祖母との約束
相太や
相太、、。
自分の名前に反応し、ベッドから飛び起きた。記憶が少し撹乱している。そうか、、カレーライスを食べ終えて、部屋で漫画を読んでて、そのまま寝てしまったのか、、。
それにしても、身元は誰だろうか?すると臨場感を持ち、小玉しだした。
「相太、、お祖母ちゃんの部屋に来い」
声は、
父さんだ。
居間から二階にある僕の部屋に向けて、呼んでるのだ。、、オムツでも漏らしたのかな、、と自然のなりゆきで、居間へ向かいながら、はっとして立ち止まる。、、「まさか、、」。
心当たりがあった。昨日の出来事だ。けれど、原因に確信はない。『もしかして、、』という予感はある。だけど『そんなまさか』と自問自答していたからだ。
居間の障子を開けた。そこにはいつも通りの祖母がいた。祖母はベッドの上で呼吸器を装着して、いつも通りのスーはーとしていた。隣には父がいる。これはただ事ではないと確信する。祖母の足元にある椅子に座りなさいと促され、座る。対談が始まる。
「相太、、。すーはーすーはー。」
「相太、部屋にあった血だらけの服」
「、あ!それは熊に」
「熊?そんな嘘信じる訳ないだろ」
「ほ、ホントだよ。父さん」
腕を組み、僕を見下ろす。
「お婆ちゃんにとってお前は可愛いい孫なんだ。」
視線を送るおコクりと頷づく祖母。察したように結論を言い出した。
「東京に、、帰りなさい。相太」
「え、、。」
「お前は、、破った。ワシとの、、、約束をすーはー」
「、、、関わるな。口を酸っぱくして、、、、言った」目を合わせれない。
「奴らは常に、、おしはからう、、」
「どれくらいの代償を、、自分のために払えるか」
話しに耳を貸し続ける
「常におまえを虜にするために、尽くす、さらに、、際どく、、あざとくおまえの欲望を、、刺激する。」
一息おくお祖母ちゃん。父さんに軽く顎で指示する。
「母さん。それは、さすがに、」
「ならん。わしは、、わかってほしい」
事の一部始終を見ることしかできなかった。父はしぶしぶとビデオテープを持ってきた。
「見せるのは、、早すぎるかもしろん、、だが関わってしまったの、、だ。見ろ」
ビデオデッキにビデオが入っていく。テレビの画面はさざ波から始まり、白黒の動画が幕を開けた。写っているのは、、。若い女性だ。とても美しいと思った。画面に向かってピースをし、庭ではしゃいでいるようだ、、。。ドレスや紳士服を着ている貴族階級らしき人達も踊っている。しかし突然画面は変わる。
◯◯を付けたチョビヒゲのジェントルマンが食卓の上で、ハンカチで口元を拭きながら食事をしている。ナイフとフォークでお肉を食べながら、、他愛ない会話をしているようだった。
白黒で音源のない映像から、多少の不気味さを感じながら、次の画面へと切り替わると同時に眼を見開き、
「うああああ」と悲鳴を上げる僕がいた。
気がつけば椅子から転げ落ち、画面に向かって指をささずにはいられず。
これ、フェイクだよね?と二人に嘘動画であって欲しいと懇願した。
写し出されていたのは、、紛れもない。
人の手、足、耳、唇、など、、体の部位をまるでサラダのようにお皿に盛り付けられてあったのだ。
『満足か?』と促しながらビデオの電源を切る父。しばらくの沈黙の後、祖母が語りだす。
「かつて、、わしも、、とある男に恋をした。長い手足に魅惑の青い目。虜にならざる、、得ず。毎日、通った。彼らが住む屋敷に、、手作りの弁当を持って」
唾を飲み込みながら食い入るように、祖母の話しを聞いていた。祖母は続ける。
「そして、、彼ら一家が建ててくれたというツリーハウスの秘密基地で、毎日のように語りあった。気がつけば彼なしでは生きていけない人間になっていた。 夜も眠れず、彼といる時間以外は、彼の事だけを考え続けた」
先が丸くなった、途切れた腕を擦りながら一言呟く祖母。
「今思えば、その時のワシば、、熟しておったのじゃな、、」
お祖母ちゃんの目に涙が浮かぶ、、。それを支えるように、ハンカチで涙を拭ってあげる父。拳を握りしめる。
「これ以上の事は、お祖母ちゃんも思い出したくないだろう。、、相太。」
二秒程間を空け、可能な限りの威圧感を持って、忠告する。
「あの娘とは関わるな」すると、、
ピンポーン
チャイムだ。、、。
顔を見合わせる
「回覧板の日は明日の恥だが、、」
「奴らじゃ、、奴らに決まっておる。相太、お前の実を育てに来たのじゃ」
気づけばらどよりとした霧が、場の空気を汚していた。
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