終わりのない歌(1)
――私は今日も、夢を見る。
――逃げることも、目をそらすことも叶わないまま。
――ならせめて、見届けよう。
――この夢の結末を。
その日、僕は道端で歌い続ける少女を見た。
誰も立ち止まってその歌を聞いたりはしない。
けれど少女はただ、歌い続けていた。
もちろん、その時の僕も例外には入らず、少女の前を通り過ぎる。
……その時の少女は、こちらを見て笑っていたように見えた。
次の日、また同じ道を通ると、少女が昨日と変わらず歌っていた。
少女はその日も、こちらに笑いかけながら、歌い続けていた。
少女は毎日、休むことなくその場所で歌い続けていた。
最初のうちは気に留めることもなかった少女の歌に、僕は段々と惹かれていった。
誰も立ち止まって聞くことのなかった少女の歌を、僕は聞くようになった。
少女は、僕が歌を聞きに来ると、話しかけることはないものの、決まって一度、笑いかけてくれた。
だから僕も、少女に話しかけることはしなかった。
僕はいつしか毎日のように少女の元に通い続けていたが、少女の歌に立ち止まる者は他に誰も居なかった。
いつまでも、一人で歌い続ける少女と、それを聞きにやってくる僕、それが僕の日課になっていた。
歌というものをあまり僕は聞かないけれど、少女の歌う歌は、好きだった。
少女はそんな僕にいつものように微笑んで僕に話しかけてくる。
「私の歌、好き?」
僕に少女が話しかけてきたのは、それが初めての事だった。




