#28
その場に現れたのは、名前の知らない赤い爆破女だった。
「……まさか、本当に今日襲撃しに来るとはな」
「本当に、嫌なマグレだ」
彼女の両手に熱が帯び始める。
マズいな、文風がいるのに高速道路じゃ退路がない。あるにしても、2,3キロ先のサービスエリアだ。
そして、高速道路の橋の下は畑が広がっている。
「……すまん文風、しっかり捕まっててくれ」
「え? 何? 何!?」
俺は彼女の足と腰の少し上を持ち、お姫様抱っこをする。
そしてそこから、橋の下へと落ちる!
高さ20メートルほどから落下し、スローアブルでゆっくりと降りる。
「さ、先に言ってよ!」
「すまん」
彼女をゆっくりと下ろす。
「戦いが終わるまで離れててくれ。流石に危ないし」
「うん、わかった」
彼女はそそくさと離れていった。
さて、あの爆発女、まともに戦り合ったことがないせいで、実力もあまり計れない。
例の新技は一度使うと恵鞠から血をもらわない限り使えなくなるため、できれば温存したい。
そうこう考えていると、爆発女が降りてきた。
「さて、やろうよ。勝っても負けても、これで終わりだよ」
「あぁ、俺としても終わりにしたい」
自身にクイッカブルをかけ、臨戦体制に入る。
「”蒼爆”」
彼女が両手を合わせると、そこから何かを放つかのように手をこちらに向け、開く。
そのとき、手から蒼い爆発が放たれた!、
しかも、ただの爆破なんかじゃない!
20メートル程広い範囲が爆発に巻き込まれ、焦土と化す!
とっさに上空に逃げて助かった。
もし、直撃していれば間違いなく死んでいた。
「”蒼爆”」
空中に向かって放たれる2発目、空中にいた俺の機動力は大きく落ちており、避けられない!
俺はすぐさま着ていたパーカーを脱ぎ、クイッカブルで加速させ、扇のようにはためかせ、強力な風邪を発生させた!
しかし、爆破の火力には勝てず、直撃は免れたものの、パーカーが一瞬にして燃え尽きてしまった!
「ッ……以前に戦った時はこんな手強くなかっただろ……!」
「今日は本気だ」
マズいな。以前に戦ったエネリアやボワロウとは別の辛さがある。
とても、近づくのは難しい。
互いに目を見ながら、間合いを量る。
ゆっくりと、足を擦りながら、少しづつ横へ移動し続ける。
「”蒼爆”!」
再び、青い爆発が放たれる!
俺は即座に上へと避け、その爆破は高速道路の高架、その土台にぶつかる!
土台は崩れ、道路が落下して来る!
「”スロアラウンド”!」
落下する道路の動きが鈍る。
空中に散らばるアスファルトの欠片を握った。
「”蒼爆”」
再び蒼い爆発が襲いかかる!
しかし、今度は落下する地面を蹴り、爆発を避け、彼女に接近する!
「”蒼爆”!」
今度は地面に向け爆発が放たれた!
爆発によって、俺と彼女の間が断絶される!
俺はその手前で着地し、手に握っていた道路の欠片を力強く握り直し、全力で断絶された爆破の向こう側に向け、投げた!
魔法によって加速した球、それは弾丸をも上回り、彼女の腕に衝突した!
その右手は抉られ、弾け飛ぶ!
爆破の炎が治ると、まず見えたのは彼女の苦肉の表情だった。
「まだ、左手がある……!」
「負け戦か? 最後だからって」
「うるさい! 私はリーダーが戻ってくるまでの時間稼ぎをしなくちゃいけない! 消えたリーダーを呼び戻すんだ!」
次の瞬間、俺の腕時計がひとりでに動き出した!
その中から、言須が出てくる。
「バンボヤ! もうやめて! そんな腕で勝てないことぐらい、貴方でもわかるでしょ!」
「その声は……リーダー!?」
リーダー!?
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