#11
「先輩! 次はどこ回りますか!」
「そうだな……俺はどこでも構わない」
1時間後にエンネイティアの一員が暴れ出す。
当然、この話に信憑性はないのだが、備えておいて損はない。
ただ、今のところ俺の知っているエンネイティアは、さっきの爆弾女と本を持っていた眼鏡男だけだ。他にはどんな奴がいるのがわからない。
「なぁ文風、エンネイティアの連中ってどれだけ顔が割れてるんだ?」
彼女は不思議そうに俺をみた。
「急にどうしたの? ……エンネイティアの連中は今のところ誰も顔が分かってないんだよね。一応、特徴だけならこの前怜太郎君と恵鞠ちゃんが撃退してくれた人だけ分かってるね」
「そうか……」
つまり、ノーヒントだな。
なら、そのエンネイティアの一員が暴れ出すまで待つしかないのだ。
いや、本当に待つ事しかできないのか?
そう考えていると、館内放送が流れてくる。
『店内でご覧のお客様、本日はご来店誠にありがとうございました。本日は午後1時より、マジックショーが開催されます』
マジックショー……
近くの家電量販店のテレビを覗く。
現在時刻、正午12時13分。
マジックショーはほぼ1時間後だ。
「なぁ、俺このマジックショー行ってみたいかも」
「へー、怜太郎君ってそういうのにも興味あったんだ」
彼女はどこか失意を感じる表情を浮かべた。
いやなんで?
「恵鞠も! 恵鞠も行きたいです!」
「そう? ……なら、行こっか。でも、あと30分以上あるね。それなら別の店に寄ってからでも……」
マズい。なるべく前列で構えないと有事の際に対応しずらい。
かといって、本当の事を言うと、あたかもエンネイティアと関わりがあるみたいになって、観察対象とされるほど信頼のない俺はあらぬ疑いで処罰されかねない。
さては爆弾女、こういう状況に陥らせて憂さ晴らしするために話してきたな!
「恵鞠は近くで見たいです!」
恵鞠ナイス!
「……わかった。それなら今から席を取っておこ。時間はいくらでもあるしね」
そんな訳で、俺らは1階にあるマジックショーの会場へと向かっていった。
会場へ訪れると、着いたのが早かったからか最前列に座ることができた。
そこから時間は流れ、マジックショー間近の時間となる。
「ねぇ、怜太郎君はマジック好き?」
文風が話しかけてきた。
「……実は、あまり好き好んで見たりはしない。ただ今日は気が向いただけなんだ」
「そっか……じゃあさ、何が好きなの?」
「アニメと映画鑑賞」
彼女は一瞬ばかり唖然とし、尋ねる。
「怜太郎君ってさ、もしかして……」
『はーい今日はマジックショーへようこそー!』
彼女の声を遮るように、ピンマイクを付け、怪盗みたいな装いをしたピンクのサイドテールの少女がステージ上に突然として現れた。
「また後で話すね」
文風はコショコショと小声でそう言った。
さて、爆弾女の発言通りなら、そろそろエンネイティアの一員が出てくるはずだ。
『それじゃあまずは人体切断マジックだよ!』
そう言って、ステージ上の少女がトランプを撒き散らした!
軽く、降ってくるトランプを摘もうとすると、指の間をするりと通り抜け、肉にトランプが食い込んだ!
「!?」
すぐさまトランプから手を引っ込める!
「まさか……!」
『さぁ、ショータイムだよ』
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