自然の摂理
大岩の後ろに隠れた、僕ら二人。闘いの音は、引き続き響いている。グシャ、ガシャ、グシャ、、。そしてその勝者は熊だった。野犬達は体を引き裂かれ、ズタズタだった。しかし、そんな中、一匹の小さい野犬の息がある事に気がつく。
子犬は今にも死にそうだ。可能であるならば今すぐにでも抱き抱え、この場を走り去り、安全な場所で避難させてあげたい。だけど無理に決まっている。さっき吹き飛ばされた時に気がついた強靭な力。とても人間が勝てる相手ではない。
だから僕は女性に一言「行こうよ」と肩を叩きその場所を去る事にした。するとずっと無言だった女性がようやく口を開く
「、、たい」
だけど聞き取れなくて、僕は耳を傾けた。すると女性は僕と眼を合わせ、しっかりと一語一句話す。
「助けてあげて!死んで欲しくない」
とても強く僕に訴えかけた。だけど、、僕は頭をかきむしりながら返答する。
「あの、無理です。この血を見てよ。あいつは化物だよ」
「でも、放っておいたら、、死んじゃう」
「じゃ、どうやって助けるの?」
女性は少し考え込み、閃いたように答える
「わからないけど、、おとりになる、、とか?」
「え、、誰が?」
女性の眼は僕を見続ける。そして何となく気がつく、眼が青い事に、。ハーフかな?と意識を戻し、僕におとりになれという要求に対して意志表示をする。
「え、えーー、僕ですか?でもあの、その」
「じゃないと、、私、、」
女性はへたりこみ、グスグスと鳴き始めた。
そして涙を浮かべた青い眼で僕に視線を送り続ける。
「ワンちゃん好きだから、、」
「し、知りませんよ。そんな事。」
、。ここからはまるで同じ話しが繰り返えされた。女性はひたすらに助ける事を僕に要求し、僕はそれを否定する。とてもじゃないが付き合ってられない。
そして、ようやく納得してくれたようで、、。
「、、そう、、」と白けた顔をした。そんな攻防のなか一つの明るい希望が差し込む。
大熊がノシノシとどこかへ歩いていくのだ。どうやら子犬には気がつかなかったようだ。僕たちはほっと眼を合わせ、女性は子犬の下へ行き、抱き抱えた。すると、女性は僕を誘う。
「ツリーハウスの場所知ってるの!そこでこの子を手当てしたい」
僕は頷く、すると女性は考え込む仕草をし、そして訪ねる。
「君、名前は?」
僕は納得した。まだ名前を名乗ってなかったのだ。
「相太、12歳です。お姉さんの名前は?」
女性は微笑み蔓延の笑みで答える
「ムジェ、16歳です。宜しくね。相ちゃん」
僕は「うん」と答えて、一緒に秘密基地へと走った!。変な名前だな。、、と。少し思いながら、、。
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