第3.5話:設定6女子と、宿屋で同室だと…?
ミラが勝手に俺の“相棒”を名乗り始めて数時間後。
俺たちは、近くの村の宿屋に泊まっていた。
「で? 今後の方針は?」
「ちょ、まずは自己紹介からにしね? 初対面だよね?」
「うっさい。私はミラ。設定師協会の特級エージェント。自称・設定6。あなたは“スロスキル所持者”として、私の同行対象に認定されたの」
「圧がすごいな…」
その夜、宿屋にて。
「ちょっと! なんで同室なのよ!!」
「いや、宿屋の部屋ひとつしか空いてなかったし! 俺も被害者だし!!」
ピカリ「ちなみに私はGOGOランプだから、ベッドじゃなくて台に乗って寝まーす♪」
(※何それ可愛い)
ベッドは1つ。空気は最悪。距離感ゼロ。
「……おい、そっち向くな」
「そっちこそ寝息うるさかったらREG扱いするからね」
「それどういう意味だよ!!」
翌朝、村の広場。
「さて、情報整理するわよ」
ミラによると、世界には「設定差ダンジョン」と呼ばれる特殊な迷宮が存在し、その制覇が勇者認定の条件らしい。
「あなたのスキル、【確定演出】は唯一無二。協会的にも超レア人材よ」
「いやいや、昨日までただのスロ負け男だったんだけど…?」
「その負け額、逆に信用できるわね。中身が詰まってる」
「ひどくね???」
村の掲示板には、初心者向けのダンジョンが案内されていた。
【初級ダンジョン:カクトクの迷宮】
報酬:メダル/経験値/たまに設定差
「よし、行くわよ。設定6の出番ね!」
「いや、自称だからね!? しかも勝手に決めるなーっ!!」
ピカリ「うわー、めんどくさいカップル爆誕〜♪」
こうして、
俺(自称:設定−2)
ミラ(自称:設定6)
ピカリ(GOGO精霊)
3人パーティが、“カクトクの迷宮”攻略に向かうのであった──