#26
3日間の間、俺たちは彼の家で寝泊まりする事になった。
「先輩! 恵鞠、完全復活です!」
「おー、めでたいな。それはそれとして、次からは無茶すんなよ」
「はい! 恵鞠は大丈夫です!」
ほんとかな……
「それより! 恵鞠の血を先輩に分け与えます!」
「血を?」
「はい! 恵鞠の血は再生能力が凄いんです! これを使えば、先輩の腕も超回復するってワケです!」
そう言って彼女は自らの腕にナイフで傷をつける。
そこから血がタラタラと流れ、俺の右腕にかかる。
次の瞬間、ミイラのようになっていた右腕がみるみる潤い、艶を戻して、元の腕へと戻った!
「す……すげぇ……」
「これが恵鞠の力です!」
す、すげぇ……
「そうだ! 恵鞠、自由に動けるようになったから、仁さんの倉庫行きたいです!」
あの倉庫……確かに色んなものがあって興味が惹かれる。
「俺もついて行く。仁さんの邪魔はすんなよ。俺たち、かくまってもらってるワケだし」
「はい!」
倉庫を訪れると、そこでは文風と仁が話し合っていた。
「ここはこうやって、こうすれば予算を削減できるかと……」
「いや、予算なんていいんだ。本気の装甲とロマンでぱぁっとやろうぜ?」
2人は鉛筆で大きな紙に何かを書いている。
「……何やってんの?」
「あ、怜太郎君! 実は今、新しいロボの設計を考えてるの。もうスペアもなくなっちゃったから。その為にはるばる千葉までやってきたの」
「4,5日くれれば良いロボを作ってやる」
4,5日で作れるとか頼もしさ以外の何者でもない。
てか凄くない? 巨大ロボだよ?
確かにこれははるばる千葉までやってくる意味がある。
「というか、なんでそんなに凄い人が千葉にいるんだ? 本部でロボ作れば良いのに……」
仁は頭を掻き恥ずかしそうにした。
そして、文風が言った。
「実は彼……超ロマン主義で、腕は確かなんだけど余分なパーツを付けすぎて、本人は一切譲る気がないくて、予算的な問題で雇われなかったの。今は別のエンジニアがロボを作ってるの」
よく言えば職人質なんだな。
確かに、予算を守れないなら困るけど。
「いいか? この肩にはメガキャノンを積んで、ここにはブースターを……」
「そんなパーツどこにあるんですか!」
「なければ作る。ついでに特許も取る」
彼の設計図を覗いてみると……凄いアニメチックなロボだ……
「何これ何これ! 恵鞠気になる!」
意外にも恵鞠は設計図に食いついた。
そういやパイロットか。
「お、興味あるか? ここはこうなっててな……」
「こんなロボあったら乗ってみたい!」
「おう! だから今オーダーメイドで作る!」
なんというか……本当に凄い人だ。
「あ、陽奈山さん。できればひとつお願いがあって、彼女のパイロットスーツを作って欲しいんです」
「あぁ、それならウチの女性従業員に採寸させる。ま、そっちはできそうなら間に合わせるや」
彼はそう言いながら設計図を書き続け、ついに完成した。
「よし! それじゃ今から従業員を呼んでくる。ま、3日もあれば作れるだろ!」
制作期間がさらに短くなった!
「予算はいくらでも出すんで、最高な出来のモノをお願いします」
「あぁ! 任せろ!」
2日後。
「え!? 俺今日東京に戻るの!?」
当日の朝、突然文風に伝えられた。
「うん。そろそろ来てもおかしくない頃だから。恵鞠ちゃんは明日ロボに乗って戻ってくる予定」
「そ、そうか……わかった。いつ来てもおかしくないしな……という訳だ恵鞠! なるべくすぐ戻ってこいよ!」
「はい! 先輩!」
荷物をまとめ、文風の車に乗り込む。
「てか、文風の車って特装隊から位置情報バレたりしないのか?」
「さぁ? もしかしたらバレてるかもしれませんね」
「!?!?!?」
急すぎる告白だった。
いや、普通に2泊3日も泊まってる余裕なかったじゃん!
どうせ東京に戻るなら普通にレンタカー使えばよかったじゃん!
「もしバレてるとしても、そのときはそのときです。今は東京に戻りましょう」
「わ、わかった」
心配だな……大丈夫か……?
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