みんな大好き秘密の部署
時は過ぎて土曜日、俺は市役所の前に居る。日時の指定の後、場所については市役所から対異の拠点に案内されることになっているため俺はこうしてここで待っているという訳だ。
そうして待っていると目の前に黒いワゴン車が止まり、運転席から品川と呼ばれていた男が降りてきた。
「すまない、少し待たせたな。」
「いえ、時間通りなので大丈夫です。」
「そうか、では乗ってくれ。私たちの拠点へと案内しよう。」
俺は車に乗り、揺られながら対異の拠点へと向かっていった。車に揺られること一時間後、ついに対異の拠点へと着いた。そこにあったのはなんて事のないただのビルだった。
「ついて来なさい、ここが私たちの拠点だ。」
そう言って、品川はビルへと入っていく。俺はその後を追いかけてビルに入るが、そこにあったのはただの受付だった。
(え、普通のビルじゃん。いや、漫画とかだとこっから地下室とか秘密の部屋があってそこで長机のある部屋に通されて「ようこそ、対異へ」とか言われる奴だよな。そうだよな!うん!)
俺は普通のビルだったことに困惑しながらもまだ地下室などがあることに期待を抱いていた。そこで品川から入館証を貰いそのまま後へ付いていく。エレベータを使い、上へと昇っていく。
そして着いたのはビルの最上階ではなくその一個下の四階に到着した。
「さて、空羽 鏡司君、ここが私たちの拠点だ。」
そう言って案内されたのは暗くもなく怪しい雰囲気もないただの会議室であった。
(ただの会議室じゃねえか!最上階ですらねえし!)
俺は心の中で叫んだ。予想と期待を裏切りただの会議室を拠点と呼ばれた俺はちょっとの怒りと驚きとなぜこんな普通のビルにあるんだよという突っ込みたい気持ちを抑えた。そんな俺の気持ちをつゆ知らず品川は喋り始める。
「恐らく君は『なんでこんなところが拠点なんだ?』と思っただろうから説明しよう。我々は表向きにはないことにされているため建物を建ててそこを拠点にすることが出来ないというのが一つの要因である。」
「なるほど、だからビルを借りてそこを拠点としているんですね。え、そっちの方が危なくないですか?」
「そう言われることは想定済みだ。この拠点には重要書類はあまり置いていない。そもそもこの拠点の意味は各地に能力者を置きその地域で発生した異能事件の解決と今のように新たな能力者に対する説明の場所として使われている。決して金がないのではない。」
最後の一言は聞かなかったことにして質問する。
「じゃあ、どうやって異能の訓練するんですか?少なからず被害が出そうですけど。それにあの時居た人たちも見えませんけど。」
「それは見てもらった方が早いな。」
そう言うと品川は扉に向かって歩き何かをかざす。扉を開くとその先にはこの階には収まらないほどの大きさの部屋が見えた。
「え、は、え、ええええええ!?」
俺は驚愕した。普通のビルだと思っていたが扉の先に広がる部屋を見ていきなりの非現実に声を上げて驚くしかなかった。
「それでは訓練場まで案内しよう。」
俺が扉を通ると先ほどまで居た会議室が見えずただの白い空間だけがあった。いきなり情報が頭に流し込まれ呆然としていると品川が喋り出した。
「さて、どのような原理で今ここに居るのか気になっているだろうから解説するとしよう。まずここはあのビルの一部ではなく政府が所有する能力者用の監獄だ。」
「監獄?今さっきまで居たビルの中じゃない?」
「ああ、そうだ。簡単に言えばあの扉はこの監獄へとつながるワープホールだ。ついでにこの監獄の説明もしよう。この監獄は犯罪を犯した能力者を入れるための特別な監獄で檻や壁も頑丈であるため脱走の事例は設立から一度もない。異能も特別な首輪をつけているため使用できないようになっている。ここまでは理解したか?」
「は、はい。」
「そうか、なら訓練場まで行こう。そこでメンバーの紹介と異能の基礎訓練を行う。」
また歩き出した品川に付いていった先には白い壁に四方を囲まれた部屋だった。軽く縦横ともに30メートル以上ありそうな部屋に圧倒されながら周りを見渡していると品川から声を掛けられる。
「それではいい加減メンバーの紹介をしよう。まずは夕夏から自己紹介を頼む。」
部屋の中央には横一列に並んだこの前の五人が居り一番右に居た赤いメッシュの女の人から自己紹介を始めた。
「君はこの前会った子だね。私は小鳥遊 夕夏。異能は《創操火変》。炎の生成と操作が出来る能力だよ。よろしくね。」
次に長身の美女が続ける。どうやら右から順にしていくようだ。
「次は私だな。私は式織 弥奈。異能は《空間斥除》。斥力を発生させることが出来る。よろしく頼む。」
その横に居るおじいさんが続けて自己紹介をする。
「儂は波久礼 國久。異能は《記憶改竄》じゃ。儂はもう二十年ほどここに居るからのお、この中では異能については一番詳しいぞ。存分に頼ってほしいんじゃ。」
「波久礼さんはこの対異で一番の古株で最も異能に詳しい人だから異能に困ったらこの人に相談すると言い。」
品川がそう耳打ちしてくる。
「最後に俺か。俺は宇治原 京間だよろしくな。異能は《混沌鏡演》。まあ、よくある異能を模倣して使うことが出来るコピー系の能力だ。」
最後に一番左に居たパーカを中に着た男が自己紹介をして終わる。
「以上が対異のメンバーとなる。何か質問はあるか?」
「あの、すんませんけどあなたの紹介を聞いてないんですが。」
「そうか、まだ私が残っていたな。私の名前は品川 藤次だ。異能は《全視複眼》と言い千里眼みたいなものだ。」
「この場に居る者は皆同じ地域を担当することになるためチームを組むことも少なからずあるだろうから仲良くしてくれたまえ。」
「はい!おれも自己紹介した方がいいですかね?」
「情報としては知っているが自己紹介は大事だしな。では頼む。」
「はい!おれは空羽 鏡司です。異能は《認識阻害》です。よろしくお願いします!」
「これで全員の自己紹介が終わったか。では鏡司君改めて対異へようこそ。これからよろしく頼む。」
「はい!」
俺は多分だけど過去一でいい返事が出来た気がした。それほどまでにこれからへの期待があったのだろう。今度こそ俺の物語が始まる。
第九話にしてようやく主人公の名前出せた!中々主人公の名前出すの苦労したわ~。今回で一気にいろいろと開示できた気がする。早く活躍させたいな~。




