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#20

「しかし、期待外れた゛ったな。せっかく下準備をしたってのに、これし゛ゃワンサイト゛ケ゛ームた゛な」


 男が指をパチンと鳴らす。


 次の瞬間、3箇所の離れた場所で大爆発が起きた!


「何!?」


「今、俺たちは4人て゛同時に暴れ始めたんた゛! ひとりす゛つた゛と負け続きた゛ったからな、みんなて゛一斉に暴れる事にしたんた゛!」


「……マジかよ」


 思考を加速させる。


 まず、エンネイティア4人のネタは割れている。


 名前は知らないけど爆弾魔の赤い人。

 本から水系の魔法を出すミヅカキ。

 自称惨劇のナンタラことエネリア。

 そして目の前の筋肉ダルマことボワロウ。


 3人も名前覚えてる俺偉いな。


 さて、それはそれとしてこの中での危険度だ。


 ミヅカキは問題ない。多分1番弱い。


 警戒すべきは赤い人とエネリア、そしてボワロウ。


 ボワロウは暴れ回るってよりも俺の足止めをしようとしているように見える。

 なら、俺が逃げれば勝手についてくるだろう。


 そこで、俺が向かうことのできる相手は、赤い人がエネリアのどちらか一方のみだ。


 戦った感覚的には……エネリアが特に危険だろう。


 赤い人は爆発しか使えない。それでもなかなかだが、エネリアは戦ってみた感じ、手数が多そうだ。

 それに、アイツは前に戦った時、最後に怪獣化していた。怪獣となって暴れ回られたら大惨事だ。

 なら、何をしでかすかわからないエネリアこそ優先して倒さなくては……!


「と゛うした? 上の空た゛な?」


「ちょっと考え事だ」


 相手から視線を外さずに、以前文風から貰った社用スマホで電話をかける。

 片手が塞がってしまうが、互いに睨み合っているこの状況では相手も襲いかかってこない。


 互いに、機を見計らっている。


「あーもしもし、文風か? ちょっとな……」


『言わなくてもわかる。各地でエンネイティアが暴れ出した事でしょ?』


「あぁ、そうそう。……死ぬ前にマジックショーにでも行きたかったな」


『……?』


「いや、ただそれだけだ。色々と後始末は頼む。ただパソコンは中身を見ずに燃やしてくれ」


『……? ……あ、あぁ、わかったわ』


「じゃ、切るわ」


 電話を切って、スマホをポケットにしまった。


 なるべく、相手から遺言を言っているように聞こえるようカモフラージュして要点を伝えた。

 エネリアの方を対処しに行く。他は頼むと。


 一応、本当はマジックが好きじゃないって話はしてあるし、パソコンだって持ってないし、話の意図を汲み取って理解してくれればいいんだが……


「遺言は十分か?」


 OK。相手は完全に遺言だと思い込んでいる。

 パソコンのくだりとか遺言の象徴だもんな。


「あぁ……覚悟はできた」


 さて、次の問題。エネリアはどこにいるのかだ。

 一応、エネリア以外のエンネイティアと会合してしまっても構わないのだが、できれば危険度の高い彼女こそ俺の方で対処しておきたい。


 先ほど爆発した場所は3箇所。北東、東、南方向だ。

 その内、東では今でも爆発が続いている。


 アソコは確定で赤いやつだな。


 つまり、残り2箇所のどちらかがエネリア、もう一方がミヅカキだ。


 この2人の発生地点については見分けのつけようがない。


 ……ニブイチだ。距離の近い北東へ行こう。


 どうせ、あの傲慢そうなミヅカキってヤツなら、「リーダーである僕を狙うだろうから、僕が1番遠い位置に行こう」とか言い出しそうだ。

 いや、全部ただの偏見ではあるが……


「……覚悟はできたとは言ったが、俺も命が惜しいんだ」


 ついに、目の前の男から目を逸らす。


「じゃ、鬼ごっこと行こうか。チャオ♩」


 彼に背を向け、走り出した!


 目指すは北東!


「待て! 逃け゛る気か!」


 男も走り追いかける!

 その足が地につくたび、ズドンズドンと大きな音が鳴る!


 ……クイッカブルの加速を使えば、簡単に巻けそうだ。


 しかし、アイツの陽動もしなくてはいけない。


 純粋な足の速さで、北東へ向け逃げていく。


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