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俺、異世界落ちの巻

 よう、みんな。 俺だ。 ちょっと聞いてほしい。 俺はいつものように朝起きて牛乳を1ガロン(約3.79リットル)飲んでから登校しようと窓からトリプルアクセルを決めたらいつの間にか知らない森の中にいた。


「……ここはどこだ?」


 ここまで田舎に住んではいないし、俺の隣にあるわらびはなんで俺と同じ身長なんだ? ここまで大きいのは食いでがありそうだが、灰汁がすごそうだし、何より固そうだ。 そう思いつつ、とりあえず皮を剥いてひと齧り。 カリカリ。


「むぅ! こ、これは!? なんという灰汁だ! マジで食えねぇ!」


 思わず劇画調な顔をしながら吐き出し、俺はわらびを投げ捨てた。 口の中が渋くなっているが、どうしたら俺自身が渋い男になれるか考えながら適当に歩き出した。


 しばらく歩いていくと幸運にも川に当たった。 そして考えはこの性格を直さないとなれないという壁に当たった。 この自分が気に入っているので仕方ない、諦めよう。


「お、川か。 喉乾いたしな。 どぉれどれ」


 俺は河原に膝をつき、まさしくネット用語にあるorzになって水を飲む。 なんという澄んだ水だ例えるならばトイレにて我慢に我慢を重ねた便意を全裸で解放したあの感じだ。 すると、川上から不穏な気配がした。


「……(クッチャ クッチャ)」


 俺がいる地点の約50メートル上流で牛のような動物が行水をしていた。 胡乱げ(うろんげ)な目線を俺に向かって照射している。


「……どうも、本日はお日柄もよく……」




 俺たちは10分ほど見つめ合いながら(牛もどきは反芻もしながら)ゆっくりした時間を過ごした。 


 さすがにあの姿勢でもやしっこの俺が10分も持つはずはなく、いい加減しびれた腕と共に下流に向かって歩き出した。 ちなみに牛もどきは子がいたようで、近場の草むらから子牛が出てきて森の中へと帰って行った。


 そろそろ太陽が真上に来た。 俺の腹の虫も騒ぎ始める時間帯だ。 何か食えるものはないかとあたりを見回す。 右手には川、左手には森、足元にはキノコ。


「おぅふ、立派なものだ」


 これは確実にしいたけであろう。 だって、傘のてっぺんに十字の白い切れ込みが付いているんだもの。 俺はキノコの専門家でもないが、本能的にこいつはやべぇ、何がやべぇってこの姿がマジうまそうなんて言っているんだもの。


 その辺に流れ着きよく乾いた流木を使って俺は焚き火を起こし、その辺の棒にしいたけもどきを刺して炙って食った。


 調味料はないのが残念だが、その代わりに濃厚なキノコのエキスが染み出てきて、うまみや風味が口いっぱいに溢れ出す。 口を開けば、このうまさが逃げると思い、体にて表現しようと踊りだすところで……




「ッは!!!」


 俺は眼を覚ました。 どうやら寝ていたようだ。 辺りを見回してみると火の消えた焚き火の跡と、一口齧った後の残る串に刺したしいたけもどき。 ……こいつの所為か?


 ふっ、どうやらこいつは人類には早すぎるうまさのようだ。 ああ、負けだ、俺の完敗だよ……。


 そう思いつつ俺はその場を去った。 背後にしいたけもどきの串焼き(齧りかけ)を置いて……。


 俺はまた下流に向かって歩き出す、さて今日は何が起きるのか楽しみだ。 そんな俺は今日も元気です。

 さぁて、次は何書こう?

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