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ふぇいどしゃどう 生来の影の薄さが異能になりました  作者: 夜渡
第一章 自分の影の薄さを呪いたい
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重力使い対薄影

「っち!ここでもねえか。あのガキどこ行った!」


 怒りのままに適当な机を蹴っ飛ばす。なんでこんなことになっちまったのか元はと言えばあのくそみたいな連中の所為だ。


 俺がいつも通り糞みたいな生活をしていた時、脳裏に一つの声が聞こえた。


重力圏グラビトンを獲得しました。』


 俺は何を言っているか分からなかった。だが、なぜか俺にはこの能力の使い方が分かっていた。俺の重力圏は自分の体の一部を起点としてそこから半径五メートルの重力を操る能力だった。俺はこの能力を活かし、俺を振った糞女、俺を虐めてきた糞野郎どもに復讐することにしたんだ。


 復讐自体は簡単に終わった。少し俺の力を見せつけるだけであいつらは無様に泣き叫び俺に助けを乞い、媚びへつらってきた。だけど、俺の怒りは収まらず一人見せしめに殺したらビビッて漏らしやがった。ああ、楽しかったな。残りの奴らも床のシミにして過去最高の気分で歩いていたら、いきなりお役所の制服を着たいかにもエリートそうな奴らが声をかけてきたんだ。


「すみません。この近くで殺人事件が起きたのですが何か情報はありませんか?」


 俺は自分のことだと思ったがばれはしないし凶器もないため捕まることはないだろうと白を切ることにした。


「すみません。何も知りません。」


 今思えばあの時に今すぐにでも殺せばよかったって後悔してる。夜、散歩をしていると昼間の奴らがまた声をかけてきた。


「平塚 小宮、貴方を殺人事件の容疑者として逮捕します。」


 俺にそう告げた。俺はその瞬間に逃げ出したがいきなり目の前に炎の壁が現れやがった。


「逃がしはしないわよ。重力使い。」


 そう一部に赤髪のメッシュが入った女が言う。俺は重力使いという言葉を聞き、相手が自分の犯行と能力を知っていることに気づき捕まったら死刑になるというところまで考えが至ってしまった。


「くそっ!重力圏(グラビトン)!!」


 俺は即座に能力を使用して大きく跳躍する。能力を活用しての移動は完成しきっていなかったがこの場を逃げ出す程度ならば造作はなかった。


 どこかのビルの屋上に着地してそのまま屋根伝いに逃げようとするが突風が吹きバランスを崩し転落する。能力を使用して自分に反重力を掛け落下速度を殺すが風がまたもや吹き俺はそのまま風に乗り飛ばされていく。


 そして着いたのはある公園だった。俺の周りには銃を持った警察官と思わしき奴らが大量に居り、俺のことを取り囲んでいた。


「さて、重力使い君、君は取り囲まれている。おとなしく投降しなさい。」


 俺を取り囲む警官から一人一歩前に出て俺に告げる。いかにもなエリートで恐らくあの警官どものボスだったんだろう。そいつはそのまましゃべり続け今ならまだある程度許されるだのなんだのとのたまっていた。


「はっ!俺には関係ねえよ。そんなことこの力があるんだ。好き勝手やらせてもらうぜ。その邪魔すんなら死ねっ!」


 俺はそのままそいつに向けて拳を振り放ったが拳が見えない何かに弾かれる。拳が弾かれたことで俺は体制を崩し、無防備となった俺の腹に男の拳が刺さる。


「ゴッフォ!!」


 俺はそのまま勢いよく転がり警官どもの前に転がった。警官どもはそのまま俺を取り押さえる。


「さて、実力の違いは分かったかね。このまま大人しく...全員こいつの周りから離れろ!」


 俺は奥の手を発動した。能力の起点を指先に指定し、範囲を指先から1メートルの半円状にして発動する。


暗黒圏ブラックホール


 空間が歪み始める。範囲を絞っているとはいえその範囲の重力がぐちゃぐちゃとなり周りを吸い込むブラックホールとなる。俺の指先を起点としたため起点となった指はすぐに消滅しブラックホールも消えたが、警官どもは全員離れており俺はその隙に自分に全力で反重力を掛け、上に体を飛ばしそのまま逃げることに成功した。


 その後はお察しの通り、逃亡生活だ。時々現れる奴らに能力で対処しながら逃げていたが限界だった。その時、あのガキが現れた。空腹と眠気と奴らへの怒りで俺は憂さ晴らしに殺そうと思ったらここまで逃げてきやがった。でもまあ、あとは最上階だけだ。ガキは確実にそこにいる。俺は後はどうやって楽しむかしか頭になかった。


「ひひっ!どうやって殺そうかな。ああ、いっそ能力を使わずに殺すっていうのもいいな。どうせばれてんだから。」


 俺は階段を一つづつ上がっていく。どうやって楽しむかを考えながら階段を上がりきる。ぱっと見いないが確実にここのどこかにいるはずだ。


 その時、並んでいる机の一か所で「ガタッ!」と音が鳴る。ゆっくりと音のなった場所へ歩いていく。


「見~付けた。どこへ行こうというんだい。さっさと出てきなy」


「ゴンッ!」


 机の下を覗くと誰もいない、その瞬間、鈍い音が響き視界が暗転していく。何が起きた?俺の体は力が抜けてゆきどさりと地面に打ち付けられた。最後に見えたのは鉄パイプを持ったガキだった。


 意識が朦朧としてゆく中で俺はそれを否定する。なぜなら机に近づくまで一切ガキの姿が見えなかったからだ。身を潜めるところは机ぐらいしかなかったはず。それならば覗いたときに見えるはずなのに姿が一切見えなかった。考えても何も分からない。


 そして俺の意識は暗闇に沈んでいった。

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