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ふぇいどしゃどう 生来の影の薄さが異能になりました  作者: 夜渡
第一章 自分の影の薄さを呪いたい
2/7

朝の声何だったの!?

『認識阻害を獲得しました』


 俺の朝は機械音声のようなそんな無機質な声に告げられて始まった。


「ん?んん~?なんだ幻聴か?つか認識阻害を獲得ってなんだよ?まあとりあえず起きるか。」


 俺は少し困惑しながらもベッドから降り一階のリビングへ向かう。


「おはよ~。」


 キッチンに向けて挨拶をするが返事が返ってこない。


「あれ。今日はおれが一番早く起きたのか?珍しいな母さんが起きてないなんて。」


 朝飯の準備をするためキッチンへと向かうと母さんがいた。


「あれ、母さんいるじゃん。返事ぐらいしてよ。」


「あら、いつの間に起きたの?あんたってホントに影薄いわね~。もう少し大きな声で挨拶しないと気づかないわよ。ほら朝ご飯の準備してるんだからあっち行った。」


「へぇ~い。」


 俺はリビングの椅子に座り朝飯の完成を待つ。その間にテレビをつけぼーっとしながらニュースを眺める。


「昨夜未明またもや大規模な破壊跡が発見されました。破壊跡は半径五メートルにも及びかなりの威力があったことが伺えます。専門家は新たな兵器の可能性を疑っており...」


「物騒ねぇ。あんたも気を付けなさいよ。」


「はいはい、分かってるって。それに実際の被害者とかはいないんだし大丈夫だって。」


 そう言いながら朝飯を食べ終わり、俺は学校へと出かける。


「それじゃ、行ってきま~す。」


「はいはい、行ってらっしゃい。」


 特に変わることもない通学路を歩いていく。目の前に見覚えのある姿が見える。俺はこっそりと近づき背中を叩く。


「よぉ、おはよう。いい天気だな千景!」


「痛ってぇ!なんだお前かよ。びっくりしたわ。お前ほんと影薄いというか気配なさすぎなんだよ。忍者かお前は!」


 こいつの名前は[村雨 千景]俺の親友とも言える奴だ。名前はかっこいいわ、運動神経はいいわ、顔もいいわでモテるため逆に何持ってねえんだよ聞きたいくらいの人物であるが彼女はいない。本人曰く幼いころに出会った初恋の人をいまだに思っているようで告白をすべて断っているらしい。


「そういえば聞いたか、ここの近くで破壊跡が見つかったらしい。」


「まじで!?結構やばくねそれ。」


「そう。マジでやばいんだよ。警察もここら辺に沢山来るらしい。」


「ええ~。じゃあ、まだこの近くに犯人居る可能性あんのか。怖えぇ~。」


 俺たちはそのまま話を続けながら学校まで歩いてきた。俺たちは今年二年生となりちょうど一学期の中間テストが終わったころだった。教室の扉を開け、荷物を置き自分の席に座る。席の位置は左端であり前に千景がいる。


「おはよ~。小夏さん。」


「う、うん。おはよう。それに千景君もおはよう。」


この人は隣の席の[日向 華菜]影の薄い俺を唯一見つけられる存在だ。友達の千景ですら俺が人ごみに紛れたら絶対に見つからないのに小夏さんだけは見つけてくれるから校外学習の時はよく班を一緒にされている。そのため俺は迷惑じゃないか常々思っているがそんなことを一切気にしないどころかこっちを気にかけてくれる聖人である。本当に俺にはもったいないぐらい本当によくできた友達である。


「三人ともおっはよー!今日なんかみんな早いねー。」


 最後に来たこの女子生徒は俺たちの共通の友人こと[四葉 結花]だ。一言で表すならば陽キャ。この一言に限る。誰とでも仲良くなる性格、ひと際目立つ容姿、そしていつの間にか人の輪の中心にいるのが結花という女だ。ぶっちゃけ、なぜかいつも気づかれない俺からすると羨ましくは思っているがなぜか不思議と嫌な感じはせず、どちらかというと好ましく思っているため仲のいい友人として付き合っている。


「まあ、今日は早く目覚めてからな。」


「おれも同じく。」


「私も。」


「えっ、じゃああたしだけいつも通りに起きたの?なんか仲間外れっぽくてヤダ~。」


「別にいいじゃん。寝坊しないだけましだよ、まし。」


「そうだな、誰かさんみたく寝坊したのに気づかれないよりかはましだ。」


「本当にあれは酷かったね...」


「あれ、おれガチ目で傷ついたんだからな。つか、その時おれ、いないって言ってくれよ。先生に寝坊しましたって言ったとき『あれ、お前いなかったの?』みたいな雰囲気軽くトラウマなんだからな。」


「まあ、過ぎたことは仕方ない。あれ俺も気づいてなかったんだから仕方なかっただろ。」


「親友としてそれは酷くね?」


「だってお前影薄いし。気づきにくいんだよ。」


「そういえば、鏡司また影薄くなった?なんか目話したらすぐ見えなくなりそうなんだけど。」


「え、マジで?おれこれ以上影薄くなんの?誰も気づけなくなるよ?どうしたらええんや。」


 俺はこれ以上影が薄くなることに対してエセ関西弁が出るほど動揺していた。


「大丈夫だよ!私がちゃんと見つけるから!」


「おれの味方は小夏さんだけだよ。この薄情者どもがよ~。」


 そんなこんなで喋っているとチャイムが鳴る。俺たちは自分の席に座り、先生の話を聞き、朝のホームルームが終わる。


 はい、そんなこんなで帰りのホームルームも終わり下校の時間となりました。いや~一切何もなかったね。部活はどうしたって?陸上部に入ってたけど先輩の馬鹿どもがやらかしたせいで部活なくなったため帰宅部だよ。マジで何してくれてんねん。まあ、そうして俺は帰路に着く。


 はい、無事に家に帰りつけました。帰り道に事故に巻き込まれることも犯罪に巻き込まれることも逃げる美少女と会うこともなかったよ!いや、別に平穏が一番だけどさ!朝のあの声聞いたらなんか今日あると思うでしょ!


「はぁ~」


 俺は溜め息をつきながら自分の部屋に戻り着替える。


「ちょっとー、いま暇ー?」


 母さんから呼ばれて俺は一回に降りる。


「何か用?」


「ちょっと今日の晩御飯の材料の醤油切らしたから買ってきてくれない?」


「はーい、んじゃちょっと行ってくるわ。」


 俺は近くのスーパーへと向かい醤油と自分用の菓子を買うことにした。


 まさか、あんなことが起ころうとは思いもせず。

主人公の会話文での一人称は「おれ」となります。

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