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#7

 建物から出て来て、すぐに周囲を見渡した。


 身長がビルよりも遥かに高い怪獣は3秒もあれば見つけられる。

 場所が悪くなければ基本どこからでも見えるのだ。


 そして、見つかったのはカニ型の怪獣だった。


「とりあえずわたし達は避難誘導をするから、怜太郎君は怪獣の方をお願い! 倒せる?」


「30秒あれば余裕だ」


「え?」


「”クイッカブル”」


 全身に強化魔法をかけ、地面を強く蹴り、跳び上がる!


 僅か1秒で数キロ先の怪獣の目と鼻の先まで接近した!


 そしてそのまま、カニ型の怪獣を蹴り上げる!


 怪獣は空中で何十回も縦回転をし、そこに再び一撃を加えた!


 カニは異常な加速をしてそのまま宇宙に放逐されたのだった!


「……よし、終わり。”スローアブル”」


 ゆっくりと減速しながら落下し、そのまま地面についた。


 幸い、怪獣が現れた地点は人々がすでに避難しているため、地上に降りてから目立つ事はない。


 あんな目立つ事をして今更だとは思うだろうけど、どうせ今のカメラ技術じゃ俺の姿をまともに捉えられようはずがない。


 それこそ、偶然スーパースローカメラで撮られてないと。


「先輩! さすがです!」


 ゴミ箱から恵鞠が飛び出してきた!


「え? え? 早くない? もう追いついたのか?」


「ふっふーん! 恵鞠を舐めないでください!」


 なんというか……うん。凄いやつだ。



「ほう、どうやら大分な力を兼ね備えたような奴だね」


 突然、背後から1人の男が近づいてきた。


 メガネをつけ、白を基調とした和服を着た、水色髪の男だ。


「なんだお前」


「僕はミヅカキ、エンネイティアの1人さ」


 そう言って、彼は懐から本を取り出した。


「エンネイティア!? ……ってなんだっけ?」


「先輩! エンネイティアはいわゆる怪獣をこの世に排出してる元凶的なアレです!」


「なるほど」


 恵鞠は俺の目の前に立って、ミヅカキたる男を指差す。


「先輩に近づきたければ、まず一番弟子の恵鞠を倒しな!」


 弟子を取った覚えなんてない!


「そうか、君なら果たして肩慣らしになるのか……?」


 男はペラペラと本を捲ると、とあるページでバシッと止めた。

 すると、本のページから水の球のようなものが姿を現し始める。


「”ザバァスピア”」


 そう彼が言うと、水の球から幾つもの水弾が飛ばされた!


 それが当たった地面は強く抉られ、数百メートル先のビルも立ったの一撃で大穴が空いた!


 恵鞠は軽い身のこなしで避け、男に近づく!


「恵鞠キィック!」


 彼女は彼の顔面に向け、強烈な蹴りを放つ!


 しかし、彼は涼しい顔のまま片手で攻撃を受け止めてしまった!


「えぇ!?」


 彼女が動揺した隙に、水弾がその足に直撃する!


 なんと、彼女はそこから5メートルも上に撃ち飛ばされた!


 足は抉れなかったが、多量の血が溢れ出す!


 そこから2秒宙を舞った後、地面に衝突した。


「恵鞠!」


「人間は無力です。だから、こんな簡単な魔法一つで負けてしまうのです」


 男は淡々とそう言った。


 そして、再びパラパラとページを捲る。


「”ザビィァボム”」


 巨大な水球がページ上に現れ、それが俺に向かって放たれる!


 水球は、巨大な爆発を起こし、周囲3メートルほどの巨大クレーターができた。


「ふ、死んだか」


「さっきのカニの末路を見ておきながらその程度の算段か?」


 俺は、クイッカブルの加速によって、すでに彼の後ろに立っていた。


 先ほどの恵鞠のような蹴りを、彼の顔面めがけて放つ!


 彼は反応しきれずに直撃し、その頭蓋が粉砕する音が鳴り響いた!


 そこから、彼は勢いよくぶっ飛ばされ、ベンチに衝突してその勢いはようやく治った。


「クソッ! よくも僕のこの顔に傷を!」


「うるせーばーかばーか! これが戦いの世界だよ!」


 彼はゆっくりと立ち上がる。


「くっ、ノープランで来たのが間違いだった! 今は退散だ!」


 彼はノートをパラパラ捲り、とあるページで止めると、空から滝が彼に向かって降り注ぐ!


 滝が収まったとき、彼はもう消えていた。


「あーもうなんでエンネイティアの輩はすぐ逃げるんだ!」


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