3話 アリスの下着事情?
「・・・・・・・・何もなかったわね・・・・・」
「あぁ」
アリスと鉄雄は、何事もなく元造船所の建物西の外部階段までたどりついた
アリスとしては拍子抜けであるが
無事にたどり着いたなら、それでいいと外部階段に目をやる
それに連なってか鉄雄も階段に目をやり
屋上まで続く階段を観察し、罠など無い事を確認するのだった
「とりあえず7階だな
アリス先に行ってくれ、後ろは任せろ」
(フフフ、どんどん私を頼って)
「何か言ったか?」
「なに?わかったわって言ったのよ」
そしてアリスは、防御姿勢を崩さず階段を登っていく
普通に階段を上がるより多少遅いが
鉄雄はそれほど気にはしない
まだ、時間はさほど経っていない
あのティオーノ先輩の事だ、負けるとか失敗するとか無いだろう
紫音から聞いた話だと、先輩の雷の初級魔法ですら
先生達が使う上級の雷魔法を凌駕する
そして、あの規格外の先輩は、上位を超える魔法を使える
いや、紫音が面白がって、作った魔法であるが
蓮の試し打ちの後、その威力に紫音が笑って封印を施したらしい
まぁ本気を出せば、俺なんかが太刀打ち出来ないほど強いと
それに、リル並の能力者である、ミカさんや、ミーティアさんが居るのだ
リル1人で国を潰せるほどなのに、それが2人とか
世界大戦でもするつもりかって話しだ
今回は、アリスがいるから
仕方なしに俺は裏方に徹する事にするが・・・
アレだな、好き勝手動けないとか、ストレスが貯まるな
あぁ・・・・・そういう事か
アリスと一緒に動くとか
井門の奴の策略にハマったって事か
そう、いつもの鉄雄なら、その機動力を活かし
すでに建物に侵入し、暴れまわっているはずであるが
今は静かに階段を登りながら
井門の罠にハマった事に気がつき自分を慰めていた
「ねぇテツ、狙撃もないし、待ち受けている気配もないんだけど?」
「楽だろ、おかげでサクサク進むよな」
楽だけど、テツも少しは警戒をしてよね
それでも気になるわね
「なぜだと思う、私は建物の中で待ち構えていると思うのだけど?」
「だろうな、アリスの鎧を見て狙撃は無理だと判断したんだろう
建物に誘い込んで、一気に襲ったほうが効率的に良いと踏んだんだろうな
それと、そろそろ名前での会話は無しだ
さっき打ち合わせしたと通り、俺はリーゼント
アリスはパーカーな」
「わかったわ・・・・」
初め蓮や鉄雄は、見た目のイメージから
【鎧女】とか【派手ジャージ】と言っていたが
それを拒否ったアリスに、井門が助け舟をだし
最終的に【パーカー】と言う事になってほっとするアリス
そんな些細な言葉を交わしながら
何事もなく7階のドアの前に到着する
「ねぇコレ開けたら、ドカンとか無いわよね?」
「もしあったら、どうすんだ?」
「あっても、開けるわよ
開けないとダメなんでしょ?
私の防御力を舐めないでよね」
「あぁ、信用しているし
その鎧は普段のより大分堅そうだからな
狙撃だろうが、大砲だろうが大丈夫そうだ」
「な・・・なんでわかるの?」
「なんでって、見ればわかるだろ?」
アリスは鉄雄の言葉に驚くのだった
見れば解る?
フルプレートの鎧の上から父親のジャージを着ているから
見える鎧部分と言えば、頭に被っている、フルフェイスの兜だけなのよ
それだけで、私の防御力を見抜いたっていうの?
「なんで見ただけで、わかるのよ!!」
「・・・・・まぁ俺は宮大工の息子だからな
金属も木材と一緒で見ればその材質もわかるさ
物心着く前から家の作業場や建設現場で遊んでいたからな
物を見る目だけは有るつもりだし
ついでに言うと
今日学園に着て来ていたのが
撥水性やサビに強い加工や処理をした鎧で防御力が低い
雨の日限定の鎧だってことも、昔から知ってる」
「し・・・知ってたの」
フルフェイスの兜の下で顔を真っ赤にするアリス
アリスにしてみれば
今日は勝負下着なんだなとか
雨の日は、毎回あの下着を付けているんだろとか
言われたような物で
「なんで私の下着事情を、テツが把握しているのよ」って
叫びたいが、それは、家に帰ったらベット相手に顔を埋め叫ぶ事にするアリス
「まぁいいわ・・・・・あけるわよ」
震える声のアリスに、何かあったか?と思いながら
「まかせた」
小さく息を吐き、左手のタワーシールドを前面に構え
右手で静かに扉を開ける
剣は滞納しているで今は右手はフリーである
剣を持ったまま扉を開けることも出来るが
もし爆発系のトラップがあった場合
握りが浅くなった剣が飛ばされることを嫌ったからである
カチャ・・・・ギィィィーーーーー
何事もなく開く扉
うんまぁ空くわな、鍵も掛かってないし罠もないし
すでに鉄雄はそれを理解していた
だからこそ、アリスが扉を開ける事に何も言わなかったのだ
「・・・・・・・・誰も居ないわね・・・・」
「居ないな・・・・」
拍子抜けの2人
さほど、その理由を考えないアリス
だが、鉄雄はその考えを巡らす
自分達が侵入者であることは、すでに解っているはずであり
此方の行動を監視している人間は数人いるのは確認しているし
自分達の動きは筒抜けのはずである
なのに、目に見える範囲で7階には待ち伏せしている気配がない
それは、それで不気味であるが
鉄雄は、周囲を警戒するアリスの肩を叩き
「そのまま防御姿勢のままで
廊下を真っ直ぐ中央階段まで行ってくれ
俺はその間に隣接する部屋を見て回るわ
まぁ廊下に誰も居ないから
この階には拉致された人物は居ないだろうけど
気になる事もあるしな確認の為にな」
「わかったわ、きよつけてね」
「あぁ」
アリスは少し腰を落とし半身に構える
前面にはタワーシールドを構え
右手を後ろに引き、剣を構える
進む速度は、普通に歩く速度の約半分
建物中央にある、階段に向けて進みだした
そんな警戒をするアリスとは正反対に
緊張もせず、まるで学園の自分の教室に入るかのように
無造作に廊下に隣接する部屋の扉を開けて中に入っていく鉄雄だった
アリスが中央階段に着く頃には、鉄雄も合流する
そして、アリスにその場で待ってろと言い残し
鉄雄は、今来た建物西側と反対側の建物左側の部屋を見に歩いていく
そして、何事も無かったかのように戻ってくる
「誰かいたの?」
「う~ん・・・・ちょっと予想が外れたかな」
「予想?」
鉄雄は簡単に説明する
こういった建物を占拠し立てこもる場合
その司令塔は最上階だが
最上階である、この階には、それらしき場所はなかった
当初の予想は外れたと
ならば次の考えとしては、中央階かそれより少し上の階
または、あの先輩が屋上で暴れた為
7階から下の階に移動したか
今1階では、アノ先輩が暴れているはずだから
どちらにしろ、4階か5階に団体さんが居るだろうと
そして6階もこの階と同じく人影は無いだろうと告げ
待ち受けるは5階だろうと、新しい予想をアリスに告げると
アリスは一度体を震わせ気を引き締めるのだった
「とりあえず、6階に行って調べるかなぁ~」
「わかったわ、とりあえず6階ね」
2人は6階に降りて行き
アリスは6階廊下で壁を背にし
警戒態勢を維持する
その間に鉄雄は6階全体を調査し
何事もなくアリスの元に戻る
「さて、次は5階だな」
「そうね・・・・」
鉄雄の言葉で緊張しているのか
言葉数が少なくなるアリス
少しずつ階段を降り
5階と6階の間の階段中腹の折り返しの踊り場で方向を変える
「 (アリス)来るぞ!」
盾を持つ左手に力が入るアリス
5階の廊下の影から2人の人影が現れ
拳銃を乱射する
「な・・・・・・・・」
タワーシールドに体を隠し耐えるアリス
初めて、その盾に本物の銃弾を受けた
その衝撃は、些細なものである
アリス普段の訓練で受ける
師匠の攻撃と比べれば
虫に刺された物であるが
それが、殺意を持った攻撃なら別だ
防御に対して絶対の自信があるアリスであっても
殺意は、その防御を通り越して精神的ダメージをアリスに与え続ける
盾に隠れるアリスの後ろに無造作に立つ鉄雄
それを狙う人影は増えていき6人
元アメリカ軍人の傭兵パープル・チームである
傭兵達にとって、反撃の無い相手に対しての攻撃は気楽であり
やりたい放題であったが徐々に焦りの色が出てくる
アリスの後ろに立つことで
胸から下の防御は考えなくてよくなった鉄雄は
上半身に当たるであろう弾丸をその両手で弾く
そして、鉄雄は緻密に観察していく
相手は6人、片手に1丁づつで2丁
服の膨らみから、予備が2丁から3丁
マシンガンの様な連射ができる銃は無しか
主な武器は、ベレッタやコルト、実弾と魔法弾が使えるハイブリット
装弾数は一番多いいのでも、ベレッタ92の15発
単純計算で1人で最大5丁、80発
なら一分も耐えればスキは生まれるか
勝負はそこからだな
意思加速を使い、速度強化で弾丸を弾きながら次の動きを考える鉄雄
鉄雄の【銃】に対する知識はすでにオタク級である
目の前の元軍人や、紫音や、蓮と比べても
【銃】の知識だけはあると言ってもイイ程である
それは、カレラと言う、生粋のガンマニア相手に
何年も会話を続けてきた鉄雄だからこそである
鉄雄に向けて銃を乱射する男
右手の拳銃の弾を撃ち尽くす
左手の拳銃を撃ちながら、右手の拳銃を左胸のホルダーにしまい
腰のホルダーから、新しい拳銃をだし、リーゼントの男を狙う
両手に拳銃を持っている為、空になったマガジンを交換する時間のロスよりも
拳銃自体を変えたほうが、時間のロスが少ない
相手を一気に押し込める普通の方法でもある
だが、男も焦りで額に汗をかき、リーゼント男を狙うが
リーゼント男は、拳銃の弾をデバイス魔法で弾いている
それは情報通りではあるが、自身の目で見るまで
そこにいる全員が話し半分で信じていなかったのも確かである
すでに手持ちの拳銃も4丁目である
男は、リーゼント男の死角になる廊下に目を向け
アイコンタクトし、一気に転がるように
リーゼント男の死角である壁の向こうに消えていく
パープル・チームの男が一人減る
鉄雄の目の前には5人の男だけとなったが
その瞬間新し男が現れ鉄雄を狙うのだった
その瞬間、鉄雄は理解した
死角にまだ数人いる!
これは圧倒的物量による連続攻撃であり
俺とアリスの消耗を狙う作戦であると
そして、新しく現れた男が持つのはイングラムM11
「M11?サブマシンガンだと!」
鉄雄が驚くと同時に引き金が惹かれるM11
状況が悪い!至近距離ならば、ロックオンされる前に倒してしまうし
場所が広ければ、その射線から逃げる事もできるが
そして逃げようにも今はアリスがいる
鉄雄はそんなアリスの後ろに隠れようと体制を低くする
その時、また弾丸を撃ち尽くした男が
新しい男と入れ替わる
そして新しく出てきた男はすぐさま拳銃を撃つ
こっちはハンドガンであったが、その銃弾は魔法弾である
実弾が効かないと判断した相手は魔法弾に切り替えたという事でもある
一旦アリスの後ろに隠れた鉄雄は、打つ手を失う
激しい銃撃の中、盾を構え必死に鉄雄を守ろうと頑張るアリス
その銃撃を受けていると言う現実に、震えるも
後ろに鉄雄が居ると言うだけで、その強い意思
騎士としての揺るがない思いだけで正気をとどめていた
「守る・・・・テツを守る・・・・
どんな事があっても
死んでもテツ守ってみせる」
小声で、ブツブツと念仏のように声を震わせて口ずさむ
そんな時鎧越しであるが、暖かい温もりを背中に感じるアリス
鉄雄はアリスの背に隠れるように、姿勢を低くし
アリスの背中にもたれるように、背中合わせにうんこ座りをする
「いやぁ・・・マシンガンは無いよなぁ~~
こちとら、普通の中学生だぜ
ほんと殺す気かって言うんだよなー
で、パーカーは、どう思うよ?」
鉄雄の体温を感じて、一気にテンパるアリス
銃撃を受ける事よりも、鉄雄の体温の方が
アリスにとって大事件であった
「どどどどどどどう思うって
わわわわ分かんないわよ!
私だって、ただの中学生よ
貴方たちの常識に私を巻き込まないでよね
だいたい私は盾を構えているだけで、精一杯なんだから
もう、全て投げ出して帰りたいわよ」
「お?
思ったより元気だな
もう帰りたくなったか?」
「貴方が帰るなら、一緒に帰って上げてもいいわよ
その代わり、全員救出してからならね」
「ははは、さすが騎士様だな
そうと言ってもジリ貧だよな
相手を視界に入れないことには、俺は何も見えないしな・・・
あの拳銃バカでもいれば反撃するんだろうが
俺、銃なんて持ってないし
あぁ、さっき拾ってくれば良かった」
「なんで、あの拳銃バカの事を思い出すのよって言いたい所だけど
あんなバカでも、今なら使いようが有りそうね、フフ」
「だろ!やっぱり飛び道具には飛び道具だよな
変態に頼んで、対拳銃用の武器でも作ってもらうかな
ってことで、一旦、上の階に避難したんだが動けるか?」
鉄雄は、この銃撃を受ける最中
何気ない会話をし、アリスの緊張をほぐしていた
だが、ある意味アリスの心拍数はうなぎ登りでるが
「動けるわよ、私を何だと思ってるの
正式にはまだだけど、これでも騎士よ
動いてみせるわよ」
「わかった、タイミングは任せる
いつでもいいぜ」
動け動け動け
騎士の私が腰が抜けて動けないなんて言わせないわよ
動け動け・・・・・動いて・・・
お願い・・・動いて・・・
腰から下に力が入らないアリス
くそ・・・本当は魔法に頼りたくなかったんだけど・・
そうも言ってられない
無様でも最後まで守り通す事こそが騎士の生き方だわ
魔法【ブレイブ・ハート (勇敢なる心)】!
アリスの自身の心を鼓舞し動き出す
そんな時5階からアリス達を狙うチームは
パープルから、ベルベットに完全移行していた
その中の一人が魔法の発動に気がつき
「盾持ちが動くぞ!ビショップやれ!」
すでに、一人の男は両手を上げ頭上に魔力の塊を圧縮させ
中級であろう魔法が準備されていて
それが合図とともに放たれた
だが、アリスは銃撃の中、勇気を振り絞って立ち上がる
「10ミリ程度の弾丸なんて豆粒よ!!
私の鎧には傷すら付くわけがないわ
【シールド・パリィー】!
【カウンター・インパクト】!
ハァァァアアアアーーーーーー」
声と共に、飛んできた魔法を盾で弾き
5階廊下にいる人間達に弾き返したのだった
「に・・・にげろおおおおーーー」
「わぁぁあああああ」
「やべぇぇえーーー」
「Noーーーーー」
「に・・・・にげるわよ!!」
「ハッハハハハハハハアハ ずげぇぇぇーーーー」
ドゴゴゴゴッゴゴゴゴゴゴゴッゴゴッゴッゴ・・・・・
「ハァハァハァ・・・・
何笑ってるのよ・・・クサレリーゼント!」
「ハハハハハハ わえらえるぅぅ
ジバクって!!ジバクテロって!!
クククク・・・・・」
腹を抱えて笑う鉄雄である
「何がツボにハマったか知らないけど、いいかげんにしてよね」
「悪い悪い、奴らの顔が、もう笑えるほど可笑しくてさ
あーー面白かった」
6階の廊下に無造作に座り思う存分笑った鉄雄でった
対照的に、5階を警戒して盾を構えるアリス
「あの状況で、相手の顔見てたの?
まったく呆れた胆力だわね」
「そうか?それにしても、遠隔のカウンターあるなら
さっさと使えば良かったのに」
「そうとは、いかないのよ
大砲か戦車クラスの砲撃・魔法なら最低でも中級クラスでないと
反撃対象と認識しないように設定されているのよ
だいたい、完全物理攻撃に対してだけなら
戦車の大砲であっても私の防御は揺るがないわよ
それに出来るだけ魔力を使いたくなかったのよ
まだ何が有るか分からないし
救出まで気を抜けないでしょ」
「しってる
頼りにしてるぜ、ナイト様よ
まぁ、当分大丈夫だと思うが
今度は俺が下見とくから
ナイト様も、少し休憩しようぜ
気を張りすぎると、肝心な時に弾けて集中が切れてしまうぜ」
「貴方は緊張という言葉を知らないの?まったくもう・・」
アリスは、ため息混じりに、階段から離れ
周りを確認し、壁を背に座るのだった
*********
すこし前
5階に潜む存在は、約10人と少し
今6階から降りてくる人間を待ち受けていた
「グレー・ブラウン応答しろ」
・・・・・・・
「返事無しか・・・」
「あぁ、見つからないように潜んでいるからな
返事が出来ない可能性があるが、すこし妙だな・・・・」
「だが、確認している暇はない、そろそろ来るぞ」
先行チーム、パープルのメンバーはその両手に武器を持つ
「パープルGO!」
飛び出た2人は、階段中央に居た2人の人物に両手の武器を発泡する
それは相手の動きを止めるための攻撃であり、仲間への援護射撃でもある
その間に残りの4人は無事にポジションに着く
パープル・チーム6人での一斉射撃
盾で防御するジャージの人物に攻撃が当たらないのは解る
だが、その後ろに立つリーゼントの男に対し銃弾が当たらない
小刻みに動くリーゼント男の両手が全ての銃弾を弾いていく
その姿を初めて見るならば、恐怖し心を折られるだろうが
事前に情報を得ていた、彼等はそれを
高性能の魔法デバイスだと判断するが
一斉射撃で追い込んでいるのにも関わらず
作戦通り進まない事に、彼等は焦りだすのだった
ホワイト・ヘアの考えた作戦は
侵入者2人に対して4チーム24人での銃撃戦【クロス・ファイア】
銃撃戦と言っても5階から6階の階段中腹を使った
上下からの2チームによる実弾・魔法弾・魔法による銃撃戦
廊下での挟み撃ちの銃撃だと流れ弾による同士打ちがある為
階段の高低差と階段中央の折り返しを使った挟み撃ちであり
上下1チームずつの計2チームでの同時連続攻撃
だが、装備している銃も、それに装填している弾丸の弾数も無限ではない
その為に約1分毎に、待機している戦闘するチームを変える
今5階に居るのは、パープル・チームとベルベット・チームであり
パープル・チームは5階から階段上方向に対し攻撃を仕掛けている
ベルベット・チームは壁に隠れて、交代のタイミングを計る
そして作戦通りであるならば、6階には階段下方向に対し
グレー・チームが攻撃を仕掛けており
ブラウン・チームが壁に隠れて交代のタイミングを図っているはずである
それによって、壁役の盾を持っているジャージの人物よりも
弾丸をも捌いてしまうリーゼントの人物を始末したかったのだ
どれだけの強者だろうが、どんな強い魔法だろうが限界はある
ならば、終わりなき連続攻撃で消耗させ倒そうと
簡単に言えば、圧倒的物量に物をいわした削りである
だが、ホワイト・ヘアと呼ばれた白髪の老人
引退したがアメリカ軍の軍事顧問までなった人物である
元アメリカ軍の傭兵にとって信頼できる人物でもある
そう、彼の打ち出す作戦は、単純ながら最大の効果を打ち出す
だが、ホワイト・ヘアは、侮っていた
元アメリカ軍で構成された傭兵部隊にとって
日本という小さな島国、そこの闇組織のファイターなど
取るに足りない存在だと、それも情報だと最大でも5人ほどと言うではないか
だがだ
情報では、彼等は銃弾を弾くらしい
それはアメリカ軍が長年研究している魔法と似たものであり
アメリカ軍が喉から手を出してでも欲しい、魔法デバイスであった
それを奪えば、自軍の強化が出来るし
現アメリカ軍に、いや、アメリカ大統領に大きな恩が売れると
今回の申し出を受け、今回の作戦に参加したのだ
そう、このホワイト・ヘアは、根本的な間違いを犯していた
それは、簡単な事である、ただ単に
【ブラック・マスク】と呼ばれた人物も
【ブラック・リーゼント】と呼ばれた人物も、桁外れに強いと言うことである
いや、身体能力だけで考えるなら
鉄雄は普通の人間である、ただ【意思加速】というチートを有している
この世界において、【意思加速】は反則級のスキルである
それが有るだけで、至近格闘において達人級の相手とも渡り合えるのだから
そう、鉄雄は強かった、ただ其れだけである
7階に侵入した鉄雄は
アリスには廊下を進まさせ
自身は廊下に面した、フロアへ寄り道をする
そこに隠れていた、人物達を人知れず襲う事など
鉄雄にとって造作もないことであった
そうなのだ、鉄雄は7階6階と調べまわるついでに
傭兵チームの【ブラウン】6名と【グレー】5人を行動不能にしていた
そして、動かなくなった彼等は、ミーティアに処分されていく
ホワイト・ヘアの作戦【クロス・ファイア】は
鉄雄の寄り道によって未然に防がれた
今5階では
パープル・チームは6階に続く階段を警戒し
ベルベット・チームの6人は、被害確認を急ぐ
そして、ホワイト・ヘアの次なる作戦を待つのだった
そこには、先程までの、お遊び感覚の人間は居ない
完全なる、傭兵の・・・・いや
現アメリカ軍にも引けを取らない
何度も何度も死地をくぐり抜けてきた
歴戦の軍人達が、そこ居たのだった




