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ふぇいどしゃどう 生来の影の薄さが異能になりました  作者: 夜渡
第一章 自分の影の薄さを呪いたい
7/8

物語には必要な説明回

 俺はないが何だがよくわからないが一つづつ質問することにした。


「とりあえず、異能って何ですか?」


「異能とは二十年前から一部の人々に発現し、様々な能力を扱えるようになる現象のことだ。なぜ、発現するのかなど謎は多いが一部は物理法則を越えたものや概念そのものに干渉できる能力もある。」


 異能が二十年以上も前にあることにも驚いたがそれ以上に概念そのものに干渉できる能力があること。時間操作や運命操作などもあるとすれば無法どころではない、いままでよくばれずに秩序を維持しているものだと言いたい。


「次に、対異って何ですか?あと政府直属とか言ってますけど何してるんですか?」


「我らの所属する機関こと対異は飾らずに言うと一種の暴力装置だ。能力者には善人も悪人も居るが悪人の能力者は途轍もなく面倒な奴らなのだ。能力を使って暴れ回れると甚大な被害が出るため、そいつらを強制的に抑えるのが私たちの役目だ。」


「それと対異は表向きはないことになっているため、一般人や関係者以外に情報が漏れた場合記憶改竄や最悪の場合抹消することもある。」


 俺はまた頭を抱えた。俺は一般人である。それに先ほど能力者を倒し、今説明を受けている。うん、これ抹消コースだこれ。


「せめて、一息にやってください。」


 俺は遠い目をし、すべてを諦めた状態になった。すると、後ろからくすくすと笑い声がし、パーカの着た男が喋り出す。


「いや、抹消する気なんかこっちには一切ねえよ。そもそも、記憶の改竄なら説明せずにさっさと記憶消してるわ。」


 パーカー男の言葉に同意するように品川という男も頷く。


「宇治原の言う通りだ。記憶改竄は事情を知った一般人に行うもので抹消も犯罪組織など私たちひいては国の邪魔になる者に対する最終的な措置で一般人に行うものではない。」


「えっと、それじゃあなんで俺はこんなことを説明されているんでしょうか?」


「そういえば、言っていなかったな。このように野良の能力者にあった場合は一度説明を受けてもらっているんだ。能力者は意図せずとも周りに被害を与えることもあるからな。こうして説明を受けてどうしてもらうか決めてもらうことになっている。」


「どうしてもらうとは?」


「結局は政府にある程度管理されることになるんだが、一つは政府の管理下のもと異能の使い方を覚えて日常生活に戻ること。この場合、普通の生活を送れるが一応監視が付く。まあ、大げさなものではないからほとんど支障はない。そしてもう一つが私たち[対異]に所属することだ。」


「[対異]に所属するとどうなるんですか!?」


 俺は先ほどの恐怖を忘れいつの間にか食い気味に聞いていた。なにせ、政府直属の一般人からは知ることのできない機密機関だ。中二病真っ盛りの高校生がそのことを聞いて興奮しないはずがない。


「う、うむ。まず、[対異]に所属すると真っ先に警察に所属していることになる。私たちは表向きにはないものだからなそれを隠すために警察に所属していることになるし、警察ということにしているといろいろと事件に関わりやすいし、一般人への聞き込みの時信用してもらえるからな。君やまだ未成年の場合捜査には関われないがある程度協力してもらうことになる。危険ではあるが、犯罪異能者を捕らえる時にも協力してもらうことになっている。未成年を起用するのは心が痛むが犯罪異能者に対して[対異]の異能者が少ないから仕方がない。それに能力の強さと年齢は関係があるわけでもなく、それだけの能力を持っているならば適度に使う場所が必要になってくるため、発散の場所も必要なのだ。」


 品川はそう説明する。俺は入る気になってはいたがここで一つの懸念点が思い浮かぶ。


「あの、[対異]に入ることは全然いいんですけど。これ、親にどうやって説明したら。」


「そのことについてだが、ご両親はその力を知っているか?」


「いえ、今さっき自分の力を知ったので多分気づいてないはずです。」


「ならそのままご両親にはこちらから説明しておくから問題はない。それ学校やに用事の時に召集が掛かる場合もあるがその時は記憶改竄で君が居たことにするかそもそも居なかったことにするから大丈夫だ。」


「いや、何も大丈夫じゃないんですが!」


 俺は反射的に叫んでいた。


「記憶改竄って結構やばめな感じしません!?普通に後遺症とかありそうだけど!?」


「そこは大丈夫だ。記憶改竄はそこに居る波久礼さんが持つ異能だから脳をいじったりはしない。それに後遺症などは一切ないから安心してくれ。」


 品川は後ろに居るおじいさんを指さして言った。


「う、う~んそれならまあ。一応納得しますけど。」


「そうか、そう思ってくれるとありがたい。まだもう少し話はしたいがもう遅い時間だ。君はもう家に帰りなさい。詳しい話はまた今度にしよう。連絡先を教えてくれるか日時はこちらで指定するが用事などがある際は行ってくれスケジュールは調整しよう。」


「あの、今日起こったことは親にどう説明すれば。」


「先にこちらで記憶改竄しご両親には少し前に出かけたということにしておこう。それならば矛盾はそうあまり生じないはずだ。では。」


 そう言い、彼らは帰っていった。俺は説明されたことを反芻しながら、家に帰る。今日起きたことはまさしく物語の一幕のようだった。いまだ夢を見ているかのような感覚に陥っているが何か忘れているような感じがする。記憶の引き出しを開け何を忘れているのか思い出そうとする。


(何か忘れているような。つか、俺なんで外に...)


「ああああ!醤油ほったらかしなの忘れてたあああ!」


 俺は先ほどまでの夢のような感覚を忘れ全速力で醤油の場所まで戻っていくことになった。幸い盗まれずそのまま放置されていたのでまた買いに行かずに済んだ。

重力使い「あれ、誰も居ねえ...」

対異の皆さん「あれ、何しに行ってたんだっけ?」

嘘です。話している間に誰かが捕まえに行って無事逮捕されてます。

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