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気づかれない天使

作者: KUMICHOU

朝6時30分、都心の空に異世界の門が開く。金色の光が溢れ、私、リリアは現世に降り立つ。白い翼を震わせながら、健太の住む古びたアパートの前に立つ。*やっと会えた…健太! やっと!* 前世で共に戦った仲間、佐藤健太。あの時、彼は剣を手にワイバーンを斬り、笑顔で「次は俺が守る」と約束した。でも、死に別れた。あの戦いで全滅した。なのに、2周目の今、彼は…! 窓の外で、ワイバーンがギャオオオ!と咆哮し、ホログラムのような姿でビルを突き抜ける。普通の人間には見えないらしい。道行く人はスマホをいじり、鼻歌を歌う。私は叫ぶ。「健太! やっと会えた! 助けて!」 涙がこぼれそうになる。


アパートのドアが開き、健太が出てくる。グレーなスーツ、白いシャツ、紺のネクタイ。*変わってない、健太のあの無難な感じ!* でも、ワイバーンがビルを突き抜ける中、彼はスマホをいじり、私をチラッとも見ない。「ねえ、健太! 無視!? 仲間なのに!」と叫びながら、光の剣を握り、ワイバーンの鱗に斬りつける。火花が散り、翼がバサッと揺れる。健太はコンビニの店員に会釈し、歩き出す。*無視!? 健太、ホントに!?* 若者が「空にトカゲ!?」と叫ぶが、店員は「いらっしゃいませー」とニッコリ。私には関係ない。ワイバーンの火炎が迫り、光の盾で防ぐ。「健太、助けてよ!」 でも、彼はイヤホンを耳に突っ込み、歩き去る。


駅までの道、ゴーレムが車をグシャッと踏む。ホログラムのような巨体が揺れるが、通行人は信号待ち。*この世界、見える人と見えない人がいるんだ…健太は見えてるはず!* 光の矢をゴーレムに放ち、岩のような腕を砕く。「健太、お願い!」と叫ぶが、彼はスマホをスクロール。*昔は一緒に戦ったのに!* ゴーレムの拳が迫り、翼を広げてかわす。汗と涙で視界が滲む。駅のホームでは、数人が空を見て震えるが、ほとんどの人は平然。健太は電車に乗り、吊り革につかまる。窓の外でオーガがガオーッと吠え、私は光の鎖でその腕を縛る。「健太、見てて!」 鎖が軋む中、彼は文庫本を開く。*本!? 今、本!? 健太、ずるいよ!* 電車の広告に「異世界生物対策キット」とあるけど、健太は「ダサい広告」と呟くだけ。


8時20分、健太が会社のある駅に着く。ビルの1階のカフェはコーヒーの香り、客は談笑。ワイバーンが火をブオッと吐き、私は光の盾で防ぐ。「健太、頼むよ!」と泣くが、彼は素通り、エレベーターへ。*こんな時にエレベーター!?* オフィスで、カードキーをかざす健太に、私は金色の光で現れる。オーガがビルを叩き、ガラスが揺れる。「健太! お願い、助けて!」 光の剣でオーガの足を斬るが、彼は「おはよう、山田さん」と同僚に声をかける。*無視!? スーツ着て普通のふり!? ずるいよ、健太!* 同僚の山田さんが「光が…変じゃない?」と呟くが、健太は「ニュース見てないっす」と笑う。私はオーガの拳をかわしながら、涙で叫ぶ。「健太、仲間でしょ!」


健太はデスクでパソコンを起動。私は給湯室の窓の外で、ゴーレムと戦う。光の槍で巨体を突くが、岩のような腕が迫る。「健太、こんな時にコーヒー!?」 彼はカップを手に「資料どこだっけ?」と呟く。*コーヒー!? ホントに!?* ゴーレムの咆哮でビルが揺れるが、同僚は書類を整理。*見えないんだ、この人たちには…でも健太は見えてる!*


10時、会議室。クライアントの50代男性は見える側、汗だくで窓をチラ見。30代女性は平然とメモ。外でオーガが咆哮、私は光の剣で斬りつけながら「健太、仲間でしょ!」と泣く。健太は資料をプロジェクターに映し、淡々と説明。男性が「佐藤さん、こんな時に…」と呟くが、健太は「どの部分が?」と聞き返す。*こんな時って、わかるでしょ!?* 1時間で終了。男性が「佐藤さん、気をつけて」と囁くが、健太は「ありがとうございます」と返す。私はワイバーンに追い詰められ、「健太、逃げないで!」と叫ぶ。彼は「トイレ」と呟いて逃げる。*トイレ!? 健太、ひどい!*


12時、昼休み。定食屋へ向かう道、ワイバーンがビルを突き抜け、ゴーレムが車をグシャッ。私は光の矢を連射し、「健太、助けて!」と叫ぶ。通行人は平然、数人が「見える!?」とスマホ撮影。定食屋では、客の一人が「怪物が!」と叫び、店員は「は?」と怪訝。私はゴーレムと戦いながら、健太のテーブルに現れる。「健太、カツ食べてる場合!?」と泣きツッコミ。彼は「醤油取ってください」と店員に言う。*カツ!? 健太、信じられない!*


13時、チームミーティング。窓の外でワイバーンが火を吐き、私は盾で防ぐ。「健太、見てて!」 同僚の鈴木さんが「何か…見える」と呟くが、健太は「集中しましょう」と笑う。*集中!? 私、必死で戦ってるのに!* ミーティングは30分で終了。午後、健太はコードレビューと資料作成。私は窓の外でゴーレムと戦い、光の鎖で縛る。「健太、約束したよね!」と涙声。彼は「コーヒー切れた」と席を立つ。*コーヒー!? 健太、ホントに!?*


17時、定時。健太はパソコンをシャットダウン。山田さんが「変な光が…」と言うが、健太は「お疲れです」と返す。私はオーガと戦いながら「健太、置いていかないで!」と叫ぶ。帰りの電車、窓の外でワイバーンが飛び、私は光の剣で応戦。「健太、お願い!」 彼は文庫本を開く。*本!? 今!?* 18時、アパートに到着。隣の大学生が「何か見える!?」と叫ぶが、健太は「忙しくて」と笑って部屋に入る。


健太の部屋のキッチンで、私はワイバーンと戦う。「健太、炒め物!? 助けてよ!」と泣きツッコミ。彼は「醤油切れた」と呟く。*醤油!? 健太、なんで!?* 夜、健太が風呂に入り、ベッドに潜り込む。私はアパートの外で、ワイバーン、ゴーレム、オーガに囲まれる。ボロボロの翼、汗と涙でぼやける視界。「健太…お願い…」と嗚咽。すると、ワイバーンが低く唸る。「お前、仲間に見捨てられて可哀想だな…」 ゴーレムが重い足を止め、「天使、頑張ったよな」と唸る。オーガが「俺たちも戦うの疲れた。休もうぜ」と肩を落とし、私を囲んで座り込む。「健太…なんで…」と泣く私に、ワイバーンが「まあ、落ち着けよ」と翼で背中をポンポン。ゴーレムが「アイツ、冷てえな」と呟く。私は嗚咽を堪え、魔物たちに囲まれながら空を見上げる。

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