漫画のような濃いメンツは現実だと絶対信用できない
「絶対警察じゃねえだろお前ら!!」
俺はそう叫んでいた。いや漫画だとこんな感じの警察の部署とかあったりするけど現実で現れたら信用できんわこんなの。怪しさの塊じゃん。というか制服着崩してるやつも居るし、お爺ちゃんも居るし、何なのこの人ら。怖っ!
「すみません、品川さんなかなか信用してもらえなくて。」
メッシュの入った女の人がそう言うと品川と呼ばれたエリートそうな男は
「警察手帳は見せたのか?」
そう言うと、女の人は忘れてたと言わんばかりの顔でこちらを見てきた。
「ごめんなさいね、すっかり忘れてたわ。これ、警察手帳よ。」
そう言いながら俺に見せてくる。後ろにいた人たちもそれに合わせるように警察手帳を見せてくる。
(これ、信用してもいいんか?いやでも最近は警察手帳の偽造とかもあるしな。うん、三十六計逃げるに如かず、あの男盾にして逃げるか。)
俺はそのまま少しづつ階段の方に後ずさりし、気配も殺しながら最上階へと向かおうとすると品川と呼ばれる男がこちらに話しかけてくる。
「君、声を聴いたことはないか?」
「声?」
「ああ、『〇〇を獲得しました』そんな声を聴いたことはないか?」
質問の意味が分からないがばれても問題がないため素直に答える。
「聞いたことある。何なら今日の朝その声を聴いたよ。」
そう答えると少し後ろの奴らがどよめく。
「なるほど。ちなみに何を獲得したんだい。」
「認識阻害だよ。使えてんのかわかんないけど。」
「そうか、だから見えなかったのか。ちなみに少年、気づいてないようだが認識阻害は使えているぞ。なぜなら、今しがた君の姿が見えずらいからな。」
俺は自分が今能力を使えることにも驚いたがそれと同時に疑問が沸き上がる。
「は、まじで。でもなんでそんなこと知ってんだよ。」
「我々も能力が使えるからだ。夕夏、試しに使ってみてくれ。」
男はそう当たり前のように言い放った。
「えっ、使っていいんですか。それならほい。」
メッシュの入った女の人が掛け声をかけると、どこからともなく炎が現れた。
「え?」
俺がそんな間抜けな声を出していると、炎はそのまま形を変え、鳥になり、蝶になり、犬にもなった。目の前の現実と言えるのか分からない光景を目にして俺は考えることを放棄す...ることは出来なかった。俺はとりあえずテンプレのような質問をするしかなかった。
「あんたら、何者だよ。」
男は誇るかのようにして名乗った。
「私たちは政府直属の異能対策機関通称[対異]の一員だ。」
どうやら今度は俺が頭を抱える番のようだ。




