#32
「”ノマリディアブル”!」
ブラックホールのような衝撃、質量を持った拳が、その顔面に向け放たれた。
……しかし、望むようなダメージは与えられなかった。
顔面装甲が凹んだ。それだけ。
確かなダメージだ。ただ、それでも一撃必殺。
もう、2発目はない。
……終わった……のか?
打つ手はないのか……?
右手がミイラのように干からびた俺は、もう力無く落ちていく事しかできなかった。
嗚呼、死ぬのだろう。
魔王だって、所詮は遊戯で戦っただけだ。
この力では、実力では倒していない。
最後に旅行……行きたかったな……
ゆっくりと、目を閉じ……
『せんぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!』
落ちる俺の体を、大きな鉄の手が受け止めた。
全長、たったの40メートル程度のロボ。
いや、十分デカいとは言えるだろう。
コックピット席からひとりの少女が出てくる。
……恵鞠だった。
「先輩! 元気出して! 血飲む!? 飲みます!?」
「う…うるさい…耳に響く」
彼女に介抱され、起き上がる。
「完成しました! 例のロボが! 5人操縦の超強力なやつが!」
彼女は俺をコックピットの中央席に座らせ、彼女自身の血を少量飲ませた。
ミイラのように細くなっていた腕が生気を戻す。
「怜太郎さん! 俺たちが来たからには!」
「もう安心だ!」
「だ!」
3バカパイロットはコックピット内の左右にある席に座っていた。
明らかに最初の人が喋りすぎて3人目のセリフ無くなったな。
「先輩、5人で動かしますよ! いや、6人で!」
言須が腕時計から出てきて、搭乗中のロボに乗り移る!
「プログラム、オールオッケーだ!」
「エネルギーが何倍にも膨れ上がってる!」
「これが霊魂の力かよ……大したもんじゃねぇか……!」
全長40メートルほどのロボに、同じくらい巨大な鉄の翼が生え、そこから虹色のエネルギーが噴射される!
「右手にはレーザーカッター!」
「左手にはエネルギー弾!」
「その両肩にはエネルギー砲だ!」
ロボは完全形態へと着々と近づいていっている!
「先輩! そのモニターに手をかざして!」
恵鞠の指示通り手をかざすと、俺の両手にパイプのついた注射器が接続され、何かのエネルギーが絶え間なく注入される!
「な、なんだこれは! 力が溢れ出る!」
「恵鞠やロボのエネルギーです! 先輩にはトドメをお願いします!」
「お、おぉ!」
俺は席につき、ゆっくりと体を休ませた。
『そんな小さな機械で何ができると言うんだ!』
「世界を救うことができるんですよ! この小さな機械で!」
ロボは左手から何百発ものエネルギー弾を弾丸のように飛ばした!
その1発1発が強大なエネルギーを持ち、敵の機体に甚大なダメージを与える!
着弾点は爆発し、派手な花火のようだ!
『この程度ッ!』
敵は手を振るう!
その風圧で東京の1区を丸々更地にしてしまいそうだ!
しかし、その風をものともせず、軽々と避けてみせる!
「俺たちのレーザービーム!」
「街を守る魂だ!」
「受け取れこのデカブツ!」
肩に積んだ二つのエネルギー砲から白い極太レーザーが放たれる!
2本のレーザーは薙ぎ払うようにロボの両方を切断する!
「そして俺らの!」
「全てを断ち切るレーザーカッター!」
「ドーンと喰らいやがれ!」
一瞬にして間合いを詰め、敵のその首にレーザーカッターをブッ刺した!
「先輩! ヤツの弱点は頭です!」
コックピットが開かれる!
「後は任せろ……絶対に決めてやる!」
注射針を抜き、コックピットから飛び出した!
レーザーブレードの上を走り抜け、敵の顔面に一気に近づく!
「喰らえ! 俺たちの……!」
拳を振り上げる。
そして、全身全霊で振り下ろした!
「ノマリディアァぁぁぁぁ! バァストォぉぉぉ!!!」
最後の一撃、その風圧だけで天の雲に大穴を開ける!
そんな一撃が! 今! ヤツの顔面に放たれた!
『馬鹿な! この程度で! この程度でぇぇぇ!!!!』
その一撃のエネルギーが全体に伝わり、内側から弾けるように、敵は大爆発した!
欠片も残さず! 敵は滅ぶ!
全てが、終わった!
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