Part Ⅱ
「お、おいおいおいおい…これは夢か? 何かのドッキリか…?」
「姉さんこれ現実。まあ小説だけど」
「まさかお前がそんな発言するとは思わなかったぞ!?」
イブリースとイフリートは、現状が理解できずにいた。
(あーもーうるさいからさっさと話し進めてくれないかな…?)
ここで、あることを思い出した。
──この魔法は不安定なもので、『仮の姿』に変化させられてしまう可能性があります…
「…なんてことを、フレアが言っていたな…」
「そういえば…そうだった…」
なんとか落ち着きを取り戻した二人は、とりあえずあたりを探索することにした。
────────────────────────
「…それにしても、森だらけだな…」
「あたし達の国は石と松明ぐらいしか見たことなかったからな…」
『うわあああああ!!!?』
「「あ、人だ」」
どうやら二人が会話中のところを、たまたま通りかかった里の者らしき男が目撃してしまったらしく、謎の悲鳴を上げながら逃げていく姿が見えた。
「…なんだあれ?」
「…さあ?」
(ていうか、猫が宙に浮いてるとか普通ありえんだろ。常人ならSAN値下がる(と思うぜ))
しばらくして、男が仲間を呼んで二人を指さして何かを言っている。
「…なぁ、なんて言ってんだろうな」
「…さあ?(ん、あたしこれしか言ってない?)」
一人の男が、二人の前に出てきて何かを唱え始めた。
そして突然大声で何かを叫んだ。
しかし、なにもおきない。
「…お前、何がしてぇんだ?」
あきれたような眼でイブリースが男に言う。
その時…
二人の前に、妖狐と妖狼が現れる。
『…______』
『____、________』
「…______」
妖狐と妖狼に何かを言われ、男たちは里に戻って行った。
「お、おい…なんだよ、一体」
「訳が分からない…」
二人が困惑していると、突然二匹が二人を摘み上げて背中に乗せる。
「なっ、何だよいきなり!!」
『うっさいなぁ、静かにしとき』
「うおっ!?喋った!?」
「姉さん姉さん、今の姿じゃあたし達も似たようなものだよ」
※ちなみにイブリースはメッチャ混乱している。
混乱しているイブリースに、二匹が言う。
『安心せい。ウチらは捕って食うたりせえへんから』
『私たちは、あなた方を保護するだけです』
「はあ…っていやいやいや、ちょっと待て。お前ら誰だよ」
『それはウチの屋敷で話すわ』
「何故に後回しだ」
そんなことを言っている姉と反対に、イフリートは妖狼の上で寝ている。
「コイツ…寝やがったな…!!」
『通りであんま煩ない筈やな…(助かるわ)』