあえず移動するぞ」


「先輩、急いで移動すると面白いものを聞き逃すぜ」


蓮は、流石に建物を破壊される前に

転移で移動しようと促しのだが

鉄雄は笑うだけである


「あと1秒、師匠悪いが長年の恨みだ苦しんで死んでくれ

 お前もだメイ!年下の癖に、いつも偉そうにシゴキやがって

 いつか強姦 (おそって)やろうかと思ってたが、もし生き残ったら

 四肢を切り落として動けなくして俺様のオナペットにでもしてやるぞ

 ハッハッハッハッハ!!」


「あのバカ弟子が!一撃・・・死ぬ前に一撃なぐらせんかぁぁ!!」


「さて、どんな反応をするかな」


「吹き飛べ!!」




・・・・・・・・・



・・・・・・・・・



・・・・・・・・・





「なぜだ!!

 なんで、爆発しない!!

 お前ら、きちんとセットしたんだろうな

 (何度も起爆スイッチを何度も押しながら) 

 クソ!クソ!クソ!なんで爆発しない!」


「ククク、焦ってやがる

 絶対勝利の瞬間に、全てに裏切られ

 どん底に落ちた人間って奴の末路は

 見えはしないが、言葉を聞いてるだけでも面白いもんだな!」


「悪趣味だけど、その通りね

 でも一言言って欲しかったわね

 さすがに本当に爆発するのかと驚いたじゃない」


「まぁ爆発しても、その瞬間に転移するからいいが

 宮守、どういうことか説明してもらおうか」


「さっき言ったように

 騙されたんだよ俺達3人は・・いや4人か

 初めに気になったのは

 俺達がこの場所に誘い込まれた事

 まるで俺達を待ち受けるかのような奴らの動き

 鷲尾って奴が先輩を待ち受けていたことから

 2人の懸賞金、合わせて20億か?

 それが奴らの・・・今回の作戦なんだろうな」


「あぁ、奴らの目的は、俺とあの変態の首で間違いないだろう

 だがだ、拉致された人間達に俺は心当たりはないぞ

 ソレをネタに俺を誘き寄せる事は無理に近いぞ」


「あぁそこの関係性だけは俺にも解らんが

 たぶん変態なら知ってるんだろうけどな」


「変態か・・・・まだ連絡付かんのか?」


「どうだろう?」(たぶん無理だろうが)


『おいティア!変態と連絡はまだ付かないのか?』


『まだだと思われます、連絡付きしだい井門から連絡が入る予定です』


「と言うことらしいが?」


「根本が違うんだよ先輩」


「ん?」


「爆弾があったと言ったよな

 設置位置から考えると、よくテレビでやってる

 爆弾でのビル破壊する、アレに近いビル倒壊をする予定だったんだろう

 そこでだ、メガネが持っていたこのビルの見取り図を思い出して

 設置位置を割り出して(天井の遥か上を指差し)あの人達に外して貰ったんだ」


「よく場所が特定できたな」


「ん?あぁ、これでも建築に関わる仕事をしてるんでな

 これくらいの建物なら見取り図を一度見れば記憶できるし

 どこをどう爆破すれば破壊できるなんて、すぐ分かるさ

 まぁ、それはいいんだ

 あの程度のC4で建物が崩壊するだろう爆弾の数は58個

 あの人達に爆弾の撤去をお願いしたのは55個

 爆発してもさほど影響のないだろう

 見つかりにくい場所の3個は教えてない

 でも爆弾は1個も爆発してない

 さあ、どういうことだろうな?」


笑うように蓮に問いかける


「ん?アレ(ミーティア)なら、その手のアイテムのサーチなら出来るから

 見つけて撤去したんでないのか?」


「その場合、俺が言わない限り爆弾の撤去はされないと言う事だけど?

 知ってたんだよ初めからな」


「知っていた?」


『ティアどういうことだ?』


『蓮様が言われたように

 その手のアイテムは私の能力で発見できますので

 撤去漏れが無いようにサーチしたところ

 鉄雄さんの指示漏れと思われる爆弾が6個ありましたので

 撤去したまでです』


「そういう事らしいぞ!!」


「6個?・・・

 まぁそう言われちゃぁ、何も言えないけどな

 幾つかの疑問は先輩も感じてるだろ」


「まぁな、気になることは幾つかあるが

 俺の興味を引いたのは  

 俺達をここに誘い出したと言う

 日本の情報屋の事だ、俺達の事を知りうるなら

 その情報収集能力はかなりの物だろう

 探し出して仲間に誘いたいくらいだ」


「あぁ情報屋か、俺達の事を知ってて当たり前だな

 十中八九その情報屋は7:3メガネだ」


「どういう事だ?あのメガネ裏切ったのか?」


「どういう事って、俺達4人(俺、アリス、蓮、ミカ)は

 メガネに騙されたんだよ、たぶん後ろには変態が居るだろうな

 鷲尾達の計画を知って変態とメガネが仕掛けた

 『その計画上ミーティアさんも仕掛け人だな

  何かの考えがあっての事だろうから深く突っ込まないけど』

 大掛かりなイタズラって所だろうな

 証拠は無いが、この場所の提供をあのメガネがしたなら

 爆弾の設置場所も、メガネがその手の企業に依頼して割り出した物だろう

 その為、爆弾が有る事も場所もあらかじめ知ってたはずなんだ

 俺の指摘が無ければ無いで何かの考えもあったんだろう

 メガネが言ってたじゃないか

 今回の作戦の完全報酬は3億ってな

 それは俺達を誘い出したメガネの取り分の3億じゃないのか?

 そして鷲尾の居場所はメガネが最初に説明した

 警備が一番手薄と言った海沿いの造船ドック

 危険度が無いと伝えれば俺達がそこに行かない事はわかってるからな

 だがビルの爆破が失敗した以上

 今まさにそこで俺達を待ち受けるために準備してるだろう

 そして奴らに指示を出していた参謀?って奴の居場所も

 拉致された人間の居場所も全てメガネが用意したとしたら

 俺達も、その参謀も、メガネと変態の手の上で転がされているって事だな

 あの変態の事だ、どこかで俺達の事を見て笑ってるんだろうな」


『その話が本当なら

 私も騙されていたと言うことでしょうか?』


『爆弾の話はメガネから聞いていたのか?』


『いえ敵の最終手段で自爆の可能性と

 全てを終わらした後の証拠隠滅の為に

 全てを爆破する可能性がるとだけ

 鉄雄さんの指摘で爆弾を存在を確認しミカと共に撤去しましたが

 1つ気になることが有ります』


『なんだ?』


『シオンさんとマリアの所在です』


『連絡が付かないとか言っていたが?どういう事だ』


『半径100キロ程度ですが

 私の念話に反応されれば、その所在は確認できるのですが

 シオンさんの反応は有りません

 同じくマリアの反応も有りません

 リルに関しては静岡で謹慎中のはずですし

 裏切ったと思われる井門は今だ横浜郊外の事務所で待機中なのですが

 マリアの力なら私とミカの魔力感知を掻い潜って

 マリアとシオンさん2人で

 近場で私達を監視する事は可能だと思われます』


『・・・・確定か?』


『どうだろうな、可能性は高くなったけどな

 どうせメガネを問いただしても口を割らないだろうが

 今回の仕事の情報はメガネからだ

 一枚かんでいることは確定していいと思っていだろうな』


「騙しやがって!・・・あの変態一度本気で殺すか・・・・」


「はっはっはっは

 先輩は、まだ分かっていないようだな

 あの変態はな、本気でバカだ!

 真面目に冗談を言う

 適当な嘘みたいな笑い話は、真実だったりする

 そして、死ぬ気でイタズラをするんだ

 俺にしてみれば、これくらいしてくれた方があの変態らしい

 だから先輩もあの変態とつるんでるんだろ

 それにな、あの変態の事だ

 まだ隠し玉はあるはずだぜ!

 きっと俺達の考えつかないほどのバカげた事がな!」


「ハッ!仕方ないな・・・・・

 その隠し玉は、俺を満足させるんだろうな!

 もしもクダラナイ事だったなら、本気で一撃喰らわしてやる」


「テツ・・・

 よく分からいけど全部変態が糸を引いてたって事?」


「さてな、あの変態がこんな面白そうな事を見逃すとも思えんし

 どっかで一枚かんでいると思って間違いはないけど

 あの変態はコッチの考えの斜め下で踊っている様な奴だからな

 とりあえずは、ある程度情報を持っている鷲尾って奴を捕まえに行こうか」


両手で髪の毛の側面を抑えながら後ろに流し

リーゼントのセットを終えた鉄雄は立ち上がり

次に待ち受ける何かに期待する


「何がどうなってるのか知らないけど

 後で全て説明してよね

 本当にもう・・・

 ライフルで狙撃されるは

 拳銃で乱射されるは

 マシンガンで撃たれるは

 魔法攻撃喰らうわ・・・

 もう幽霊や化物が出てきて驚かないわよ」


アリスは悪態をつきながらも

自分の装備を確認しだす


蓮はさっきまでと比べて雰囲気が変わってきたアリスに


「鎧女も、楽しかったんだろう?

 声が生き生きしてきたぞ!

 ふっ・・表の世界では味わえない感覚

 本物の生死を賭けた戦いだ

 心が沸き上がらない筈がない

 鎧女も非現実を願うこちら側の人間と言う事だな

 まぁ、あの変態に少しながら感謝するんだな」


「変態に?」


「あぁ、俺もあの変態に逢うまでは

 それなりに暴れまわって名前を売っていたが

 どこまで行っても陽の当たる世界だった

 まぁ、どこまで暴れまわっても

 年齢を考えれば、ガキが独りよがりだった訳だがな 

 変態と出逢ったお陰で、この世界に足を踏み入れた

 コッチの世界は楽しいぞ!

 この力をそれなりに使えるからな

 だがな、それ以上に古い友に・・・・

 絶対逢えるはずのない2人に出逢える事が出来た

 それだけは、あの変態に感謝してもしきれん

 まぁそれは余談だがな・・・」


『・・・・・・・・』

『・・・・・・・・』


「・・・・・・・・」


何かを思い出し嬉しそうに語る男に

ミーティアとミカも想いは蓮と同じであり

その感謝の想いを無言で伝える


マリアは普段見ている変態の姿を想像し


あれに感謝?テツも色々言ってたけど

シオンて・・ただの変態でしょ?

たしか魔力も魔力量も2だったはず

あんな変態に何ができるっていうの?

いくつもある蓮先輩の武勇伝・・・・・

あの【拳聖】の孫、強さは本物

テツだって、強さは本物だし

それに時偶みせる全てを見透かしたような瞳は・・・

いえいえ・・・それは置いといて

テツはあの外見から想像も出来ないほど頭がいいのよ

そんな2人に比べ、あの変態に何が有ると言うの?

嫌われ者になりたい様な姿に態度

気分を害するような、モスキート音の様な魔法を撒き散らしてるし

まぁ私は対策済みですが

あの変態から、変態とバカをとったら何も残らない気がするんだけど

まぁいいわ、それも含めて後で全部聞き出すわ


アリスが何かを決意していると

蓮は何かを思い出した用に後ろに振り向いた


「おっと忘れてた」


うつ伏せで動けなくなった、ふさふさを無くした男と

気を失って先程までマリアに介抱されていた女性に近寄っていくと


「な・・なにを・・するつもりか!」


動けなくなった男の腰に足を乗せ

小さな電気を走らす


「い!・・・ん?痛みが引いた?」


「あぁ、少し神経を麻痺させたからな

 ゆっくりなら腰を動かせるだろう

 言っとくが治ったわけではないからな

 無理をするなよ

 ついでにコッチも」


蓮は男から足を除けると

躊躇なく軽く女性の額の上に足を乗せる

彼女は一瞬頭を震し、何かに驚くとように目お開けた


「こ・・・ここは?

 師匠に・・・ティ・・・仮面の男に・・・・」


状況が理解できないメイファンにアリスは声をかけよと


「メイファン先生大丈夫ですか?」


「え?」


自分の顔に手を当てるメイファン

そこに変装用メガネやウィッグが無いことに驚き

自分の名前や身元がバレたことを理解するのだ!


「もうバレてんだよ先生よ

 詳しいことはじぃさんに聞け

 おい鎧女ソイツ達はほっとけ

 俺達は行くぞ」


「え・・・・・うん、わかったわ

 先生きよつけて帰ってくださいね

 私達はこれで」


「そうだ、じぃさん元気になったら手合わせしろよ

 今度こそぶっ殺してやる

 首を洗って待っててやるからな」


「あぁ楽しみにしとけ」


蓮は笑いながら2人に背を向け歩き出す


その横には黒いリーゼントを携える男が並び立つ


その後ろを置いて行かれない様に近づいていくアリス

その兜の奥で光る瞳には

自分の知らない世界を闊歩していく2人の男を写しだす

今まさに自分もその世界に一歩踏み込んだ事を確信するのだった


生死の賭けた戦いの世界

私が望んでいた世界

この世界でなら私は私でいられる

だけど弱い、私は弱すぎる

どれだけ修行すれば弾丸を弾けるのよ・・・

そんな話し聞いたことも無いんだけど・・・・

テツ・・・貴方・・・バケモノ?


そこにはフルフェイスの兜の下で

ぎこちない笑みがこぼれる少女の姿があった・・・・



 

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