不意打ちの真実
「はあ、はあ、はあ。これ思いっきりぶん殴ったけどまだ生きてるよな?」
俺は男の腕を取り脈をとる。
「よかった、生きてるわ。はあ~、つっかれた!マジで今日だけは影の薄さに感謝したい。」
緊張が解け、俺は息を吐き出した。男をどうやって倒したのか。それは単純なことだった。
まず、ひもを探し出し椅子に括り付ける。
次に男が来たら思いっきりひもを引っ張り、音を出しておびき寄せる。
最後に飛び出して頭をフルスイングでぶっ叩く。
たったこれだけのことだった。ひもはそこらにあった延長コードを使い、俺は隠れてタイミングをうかがうだけだった。
肝心な隠れ場所、これが一番度胸が必要な場所だった。階段を上がったところの端のところにある観葉植物の裏に俺は居た。男が横を見ないことを祈り、そして自分の影の薄さを信じて俺は観葉植物に潜んでいた。ひもを引っ張って音を出して男が狙い通りの場所に行くと俺はその後ろを気配を殺して追っていった。そして一番油断する瞬間、机の下を覗いたときそこら辺にあった鉄パイプで頭を一撃。
そうすることで相手に気づかれることなくそして相手の不明な力を使わせることなく倒すことが出来た。
「さて、倒したのはいいけどこの後どうしよ?えっ、警察とか呼んだ方がいいよな。救急車もか。あっ、とりあえず今のうちに縛っとくか。」
起きてまた殺されかけるのもご免なのでさっき使った延長コードで縛っておく。
「とりあえず、警察に電話するか。」
俺は階段を降り外に出てから警察に電話することにした。階段を降り一階にまで戻ると入り口に誰かが立っていた。先ほどのこともあり俺は鉄パイプを構える。入り口には夕日で細かくは見えないが女の人のようだった。それでも警戒を解くまでには至らない。すると、女の人はこちらに気づく。
「ちょっと待って!私は敵じゃない!警察側の人間だから、その鉄パイプ下ろして頂戴。」
女の人はそういうがこちらが何も言ってないのに警察だと言い、それに一人でいるのが怪しさを加速させる。
「いや、流石に信用できない。そもそも警察ならばほかにも人がいるはずだろ。なんで一人なんだよ。というかなんで敵じゃないって断言できるんだよ。」
「貴方を襲っていた男、あいつを私たちが追っていたんだけど逃げられちゃって、見つけたと思ったら貴方が殺されそうだったから私だけでもと先にここへ来たのよ。」
俺はその話を聞き確信を持つ。
「嘘だな。まずおれ以外の人を見かけなかったし、それに俺は一言も男に追われているだなんて話していない。男に追われているのを知っているのはおれと男とその仲間だ。警察ならばおれがあいつを倒す前に来て、逮捕はしないにせよ何かしらの警告をあいつに送るはずだ。それに警察にしては装備が薄すぎる。あとメッシュ入った警察なんているか!信用できる要素が一切ないんだよ!」
女は頭を抱え始める。
「ああ~、もうどうしたらいいのよ。あいつら来ないし、指示も来ないし、しかもこの子まじでただの一般人っぽいから話すこともできないし、メッシュは仕方ないじゃない勝手になったんだし。とりあえず、待つしかないわね。」
そうぶつぶつと呟いた後、俺に話しかけてくる。
「えっと、とりあえず信用しなくてもいいからここで待っててくれる。警察もこの後来るから通報しなくて大丈夫よ。」
俺はさすがに怪しさMAXの女の人を信用するわけにはいかず、スマホに手を掛けた時、そいつらが現れた。
気だるげなパーカーを中に着た青年、長身の美女、紳士そうなおじいさん、肩幅が広くいかにもエリートそうな男、それぞれスーツを着ていたがこれだけは言えることがあった。
「絶対警察じゃねえだろお前ら!!」




