Part Ⅳ
紅椿に連れられ、イブリースとイフリートは東山の屋敷に向かった。
中に入ると、そこにいたのは…
「子供…?」
茜色の着物を着た少女が、一匹と一人と戯れている。
…正確にいえば、一匹の猫の顔を引っ張って遊んでいるが…
「ふぉらふぉら、ふぉふぇふぇふぁふぉふふぁ」※こらこらオレで遊ぶな。
「ふえーんはなしてよー!」
そんな少女を、紅椿が注意する。
『こらこら。そんな事をして、駄目でしょう?』
「ごめんにゃさい…」
「(コイツ滑舌悪いな…)」
「(あたし等なにされるんだ…?)」
──数分後。
『ごめんなさい。また…』
「こんぐらい平気さ。師匠」
さっきまで猫だった者は、少年の姿になり、紅椿に治療されていた。
物凄い怪訝そうな顔でイブリースが聞く。
「…なあ、お前等って…」
「ん? 俺か? 俺は深緋、んでこいつが薄緋。ちなみに弟な」
「おとうと…えっ…? 妹じゃ…」
「僕は男だよ!!女顔だけどッ!!!」
「あ、自覚あるんだ…」
「ひどっ…」
そんな会話をしていると、背後からあの少女が…
「…きゃー!」
「うおっ!?」
「姉さん!?」
イブリースの方にあの少女の脅威が襲いかかった。
…無邪気な少女は、時に残酷である。
「は、放せー!!」
「あそぼ、にぇこのおねーちゃん」
「嫌だ!…って、え?」
「あそんでー」
にぇこのおねーちゃん…つまりは、猫のお姉ちゃん。
だが、そんなことは…
「お、お前…俺のことどう見えてる?」
「? あのねー、にぇこのみみがあたまにある、おっきなおねーちゃん」
猫の耳が頭にある、大きなお姉ちゃん…と言いたいのだろう。
その姿は、おそらく本来の自分の姿…。
『…その子は、強力な魔力を持っているもので…
おそらく、貴方の本来の姿が見えるのでしょう』
その言葉を聞いてイブリースは納得した。
そういえば、少女の言葉は一応通じている。
『…さて、此処で修行をするなら、此処での名前を決めねばなりません』
「名前、ねえ…」
『…もし良かったら、私がつけても宜しいのですが』
「じゃあ、あたしは頼む」
「俺は…」
ふと隣を見ると、少女が真っ直ぐ自分を見ている。
赤い目…。
「…紅蓮…」
『…』
「…俺は、……紅蓮」
『…それが、貴方の名前で宜しいですね』
「………ああ」
──それから数年後…
『…なんてことがあったんだ』
「へぇ、カレンちゃんとの出会いかー」
『おっと。言っとくが誰にも言うんじゃねえぞ。
特にあのガキにはな』
「ハイハイ…って、いい加減やめてあげたら?」
「…あれ、先輩? それに紅蓮まで何話して…」
「ナイショ♪」
「…?」
かなり雑な最終回に…