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#14

「さて、言い訳を聞こうか」


 とある和室、エンネイティア四人衆は料亭のような豪華な食事を摂っていた。

 本来、和やかそうなわびさびを感じる部屋だってのに、今はかなりギスギスしている。


 理由はひとつ、中学生ほどに見えるピンクのサイドテール少女ことエネリア(御年25歳) がひたすらに詰め寄られていた。


 いや、その大本の原因は私にあるのだが……それは黙っておこう。


「なーんーでー尻尾を巻いて逃げてきたんですかね?」


 水色髪の眼鏡和装男ことミヅカキが彼女を責める。


「いや……その……」


「勝機はお前にあったた゛ろうか゛」


 濁点の激しい脳筋こと”ボワロウ”が怒りを抑えながら問いかける。


「チョ……違ウンス……」


「そうだそうだー!」


 私は便乗するしかない。

 だって、あのバカ人間……怜太郎だったか? アレにエネリアの殺戮計画をバラしたのは紛れもなく私だ。

 バ先を壊されたくなかったのだ。結局、無駄だったが。


「何が一番問題って、怪獣に変身したことだ。アレは奥の手だろう? 変身せずに撤退するか、変身して死ぬまで暴れるべきだった」


 ミヅカキは眼鏡をクイっとして問い続ける。


「う、うぅ……わぁ……」


 彼女はもう涙目だ。


「……過ぎた事はもういい。それよりこれからどうするかだ」


「確かに、それもそうた゛な」


「ボンバヤぁ~!」


 エネリアは泣きじゃくりながらだきついてきうわぁ気持ち悪い。あと私はバンボヤだ。


「なら、これからどうするか考えよう」


 ミヅカキは眼鏡を再びクイっとする。


「てか、なんで貴方はいつもリーダーぶるのさ?」


「別にいいだろ、僕は智将だ」


「あ゛? ここはリータ゛ーの俺か゛仕切るへ゛きた゛ろ」


「はぁ? あんたはリーダーじゃないでしょ」


 ついにエネリアが開き直る!


「あ゛ぁ゛ん゛?」


「あぁん?」


 二人はメンチを切る。


 もう、ここからまともな作戦は立てられそうにない。






「さて、言い訳を聞こうか?」


 と、いうわけで約一週間ぶりの尋問室。

 正面に座るのはやはり文風だ。


「質問されてる意味がわからない」


「マジックショーの始まる前、色々と様子がおかしかったもん」


「……チッ」


 さて、ここはどう切り抜けるか。


 今、俺はエンネイティアがどうのこうのでかなり疑われている立場にある。

 ここは、正直にあれこれ答えるべきか……それとも、嘘を突き通すべきか……


 正直に答える場合、俺がエンネイティアとの関わりがないという潔白の証明をしなければならない。


 そこでの1番の障壁は「何故並外れた力が使えるのか」だ。


 俺が疑われる1番の要因はそこにある。

 転生者だと明かしても、信じてもらえるだろうか?

 正直なところ、「怪獣がいるくらいだし……」で割り切ってもらえる可能性は低い。

 それとこれとは別問題となるのが普通だ。


 嘘をつく場合はどうだろうか?


 段々と設定が濃くなって、そのうち取り返しがつかなくなりそうだ。


 ……腹を括ろう。


「なぁ文風、お前のいた高校に三津 怜太郎って人物はいなかったか?」


「……なんで今それを?」


「確か、3年ほど前に過労で亡くなったらしいな」


「……」


 彼女の表情が曇り始める。


 それもそのはず、生前には彼女とかなり交流が深かった。

 当時不登校だった俺を無理やり家から引っ張り出したのも彼女だ。


「本当は、俺にマジックの事どうこう聞いてきた時から薄々勘づいてたんだろ? 表情が露骨すぎた」


 生前、マジックがあまり好きじゃない事は彼女に伝えていた。

 なんで嫌いになったんだっけな……


「文風、久しぶりとでも言っておけばよかったか?」


 本当に運がいい。

 このカードは文風が相手じゃないと切れない。

 普通の人が相手だと、俺が転生者……もとい生まれ変わりの姿だと信じる人などいないだろう。

 なんせ、前世の俺の事を知らないんだから。


「文風、信じてくれるか? 俺が姿は変われど生き返った事を……」


 彼女は唖然としている。


「転生ってわかるよな。今回の場合は輪廻転生とかカッコいいものってより、異世界転生みたいな俗なものだが。……そして、俺はそこで魔法を得た」


 彼女はただ口を開けて聞くことしかできなかった。

 構わず俺は続ける。


「これが俺の異常な力の理由、その全てだ。エンネイティアなんて初めて知ったのもつい先日だ」


 一通り話を終え、机上のコップから水を一口飲む。

 さて、後は相手方次第だ。


「怜太郎……信じていいの?」


「あぁ、文風」


 彼女の瞳が潤い始める。


「ごめん……わたしよくわからない……」


 彼女は自らの手を強く握り、震える声でそう言った。


 ……混乱を招いてしまったかもしれない。


 だが、これも仕方ない事だ。

 いつか、言わなきゃいけないとは思っていた。


 彼女は涙を自らの手で拭い、笑顔で言った。


「ありがとう。生きててくれて。それじゃ、もう遅いし帰ろっか」


 俺たちは尋問室を後にした。


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