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9/9

ドッチボールと敗北勝利

「春音ちゃんお願いします!」


猫山が手に持つ玉を清藤に渡す


「猫ちゃんナイスパス!」

「春音1を狙って」


愛の指示に頷くと俺に向けて穿つ


「一式」


しかし、さっきより格段に強い玉は送り返せない

ならば、予定通りに

邪道に流す


「ようやくお出番参りましたぁ!」

「早く渡せ。ノーコン」

「半分当たる!ガキ!」


清藤の玉を受けても平然としている改造人間から玉を受け取る

そして狙うは後方にいる愛

穿つ


「八式・掌破」


八式の刃を平手に変えて愛を狙う

清藤には及ばないが加速し続ける玉を追いかけ、取ることが出来る者は居ない


ズドン

なんの脈絡もないとも思える音が玉を止めた

刃のない歪な2本の矢が行った人物を物語っていた


「さすが、お姉ちゃんです」

速すぎて(・・・・)見えない(・・・・)|玉を2本

《・・・・》で止める(・・・・)。などという奇怪染みた命令する愛には遠く及ばないわ」

命令してない(・・・・・・)けど?」

「あら、忘れちゃった?私たちは以心伝心(・・・・・・・・)言わずとも分かる(・・・・・・・・)でしょう」


コイツら似た者同士だとは思ったがここまで似せるか?

世界(作者)

まあ、どうせ帰ってこない疑問は宙をさ迷いつつ

鬼塚が玉を拾った


「さあ、うちの出番や!」

「はい、俺に捕られる癒し役。待ってたぞ」

「んなわけあるか!」


清藤に軽く及ばない玉が穿たれる

それと同時に猫山くらいしか捕らえられない3秒の刹那が始まる

鬼塚の玉を殴り飛ばす

これで俺はアウト、しかし2足飛びで外野に行く

途中で越した玉は鬼塚、梓、愛を狩る。そして俺の手元に玉が来る

そして反応が出来ないほどの速さで玉を清藤に穿つ

その玉は清藤の背中に当たる………事はなく、手を後ろに回してバックキャッチされた


「ごめんね。ちょっと間に合わなかったかな?」

「いえ、予定通りです。真さんを倒せた時点でとても良かったですよ」

「うちのお陰やな!」


さてと、祝勝気分のところ悪いが


「八式」

「「「は?」」」


勢いよく穿たれた弾は清藤の背中の玉に当たり頭上を転がり邪道の足元に転がった

そして清藤の足元に転がるのは1本の矢だった


「あ、あんた、それ反則でしょ!」

「木刀持って言う言葉かねぇ?」

「だって、愛がそれを持ってようやく同じ舞台に立てるのだから持ってこいって………」

「それを承認したが俺が使用しないとは言ってない」

「…………」


清藤が何も言い返せず口パクする中。愛が俺に語る


「まさか、これ狙いですか?」

「もちろん。矢を残しといてくれて助かったぜ」

「ですが、あなたがアウトなのは変わらない」

「ここでとびきり残酷情報。邪道は半分しか当たりません。外れた場合周りのギャラリーに清藤と同等に近い豪速球がぶち当たることになるから、正義の味方は皆を守るためにコートを出ちゃうかも」


あとは言わずとも分かる。動作が遅れた瞬間。俺が何か仕出かすと宣言しているだけだ


「正義の味方とはあなたも入ってるのですか?」

「正義を語れないから悪を名乗ってるのだが?」

「そちらの不始末はそちらがすべきでは?」

「すいません。不器用ですから………」

「………」


愛も黙った。心の中では『殺したいコイツの顔』と罵っているが


「おいおい、心でキャラ崩壊してるぞ。あ、い、ちゃん?」

「うるさいですね。私、久しぶりにここまで怒りましたよ」

「なに、心を操るものとして当然のことです」

「誉めてない。胸を張るな。ムカつきます」


その時、タイミングを読めない馬鹿が焦らされるのに飽きて玉を穿つ

その振り抜いた腕は明らかに清藤に向けており、その玉は何故かギャラリーに飛んでいく

その豪速球は飛び出した清藤がバレーのようにレシーブをすることでさらに軌道を変える。俺の肩を掠り

その玉はまるで吸い込まれるように


「「「「あ………」」」」


ガシャン………ビィー!!!!


容赦なくタイマーを壊した

その呆気をとられた瞬間俺は玉を拾い清藤にぶち当てたのは言うまでもない


さてと、これで2対1

壊れたときになったブザーで起きたギャラリーもこの様子に落胆する

しかも残されているのは猫山綾のみ。この状況下で清藤が残っていない時点でキャプテンキラーに勝ち目はない


●●●


なんで私が残ったんだろう

私は足が速いだけで他は苦手。投げたところで身体測定のハンドボール投げだって15m届けばいい方

春音ちゃんには遥かに届かない

それになんで私こんな人たちとチームを組んでるんだろう

春音ちゃんは剣道が得意だけど部活動の時はかなり力を押さえてるのは分かるし、今回のことで証明された

京さんは柔道が得意だし春音ちゃんに及ばないけど力もある。それに言いたいことは言える

梓さんは弓道が得意で狙い通りに打てる。それに以心伝心で言わずとも分かる愛さんの右腕

愛さんは頭脳明晰で常に3手先4手先を考える天才。1つの情報から100の情報を引き出せると言われても驚かない

真さんはそんな人を相手にしても勝てる最強。心眼使いで何もかもを見通す人


そんな人たちと一緒に入れる資格なんてあるんだろうか?



「猫山、お前にその資格はない」


ーーっ!!

彼は平然といつも通り心無い言葉で私を突き放す


「お前みたいに意気地無しで、言いたいことは言えなくて、頭悪くて、顔色伺い人間に俺や清藤たちと入れる資格なんてない」

「そ、そんなことは………」

「あるよ。第一、心の中で有るのか無いのか自問していたくせに。自分で有ると思っていたなら、そんなことしないんだよ」

「……………」


何も言い返せなかった

言い返せない自分が憎い

私がここに居る資格がないと認めているようで辛い


「うっ………あぁ………」

「お前、俺に初めて出会った時も泣いてたな。自分じゃどうにも出来ないときは泣くのか泣き虫。人を頼ろうなんて考えが甘いんだよ」


涙が止まらない。袖で拭っても止めどなく溢れていくる

周りの視線が辛くて思わずしゃがむ

その時に玉を落とし真さんの足元に転がった


「俺の勝ちだ。負け犬」


彼が玉を拾う………ことは出来なかった



「資格なんているかぁ!」

春音ちゃんだった


「綾!私たちと一緒にいるのに資格なんていると思っているの?だとしたら馬鹿だよ!殴り飛ばすよ!資格がいるならここにいる皆「一緒にいていい資格試験」合格しないといけないの?そんなわけないでしょ?それにもしもそんな資格がいる世界があるなら私が世界を倒すよ!意気地無し?言いたいこと言えない?顔色伺い?それがどうした?最高じゃん!それだけ私たちのこと大切にしてくれてるって分かるもん。だけど、それと同時に信じてよ私たちのことを。泣いていたら助けるから!頼っていいから!私たちは仲間なんだから!友達や親友じゃあ収まらない。大切な人だから。一緒に居よ?」


「全部ぶち壊すんですね。私の気持ち」


そんなことを思っているんじゃない。そんな言葉がほしいじゃない。的外れなことを言っているけれど

その全てが暖かい


「壊すんじゃない。寄り添いたいんだよ。壊れる前に直せるように」


転がってきた玉が私の手に収まる


「幸せ者ですね。私は」

「皆が幸せ者なんだよ」


涙はまだ止まらなくて視界を塞ぐけどそんなのはどうでもいい

悲しい涙は止めたくても嬉しい涙は止めたくないから


「綾さん。2を狙ってください」


愛さんの指示。それは外野に渡すのではなく私が投げろと言う指示だった


「真が1だったから次は俺か!」


車道先生が一歩前に出る。真さんはじっと動かない

モザイクの掛かった世界が綺麗に染まるとき私は玉を投げた

その玉は私が投げたとは思えないほど強く指示通り真さん(・・・)の脇腹を抉る

取れず慌てて車道先生に流すけれど、その玉は真さんよりも前にいた先生の背中を打つだけだった


●●●


「そういうことですか」


試合終了後

まるで当たり前のように愛が俺に近寄ってきた


「今回の試合、綾さんを私たちと近づけるためだったのですね」

「さすがだな。何時気がついた?」

「綾さんを私と一緒に倒さなかった時です。あの速度なら反応は出来ても避けることも受け止めることも出来ない綾さんを残すことがおかしかったですから」

「知っていたこと、つまり清藤の様子を見て、猫山を輪の中に入れるようにお願いした俺に断られたのを組み合わせるとそういう答えになったわけだ」

「簡単でした。もう少し難解でも良かったんですよ?」

「じゃあ、そうすることで俺にくる益は?」

「言っては駄目なんでしょう?」

「………くくっ、そこまで見破られるとはな」

「そこまで含めてもう少し難解でも良かったと言ったのですよ」

「だから近寄ってきたのか?」

「いい加減お灸を据えるべきかと」

「そりゃご苦労なことで」

「早く行ってください。時間は有限ですよ」


彼女に押されて入った体育館を彼女に急かされて去った


「試合に勝って勝負に負けたと言ったところですかね」


愛の言葉は聞こえなかった


●●●


「あれ?真くんは?」


私は木刀を布に包むとしばらく体育館の中を見渡した

ドッチボールが終わり人々が各自思い思いに散らばり疎らになっても真くんは見当たらない


「ねえ、愛ちゃん何処か分かる?」

「さっきまで話してたけど行き先までは聞いてない」

「そっか………」

「それよりも部屋に戻って休みましょう?疲れてるのが目に見えて分かる」


そりゃ普通じゃなくなったのだから疲れてるのは自分でも分かる。今は反動でとても体がダルい。だけど気になることを聞きたかった


「愛ちゃん、どうして真くんは(・・・・)タイマーを(・・・・)壊した(・・・)のかな」

「何を言ってるの?壊したのは春音でしょう?」

「違うよ。狙っていたのはタイマーの横だったんだ。最初は私がミスしたと思っていた。だけど、私は確かに見たんだ。あの時、真くんの腕に掠った時、玉を少しずらしたのを」

「……………」

「あれが真くんにとって大切な事だとしたら」

「……………」

「真くんがあの猫ちゃんが残したときにギャラリーの皆を起こすことに意味があるなら」

「………だとしたら?」

「もう………分かってるんでしょ?愛ちゃんはそこまで鈍くないよ」

「ごめんなさい。気がついても皆に話さないって約束したから」

「それで充分だよ。行ってくる」


走り出す瞬間愛ちゃんが私の手を掴む

「行かないで」

何時と違う無機質じゃない心を乗せて彼女が私に願う


「私、猫ちゃんと一緒に真くんも仲間にしたいから」


その手を振りほどき私は駆けた


●●●


「これで終了だな」


「真くん!!」


清藤が大声で俺に駆け寄る


「おいおい、愛が教えたのか?」

「誰も教えてくれなかった。私が気づいて急いできた」

「そうか………でも、遅かったみたいだな」


俺の足には体操服姿の男子生徒達

全員がバレーの鉄柱やプラカードなど思い思いの武器を手にして地面に倒れていた


「なんで………なんでこんなことをするの!」

「何を言ってんだか。向かってきたのはコイツらだ。つまり正当防衛」

「仕向けたのは真くんでしょ!」


コイツらはキャプテンキラーファンクラブの1年生である。あの自転車小屋の一件からファンクラブが減少していった。俺に恐怖を抱いたからである。それで各キャプテンキラーを愛するファンクラブ達は合併し一大勢力になる程の巨大勢力と化し俺にもう一度挑もうとしていた

それに気がついた俺はこの1年生のみのこのタイミングで戦力を削ることにしたのだ

その頃に舞い込んできた猫山の相談を利用し、猫山を罵ることで猫山が好きなキャプテンキラーファンクラブの火を付けた。後は、芋づる式に釣れたわけだ


「なら聞くが、確認しているなかでも200名近いファンクラブメンバーを俺に倒せと言うのか?」

「あなた1人で駄目なら私達も手伝うわ!」

「邪魔だね。俺は団体戦が嫌いなんだ」

「でも………」

「いい加減うるさいな。このやり方の違いが俺とお前の違いだと気がつかないのか?」


正面突破と横槍


どちらが正しいか?それは素直に正面突破だろう。俺のような戦力を細かくして狩るのはリアリティーはあっても正義の味方の方法とは言い難い


「正義の味方を語れない。語れないから悪の敵なんだよ」


それが俺と清藤の違いだ


作)………秋刀魚を集めなきゃ(コソコソ)

真)おい作者

作)何かな?(さっ)

真)これは、某美少女育成ゲームではないですか?(スリ)

作)…………(ダラダラ)

真)これかな?投稿が遅れている理由?(ニコッ)


 その後サンドバッグが春音によって助けられるまで1時間

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