§ 魔法
○魔法についての概要
精霊・神霊・魔物等の霊的存在の力を借りて摂理から外れた現象を発現させる、FOにおける異能力の代名詞の一つ。力を持つ言葉を媒介にして霊的存在との交感を行い、魔力を対価に摂理へ干渉して様々な事象を引き起こす。存在そのものが霊的存在である精霊・天使・魔物や、自然に近く精霊との交感が容易な人・獣・竜、人工的に強力な霊的機能の拡張が施された機械など、魔力の霊的制御能力を持つ種族であれば誰にでも使える技術として確立している。
○魔法システムについての概要
戦闘システムの中核を担う戦術的要素。各武器カテゴリ以外で唯一熟練度に対応している育成要素の一つでもあり、レベルや熟練度だけでなく種族によっても習得できる魔法の種類や数は変動するため、個々人で習得魔法のレパートリーは大きく異なる。一般的な魔法の印象そのままの使用感を重視し、基本的に詠唱・発動・実効の三つのプロセスを踏んで使用する形になっている。魔法はその効果範囲や効果の程度から等級と位階の二要素で分類されており、同位階では等級が高いほど、同等級では位階が高いほど強力とされる。
●位階と等級
《位階》(第一位階~第十位階)
魔法によって干渉する摂理のレベルによって定められた順位。基本的には各属性の中でより強力な自然現象・自然災害ほど高い位階に設定されている。種族ごとの習得可能魔法の差はこの位階によるところが大きく、第十位階魔法になるとごく一部の最上位種族に加え、条件次第で例外を認められた種族が行使できるのみとなる。第九位階までの魔法であれば、最も多数の魔法を使えるのはレベル・魔法熟練度によって習得可能魔法数が変動する人間種である。
《等級》(第一等級~第十等級)
魔法によって制御する霊的エネルギーの量によって定められた順位。霊的エネルギーの量は物質的なエネルギー量や消費する魔力量とは関係なく、干渉する摂理を司る精霊の格によって変動する。基本的に各位階の中で定められた順位であり、環境条件や相性にもよるが十等級の魔法はその次の位階の一等級の同系統魔法に劣るという意味でもある。位階とは違って種族ごとに覚えられる等級に制限はなく、第一等級が習得可能であれば同位階の第十等級まで習得可能である。
●魔法の使用プロセス
魔法の使用と実効処理は基本的に口頭による発声によって行われる。故に水中や高熱気体・毒性気体の充満した空間など発声に支障を来す環境では発動が困難だったり、魔法の種類・性質によっては背景的に魔力が存在しない環境で発動できないものがあるなど戦闘手段としてはやや脆い一面もある。
・第一段階《詠唱プロセス》
各魔法固有の起動文“呪文”の詠唱。各起動文の第一文節の詠唱確認時点から判定が始まり、途切れさせることなく詠唱を完遂することで発動プロセスへ至る。種族資質によって、このプロセスを中断・再開、果ては短縮や省略のような魔法発動の前提条件すら覆す使い方ができる種族も存在する。
・第二段階《発動プロセス》
各魔法固有の実行文“魔法名”の詠唱。詠唱プロセスと発動プロセスの間にはわずかながらインターバルが設けられているが、詠唱プロセスで必要な“呪文”に比べて発動プロセスで必要な“魔法名”は短いため、基本的には詠唱プロセスに続いて行われる。この次段階の実効プロセスを確定付けるものであり、発動プロセスが終わればどのような形にせよ魔法の効果は適用される。
・第三段階《実効プロセス》
魔法の最終段階。第二段階終了時点で確定した魔法の効果処理の段階であり、このプロセスに至った魔法は魔法の効果そのものや結果となる現象を無力化・相殺する環境要因・空間支配系スキル以外では魔法の効果は無効化されない。ただし、コストである魔法の消費や対象の指定などはこの段階で行われるため、消費に足る魔力がその時点で残っていなければ不発に終わり、対象の指定に失敗すれば見境なく周囲に影響する可能性もある。
(例)第二章『クラエスの森―辺境の変人―』(18)『防御率10』より
”第六位階魔法第九等級『稲妻の雨』”
《詠唱プロセス》
其は金を駆ける者なり
其は空を下る者なり
其は火に似て火に非ず
火を以て人の目に顕る
天の怒りを示す者なれど
その災いは分け隔てなくあらゆるものに降り注ぐ者なり
我が命に降り
我が元に下れ
疾風に連なる大気の嘶きよ
《発動プロセス》
『稲妻の雨』
《実効プロセス》
現象:対象のモンスターの頭上に魔法陣を出現させ、最初に頭上から無数の雷槍を落とし、対象の全ての破壊可能部位を完全破壊する。その後、モンスターが死ぬか効果範囲から移動するまで魔力を消費してその場に雷槍を落とし続ける。
●固有魔法
ユニークスキルと同様に、FOフロンティアで一人しか習得できない魔法。ユニークスキルに比べて数は非常に少ないものの、全ての固有魔法が例外なく同属性系統でも頂点に立つ非常に強力な魔法である。それ故に詠唱には全魔法の中でも特に長い呪文を要し、詠唱が終わっても実効プロセスに至るまでにやや時間がかかる。必要な魔力量も他の魔法に比べて格段に多い。必要な魔力量に足りなければ魔法の行使後に行使者の体力を魔力に変換して食らい尽くすこともある。その規模から世界魔法・絶対の摂理などとも呼ばれる。
(例)本編未登場
”第十位階魔法第十等級『存在の完全消滅』”
《詠唱プロセス》
我が身に降りよ、虚無の具現
我、万難を排す者なり
我、万物を厭う者なり
我、万象を壊す者なり
我、万感を灌ぐ者なり
其は汝らの袂には在らず
其は理の外より汝らを見下ろす
其は原始の帳にして終焉の深淵
究極の孤高に揺蕩い
孤独の中で永遠に微笑む
眼光にて万物に真実の滅びを齎し
息吹にて万象に永劫の救いを与える
其の前では万理が戦き 望みのままに自ら潰える
光あれ闇あれ聖もあれ邪もあれ
されど一切合切は其の前では等しく滅び得る定めの遊戯
来たれ虚無の波動 其は何物も持たぬ空虚なる帳
来たれ破滅の光脈 其は何者も拒まぬ寛大なる祝
回帰せよ 泡沫の世は儚く酷い
其は何物も持たぬ故に何者も拒むことはない
土は土に 灰は灰に 塵は塵に
滅びは今此処に在り
《発動プロセス》
『存在の完全消滅』
《実効プロセス》
現象:周囲に強力な停止結界を発生させ、万物万象の動きを停止させる。その後、結界内の自身を除く全ての存在を破壊し、空間ごと消滅させる。あらゆる防衛手段を回避して影響を及ぼすため、発動自体を阻止する他に逃れる術はない。