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ふぇいどしゃどう 生来の影の薄さが異能になりました  作者: 夜渡
第一章 自分の影の薄さを呪いたい
8/8

非日常→日常

 あの重力使いとの対峙の後、俺は醤油を回収しそのまま家に帰ることが出来た。対異の人たちが言う通り母さんには何も言われず今日を終えることが出来た。


 夢を見た。誰かが移り変わる色で満たされた部屋の中で光る何かを作っているのを。近づこうとした時俺は目を覚ました。


「ま~た、変な夢だよ。これも異能関係なのかね。」


 俺は独り言を呟き、朝の支度をする。朝食を食べ、家を出て学校へと向かう。今日は誰にも会わず俺は教室に着いた。教室には俺以外の三人が集まって話していた。


「今日はおれが最後だったか。」


「おっ、おはよ~。そうだよ。あと今日は珍しくあたしがこの中で一番だったんだぜ!」


 結花が誇るように「ドヤ~」という効果音が付きそうなほどのどや顔をしてくるが、俺は普通に感心していた。


「まじか!今日雨でも降るんじゃねえか?」


「失敬な!あたしでも早起きすることぐらいあるわい。」


「まあ、結花が早起きなのは珍しいな。それとして、鏡司、今日はなんかいつもより遅かったな。なんかあったか?」


「確かになんか遅かったね。いつももっと早いのに。」


「あ~それな、昨日買い出し行ったらちょっと面倒ごとが起きて多分だけどその疲れの所為で寝坊したかも。」


「大丈夫?怪我とかしてないよね?」


 小夏さんが心配そうに声をかけてくる。


「ダイジョブ、ダイジョブ。怪我は一切なし。」


「それなら、よかった。」


 小夏さんは安堵したのか表情が緩む。俺は不覚にもその顔を可愛いと思った。


 時は過ぎて昼休み。俺らは空き教室に集まり昼食を食べている。一年生のころ、教室で昼食を食べようとすると千景目当ての女子が集まり落ち着かず、誰もいない空き教室に行って食べていたことで昼休みには空き教室で食べるという習慣が付いてしまった。


「ここで、食べるのも慣れてきたね。」


「そうだな。もう一年もここで食べてるからな。」


「元々は千景と俺の二人でここに居たんだけど、いつの間にか二人とも増えたよな。いつから四人で食べてんだったけ?」


「詳しくは覚えてないけどあたしが一番最後にここに来たんだよね。」


「うん、私が六月くらいにここに来て、結花ちゃんが一学期の終わりくらいに来たはずだよ。」


「あ~じゃあもうほんとに一年経ってんのか。」


「この空き教室も長い間使ってるおかげですっかり俺たちの場所にみたいになったな。ところで話が変わるんだがこの近くの空き地で最近ニュースで報道してるクレーターがまた発見されたらしい。」


 俺はむせた。俺が事件に関わったことがばれないように冷静を装い、そのことに気づかれないように話す。


「また、ってことはこの近くに犯人が居るってことか。」


「そう、犯人については一切の情報がないけどこの近くに居ることは確かだ。」


「え~、やばくね。学校からも何か報告とか来るんかな。」


「来そうだな~。まあ、でも人死にとか出てないから大丈夫っしょ。というか今日の五限目のテストの予習したんか?」


「待って。テスト?あたし聞いてないんだけど。」


「この前先生言ってただろ。・・・あ。そういえば居なかったなお前。あと今日のテスト赤点取ったら補修らしい。」


「休んでたことを免罪符にどうにか出来ませんかね~。へへへ。」


「まあ、十中八九無理だろうな。諦めて今から勉強しろ。」


「ですよね~!ちょっと三人とも助けて!あたしに勉強教えて~!」


 話題をそらすことに成功し、俺は安堵した。その後、昼食を食べ終わり残りの時間は結花に勉強を教えることになった。


「ぎりぎり助かった~。」


「本当にぎりぎりだったな。あと一点で補修のところをよく回避できたな。」


「ふっふ~ん、やっぱり~私の頭がいいからかな~。」


「ふざけんな。おれたちが教えたからだろうが。」


 そんなこんなで放課後、テストの補修を受けることのなく俺たちは寄り道をしながら帰っていた。


「みんなさ~、今週の日曜ってなんか予定ある?」


「おれは無いけど、二人は?」


「おれも無し。」


「私も。」


「じゃあさ、どっか遊びに行かない?あたしカラオケ行きたい。」


「なら、俺は久しぶりにゲーセンに行きたいな。」


「おれ、スポーツしたい!」


「私は本を読みたいかな。」


「なら全部できるラウンド2行こっか。」


 休みの日の予定が決まるとスマホが鳴った。誰からの連絡だろうと確認すると対異の人たちからの連絡だった。どうやら日時が決定したためその確認らしい。確認すると土曜の朝から夕方にかけて説明と異能の操作訓練を行うようだ。

 俺はこれから始まるであろう日々に期待を思い浮かべながら上機嫌で帰り道を歩いた。

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