表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

#1

「怜太郎……本当に行っちゃうの?」


 王国の姫が俺の手を握り、涙を浮かべながら、俺をが行こうとするのを止めようとする。


「俺には帰る場所がある。俺のいた元の世界に戻らなくちゃ」


「わかりました……では、達者で……」


 彼女は一歩引き、涙を拭きながら別れの挨拶を済ませる。


 そして、俺の足元の魔法陣が光り始めた。


「また、会えますよね!」


 彼女は大きな声で、手を振りながら言った。


「あぁ、絶対だ!」


 俺も手を振り返して、大声で返した。


 足元の光がどんどん強くなり、やがて視界が完全に光で覆い尽くされた。


 これから、俺のいた世界に戻る。

 短い間だったけど、異世界は楽しかった。


 魔王を倒して役目を全うした俺は、姫に残るよう懇願されたが、元の世界に戻らなくちゃいけない。


 この俺、”三津みつ 怜太郎れいたろう”は前世で過労死し、異世界へと送られた。

 そんな中で俺にはたった一つ、現世でやり残した事があった。


 異世界での生活にも代え難い、ただひとつの約束だった。


 それを守るため、俺は元の世界に戻る決断をした。


 ……魔法陣の光が消えたようだ。


 そよ風が肌を撫で、小鳥の鳴き声が耳を潤す。


 目をゆっくり開いた。



 その視界にまず映るのは、身長100mを優に超える爬虫類の超巨大怪獣だ!


 怪獣は口から炎を吐き、東京の街を焼き尽くす!


 さらに! 鞭のようにしなるその尻尾はリニアモーターカーよりも速く! 風圧だけでいくつもの建物を空へ打ち上げ、瓦礫の雨を降らせる!



 な……なにこれ……? ドラゴン……いや、怪獣? 何故こんなところに?


 ……一度、そんな事は置いておこう。


 しばらく見ない間に、世界情勢が変わったのだろう。


 ということは、こんな怪獣を倒す技術だって当然生まれて……



 次の瞬間! 空から赤いボディが目を惹く超巨大ロボットが現れた!


 その身長約150m! 怪獣との身長差は僅か数十メートルまで縮まった!


「おぉ! これがこの世界の戦うための技術!」


 ロボットは力強いパンチを怪獣に向け放つ!


 しかし! 怪獣はそれを片手で受け止め、そのまま鉄の拳を握り潰し、スクラップとする!


 ロボットは怪獣からの強烈なパンチを腹部に受け、その場に倒れ込む!


 腹部の損傷は激しく、ボディの下の機械部分さえも丸出しとなってしまっている!


「ダメじゃねぇか!」


 俺はすかさず助けに入ろうと魔法で自身を強化し、地面を強く蹴って飛び出す!


 怪獣までの距離を一気に詰め、その顔面に強烈なキックを叩き込んだ!


 怪獣の顔面が大きく抉れ! よろめき! そしてその場に倒れた!


 砂埃が舞い、街を覆い尽くす。


 あまり強くなかった……きっと、さっきのロボも量産レベルの弱い機体だったのだろう。


 俺はすぐさまロボットの近くに向かった。

 そして、腹部の損傷部の近くを見てみると、コックピットのようなものが見える。


 まさか人が生き埋めに……!


 すぐさまコックピットの蓋を力技でこじ開ける!


 すると、中から出てきたのは1人の少女だった。


 スポーツキャップを被り、赤いポニーテールをし、デニムのホットパンツを履いた17歳くらいの少女だ。


「大丈夫か?」


 彼女の手を掴み、コックピットから引っ張り出す。


「エ……エ……」


「エ?」


恵鞠えまりは見ました! お兄さんが1人であの怪獣を倒す姿を!」


 少女は目を輝かせながら俺を見つめる!


「どうか! 恵鞠を弟子にしてください!」


 彼女は俺の手を強く両手で握りしめた。

もしよろしければ、作品のフォローと星を付けてくださると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ