1/53
第青話 「青のない世界」
第三次世界大戦についてはわかりませんが、第四次大戦ならわかります。石と棍棒でしょう。
第三次世界大戦ではどのような武器が使われるかとインタビューを受け、アインシュタインはそう答えた。
事実、世界は核の熱に覆われ、人類を焼き、絶滅寸前にまで追い詰めた。
オゾン層付近には「赤い物質」と呼ばれる謎の浮遊物体が生まれ、それらのせいか、空が青くなることはなくなった。
「赤い物質」は海面にも現れ、赤潮のように海を朱色に染めてしまった。
第三次世界から3000年後
青は消滅。
かつて存在していた青をお伽話として笑う者もいれば、生涯を尽くしてそれを求める者もいた。
これは、青の概念すら存在しない世界でたった1人、青を求める男の物語である。