#31
進んだ先にあったのは、吹き抜けの部屋だった。
それも、天井が高く、底が低い。特装隊のロボ格納庫に近しいよう感じた。
実際、そんな高さのある部屋に置いてあったのは、超巨大な一台のロボであった。
「ようやく来たか。三津怜太郎」
そして、ロボの前にいたのはクソ雑魚地味眼鏡ことミヅカキだった。
「もう手遅れって訳か? そんなデカいロボ準備されて、『ようやく』だなんて言葉で歓迎されて」
「あぁ、つい1時間ほど前に終わったさ」
やっぱり、車を破壊した特装隊の連中は完全戦犯だったか。
「で、そのロボは?」
「僕らのリーダーだ。君の腕時計にいるヤツ、そいつの以前潜んでいたボディーだ」
黒鉄の巨大ロボ。大きさにして200メートル前後と言ったところだろうか?
「で、ソイツを動かすつもりか? 動かせないから言須に操作させてたってのに」
目の前の男は、クククと笑い出した。
「あぁ、前はそうだったさ。でもな! 僕も霊体になる方法がわかったんだ! その目に焼き付けろ! 世界の終わりを!」
男がひざまずき、両手を高く上げると周囲から光の粒子が発生し、渦巻きのように彼の周囲に集まっていった!
「な、なんだ!?」
「ハハハハハ! ついに! ついに僕が! 正真正銘の王となるんだ!」
男は高笑いを上げる。
そして、光の粒子に呑まれ、体が消滅した。
しかし次の瞬間! ロボの目に光が宿り、配線がブチブチと千切れる中立ち上がる!
『ついに! ついに完成だ!』
ロボはミヅカキの声をして笑い続ける。
「こりゃ……やべぇ……」
『もうお前なんかに構ってる必要はない! まずは日本を滅ぼしてやる!』
天井が開き、ロボが打ち出される!
破壊の二文字を体現したような黒鉄の影が地上に降り立ったのだ!
「マズい! 追いかけないと!」
地面を強く蹴り、すぐさまロボの眼前まで跳び上がる!
そして、超高速の殴りを放とうとする!
が、しかし!
『蝿如きがッ!』
ロボが軽く手を振るうと、その巨体には似つかわしくない速度で叩き落とされた!
地面に衝突し、何百キロにも感じられる衝撃が背中に走る!
受け身は取れない、速すぎた!
コイツはヤベェ、本格的にヤベェ。
『さて、1番の懸念点はこれで解決だ……おっと』
ロボとなった彼の周りに次々と戦闘機やヘリが集まっていく。
戦闘機は次々と弾丸を放ち、ヘリからはニュース中継やメガホンを持って交渉に臨む男など、混沌としていた。
『邪魔だ!』
ロボの全身から細いビームが放たれる!
それは一瞬にして周囲の空飛ぶ機会を墜落させ、何百件もの建物を破壊した!
これは本格的にマズい……そこらの怪獣やロボとは規模が違いすぎる。
だけど、やるしかない!
俺は力を振り絞り、ゆっくりと立ち上がる。
再び足に力を込め、跳び上がった!
『またか! この黒い蝿が!』
ロボは手を振る!
「”クイッカブル・TWICE”!」
人生初めて、限界を超えた出力2倍の加速。
最早ただの身体強化では体を守ることができず、加速相応の苦痛が全身に走る! 四肢が千切れてしまいそうな程の痛みだ! 全身がミシミシと悲鳴をあげている!
だが、それでも!
ロボの攻撃を間一髪で避け、その手を次の足場とし、足に力を込め、飛び上がる!
そして、ロボの眼前に!
「”ノマリディアブル”!」
ブラックホールのような衝撃、質量を持った拳が、その顔面に向け放たれた。
……しかし、望むようなダメージは与えられなかった。
顔面装甲が凹んだ。それだけ。
確かなダメージだ。ただ、それでも一撃必殺。
もう、2発目はない。
……終わった……のか?
打つ手はないのか……?




