第1話 クメメックの大時計
セリア・フローレンスは世界をより良くする為に生まれた。
世界の始まりの地と呼ばれる。ココアガラ遺跡のあるココアガラ帝国からセリアの旅は始まった。
どうにも、ここ最近、時間の魔物という生き物が街に出て悪さをしているという。
セリアと母の思い出の場所、それは大木のある広い丘。
セリアはもう会えないうろ覚えの母の顔を思い浮かべながら、大木にそっと優しく触れた。
「母さん、いってきます」
それから、街へ向かった。
地面は歩きやすい石畳で覆われていてとても綺麗な場所だった。
街の人々も楽しそう。セリアはそのうちの1人に声をかけた。
「こんにちは、奥さま。私は、セリア・フローレンスです。最近何かお困りの事はございませんか?」
セリアの声にその女性が振り返る。
「奥さまって、あたしのことかい? セリア、あたしはケイトア・ラスア。ケイトでいいよ」
「では、ケイト。最近、何かおかしなことなどはありませんでしたか?」
ケイトは考え込むと、思い出したように話し出す。
「そういえば、最近、時計がおかしな時間に鳴るって言う話を聞いたよ。クメメック通りの本屋の前に大きな時計があって2、3週間前からおかしいらしいよ」
セリアは考え込むと、すぐに顔を上げた。
「わかりました。貴重なお話をありがとうございます」
「どういたしまして」
セリアはケイトに会釈し、また歩き出した。
セリアはこの街出身ではない。セリアの母は大木のある広い丘の近くに石造りの家を建てそこで暮らしていた。
その為、セリアもあまりこの街に詳しくない。セリアの母が亡くなってからは、籠もりがちになっていたからだ。
そうこうしているうちに、セリアはクメメック通りの本屋に到着した。
クメメック通りは先程ケイトと会った、ケイク通りとは打って変わって静かな所だった。
セリアは本屋の前に立ち、看板を見上げた。
Redonee books
異国の言葉で、セリアには読めなかったが発音はレドニー ブックスと言う名前らしい。本当はもっとスペルが違ったらしいが店主がこの文字の並びが気に入ってしまいそのままの名前で残されているのだとか。
セリアが軽くノックしドアを開けて中に入る。
中に入ると、奥の広い机に店主らしき老夫が座って本をめくっている。
セリアの気配で店主が顔を上げてセリアの方一瞥すると、すぐに目線を本に戻した。
「あの、時計がおかしな時間に鳴るというのは本当ですか?」
セリアは店主に声をかけた。
店主は顔を上げる。セリアをじっと見つめると口を開いた。
「あぁ、そうだよ。ここ3週間前からの話さ、一時間おきにきっちり鳴っていた時計が突然、3時間おきや、5時間おき、それから5分おきと上げ出したらキリがないが。時計がおかしくなってしまったんだよ。ここらの者は皆あのクメメックの大時計を当てにしてきたのに、鳴る時間がでたらめなせいで、パン屋は朝寝坊が増えたり、ケーキ屋は時間がわからなくなってケーキを焦がすことが増えたり、鍵屋は時計の音で眠れなくなったり、ここ近辺の時計という時計が一斉に壊れてしまったようなんだ」
セリアは店主の話を真剣に聞いている。
セリアはにっこりと笑顔を作ると一礼した。
「わかりました。お話、ありがとうございました」
店主は軽く手を振ると言った。
「いや、何せ最近のクメメック通りは前の活気は消え失せ、皆今の時間すらわからない状態だ。時計屋は皆が一斉に時計を持って行ったせいで悪夢にうなされているらしいし、可哀想なものだな。助けてやる力さえあれば、あいつの為に何でもしてやれたのかもしれんな。嬢ちゃんも気を付けなよ。時計を持っていると何か良からぬことに巻き込まれるかもしれないからな」
店主は真剣にセリアの心配をしてくれていた。
「はい、大丈夫です。私は時計を持っていないので」
「それなら、少しは安心なのかもな。時計屋が言うには、何か魔物の仕業かもしれないらしいし」
セリアは深く頷くと本屋を後にした。
本屋から出るとすぐに例のクメメックの大時計が見えた。
大時計はチクタク、チクタクと音を立てて動いていた。
2時19分、2時21分、2時22分。
突然時計が、ゴーンゴーンと音を立てて鳴り始めた。
「本当でしたね、時計がおかしな時間に鳴るというのは。さぁて、どうしましょうかね…」
セリアはクメメックの大時計に手を触れる。
時計は金属でできており、触ると少し冷たい。今の季節は秋が終わり、冬の始まりといった頃合いだ。
(時計からとても少量ですが、魔力を感じますね)
魔力とは、人間わざとも思えない、魔術師だけが持っている不思議な力のことをいい、魔法とは魔術師が魔力を使用し、使うことが出来る不思議な術のことをいうらしい。
セリアは時計の後ろ側へ回った。
「これは!」
時計の裏側には数多くの魔術具を作ったという、とても有名なスノーアイスの名が彫ってあった。スノーアイスは、この名と30年前に数々の魔術具を作ったということ以外は一切不明。その為、スノーから由来して、 “雪原から舞い降りた創造主”と呼ばれている。
「これは、魔術具だったのですね。見た感じ、状態異常無効化…と、経年劣化による破損を防ぐ、といったところでしょうか?」
主に状態異常無効化とは、この時計に対して魔術などに寄る干渉を受けた場合にそれらを全て無効化し、何者からの干渉も受けなくする術のこと。
(通常、魔術具の時計は存在しないとされています。そもそも消耗品である時計に皆長持ちを期待していないのもありますが、花縁祭というお祭りで毎年時計を大切な人に渡すと言う風習があるからと言う理由が大きいのです。製作者、スノーアイスはただこの時計を長持ちさせたかっただけでしょうか?それとも他に理由が?)
『ゴーン ゴーン ゴーン』
セリアが考え込んでいるうちに、また大時計が鳴ってしまった。
「取り敢えず、本屋さんのお知り合いの時計屋さん、は悪夢にうなされているということなので、後にして。では時計の音で眠れないと言う鍵屋さんの所に行ってみましょうか」
鍵屋に着くと、closeの看板が下がっておりとても営業しているようには見えない。
「すみませーん。時計について何か知りませんか?」
少しして、扉が開いた。
「何の用だ? 君は誰だ」
中から不機嫌そうで少し顔色の悪い男が出てきた。
鍵屋の店主は深い緑色の髪に臙脂色の瞳で、使い込まれたエプロンを付けている。
(眠れなくて少々荒れているようですね…)
「こんにちは。私はセリア・フローレンスです。何かお困りのことはありますか?」
話を聞いてみると、どうも年若い夫婦で営んでいるらしく、小さな7歳の男の子がいるらしかった。
「なるほど、2週間ちょっと前から、息子さんが体調不良に…」
(時計の音で眠れないという情報は間違いだったようですね。恐らく、息子さんの体調不良が原因で店主も眠れなくなってしまったのでしょう)
「そうだよ、息子がずっと目覚めないんだ」
(目覚めないというとかなり重症ですね。時間の魔物…?の影響でしょうか?)
「そのお子さんというのはどちらにいらっしゃいますか?」
「…」
沈黙の後、鍵屋は無言で奥の部屋へ案内してくれた。
少年がベッドに横になっており、かなり苦しそうにしている。
(とても苦しそうですね。それと少し魔力を感じますね。この魔力は、先程の大時計の物と同一の…)
その時鍵屋の店主が口を開いた。
「悪いが少し部屋で横になりたい。息子のことを少しだけ見ていてもらえないだろうか」
(恐らく、ここ何日も寝られていないのでしょう)
店主は会ったばかりの人に息子のことを頼むなんておかしいと言うことはわかっていた。だが、セリアにはどこか言葉にできない安心感があった。
「はい、わかりました。これをどうぞ、睡眠を深くして疲れをとってくれる薬草です。顔の近くに置くだけで効果がありますので」
「ありがとう…」
鍵屋は一瞬、頭痛に耐え苦し気な表情をした後、部屋から出て行った。
「トキ様、いらっしゃいますよね?」
セリアは何もないところに声をかける。
スーッと現れたのは時間の魔物…、改めトキだ。
見た目は木のような形をしており、枝にたくさんの時計がぶら下がっている。
木の幹に顔があって、瞳には薄っすらと時計のような模様が入っている。
「何故、時間の支配者たるあなたがこのようなところにいるのです」
「…、……」
トキはセリアの圧に気圧されて、言葉に詰まっている。
「それと、クメメックの大時計に状態異常無効化がかかっているにも関わらず、時計がおかしくなったのは何故です?」
「っ…!」
トキはもうだめだと観念したのか、話し始めた。
「ある時、私はこの街を訪れた。皆私が見えないかったが、この街の人々は毎日がとても楽しそうだった。お祭りをして、時計を送り合って。私もこの街の人々を見ているうちになんだかここがとても気に入ってしまったのだ。その内に、私はここを離れたくないと思うようになってしまった。そんな時だった、スノーアイスが現れたのは。スノーアイスは魔術師だった。だから私が見えるし、話すこともできた。それからというもの私はスノーアイスと少し話すようになった。スノーアイスはここに大時計を造ると言った」
「ここに大時計を造るから、お前はそこで暮らせばいい」
「私を追い出さないのか?」
トキの言葉にスノーアイスは頷いた。
「追い出すも何も俺はここに住んでいる人間じゃない。お前の自由だ」
「スノーアイス?」
「あぁ、俺はスノー…。いや、何でもない お前の暮らすこの時計が誰かに壊されるのも、古くなるのも嫌だから、状態異常無効化の魔術をかけておく。お前も時計に干渉できなくなるが、それでも構わないか?」
「あぁ、私の為にありがとう」
「状態異常無効化をかけたから、お前は…、好きにするといい…。俺はもう行く」
それから、スノーアイスはそう一言だけ残してこの街を去った。
(スノーアイスって男の方だったんですね)
「そうして私はこの街で静かに暮らしていた。そんな時、ルアに、この子に出会った」
そう言って、トキはベッドに横になっている男の子に手のような枝で優しく触れた。
(男の子には珍しい名前ですね)
「私は大時計の中に住んでいて。毎日楽しかったが、ルアは違ったようだった。魔力を持っているが、両親に言えず、毎日、大時計の前でいろいろとつぶやいていた。 ルアの力になりたいと思った」
(トキ様程の者がご興味を持たれるなんて珍しい)
「私は時計から出て人型の姿でルアに話しかけた。しかし、ルアには少し負担があったようだ。元々体の弱い子だったから。私の膨大な魔力に当てられて、今は私の魔力を毒としてルアの体内で私の魔力とルアの魔力が戦っている状態だ。このままだと、最悪もう…」
トキは悲しみで涙を滲ませた。
「わかりました。私にできる限りのことはします」
「頼む。私もルアを治してあげたかったが、私は時間を操る。この能力しか持っていない。しかし、状態異常無効化の影響で上手く作用せず、街の時計の時間を早めようとしたが、どうやら大時計の周囲は効かないようで、耐えきれなかった小さな時計達は壊れ、大時計は鐘の音を鳴らす間隔をずらすぐらいしかできなかったのだ。ルアを助けてくれ」
トキのやったことはルアの苦しく、辛い時間を少しでも短くしてやれないかと思っての行動だったのだ。
「わかりました。今回だけですからね?」
トキはうんうんと頷く。
「わかった。そういえば私、魔物とか言われているの?」
半ば泣きそうな声でトキがセリアに聞く。
「そうですよ。時間の魔物と言う噂を耳にしました」
「時間の魔物!? え?なにそれ…こわい…」
自分の呼び名に引き気味のトキにセリアが言う。
「そのようなお姿で動かれるからです。普段は人型なのに、こんな時に限って本来のお姿になるからです」
「ここでは、変化が上手く使えないくて…」
トキは悲しそうに言う。
「それは恐らく、鍵屋なので鍵を作る、開ける、閉めるなどの動作によって無意識に結界のような物を作りだしてしまっているのではないでしょうか」
鍵屋はたくさんの鍵と錠を作っている。扉の鍵だった場合、錠を通して鍵で占める。それによって、結界を張ったかのような効力が出てしまっていた。先祖に結界術に関連する製法を教えた者が居たのかもしれない。
そして、ルアの部屋にも勿論、鍵がある。
結界とは一定地域を聖域として定めることであり、トキの場合はその聖域によってすべての術が解かれてしまった状態である。
「なるほど…」
(助けてと言われても。私は魔術師ではないのですが…)
トキが潤ませた瞳を向けてくる。
(世界樹の枝を使うほかないようですね…)
セリアはどこからともなく何の変哲もない枝を取り出した。
どこからともなく取り出した時点で、只者…只枝ではないのかもしれない。普通なのは見た目の話だ。
短く呪文を唱え、枝をルアの方へ向ける。先に付いていた葉が揺れた。
枝から、光がルアの方に向かって伸びる。
少しの間、ルアに向かって注がれた光は離散して消えてしまった。
セリアはすぐに枝をまたどこかにしまう。
そして何かを感じ取ったのか鍵屋の店主が妻を連れて部屋に入って来た。
「…」
(やはり、気になって眠れませんでしたか…)
その時だった。
横になって苦しそうだったルアが目を瞬いて起き上がった。
「っ…!!」
セリアとトキが反応するよりも先に鍵屋の夫婦がルアに抱きつく。
「「ルアッッ!!」」
「どうしたの?お父さん、お母さん?」
無邪気な笑顔を向ける息子に夫婦は涙を流した。
「セリアさん、ありがとうっ…!」
「どういたしまして。元気になって良かったですね」
その時にトキが口を開いた。
「ユッ…」
「すみません、少し席を外します」
セリアはトキの口を押さえ引っ張って急いで外に出た。
「トキ様、あなたには話したいことがたくさんあります。丘に行きましょうか」
丘を登りきるとセリアはトキに背を向ける。
セリアの髪が風で靡いた。
「ユグドラシル。どうしてそなたがこんなところに?」
「その言葉、そっくりそのまま返します。…と言いたいところですが。後、あなた鍵屋さんで私の名を呼ぼうとしたでしょう!?」
「それは、すまなかった…」
「あなたのことが見える男の子までいるんですから気を付けてください。私の正体がバレるのはあまり都合が良くないのです」
風を受けながらセリアが口を開いた。
「そうです。私はユグドラシル。世界樹です。いいですよ、少しだけ私の話をしましょうか」
「え、長いのはいやだ…」
トキが嫌そうな顔をして言った。
「ちょっと!私も聞いてあげたでしょう!!」
「わかった、わかった。聞きます、聞きます」
トキの若干雑な対応に少しムッとしながらセリアはまた話し出した。
「私は世界樹なので何百年も生きています。あぁ、あなたは時の神ですからそれくらい知っていますか」
そう、トキは八神と呼ばれる。この世界のリーダーである、8人の内の一人である。
「毎日、毎日つまらなくて時々、世界樹から分け身を作ってよくここに遊びに来ていました。そんな時、母。マーガレット・フローレンスに出会ったのです。母は少し変わり者で、私によく話しかけてくれました。私が正体を明かすと驚きながらも、丘に家を建ててまで世界樹と分け身の私の世話をしてくれました。それから人間のいろんな話を聞いて、楽しかった」
セリアの瞳から涙が伝う。
「母と約束をしたんです。ユグドラシル、世界樹として、この世界を良くすると。だから私は母が亡くなった後も約束を守ります」
セリアは涙を拭うと満面の笑顔をトキに向けた。
「私、セリア・フローレンスは世界をより良くするために旅をしています!」
「そうか、応援している」
そして、トキと共にまた丘を下り鍵屋へと戻った。
そう、丘にある大木は秘匿されているが、世界樹だったのだ。
「まだ、解決していない問題がありますもんね」
ルアはまだどうやら例のことを話せていないらしく、両親の前でまごついている。
「あの、ルアくん。魔術に興味はありますか?」
セリアの一言にルアは頷く。
鍵屋の夫婦は頭の上に疑問符を浮かべている。
「ルアくん、お父さんたちに言っても大丈夫ですか?」
ルアはトキに目を向けるとセリアの方を向いてもう一度頷いた。
「ルアくんには魔力があります。魔術師の才能があるんです。魔術師の学校に行ってみませんか?」
セリアの言葉にルアは目をきらきらと輝かせた。
「僕が魔術師の学校に!?」
鍵屋の夫婦は驚きで目を瞬いている。
「この子に魔術の才能が!?」
「すごいじゃないかルア!」
鍵屋の店主はルアを抱き上げると、3人で抱き合った。
「セリアさん。ルアを魔術師の学校へ連れて行ってくれませんか?」
通常、魔術師の学校はかなり街から離れたところにあり、普通じゃ絶対に行けないような場所にあるのだとか。
「私は無理なのですが、当てがあります。少し、家の外に出て貰っても良いでしょうか?」
「それは、構いませんが…」
夫婦はルアに視線を向ける。
ずっと寝たきりだった息子を心配そうに見つめている。その視線を感じ取ったのかルアが口を開く。
「僕は大丈夫。一緒に行くよ」
トキ含め全員で外に出る。
「トキ様、変化を使ってご夫婦にも姿が見えるようにしてください」
「???」
セリアの言葉に夫婦は困惑する。
「仕方がないな」
トキは人型に変化する。
突然、目の前に現れたトキに夫婦は驚きを隠せない様子だった。
「私は時間の神、トキ。ルアは私が責任を持って魔術師の学校へ連れて行って差し上げよう」
セリアがトキにウインクしながら言う。
「では。後は、トキ様に任せるので私はこれで失礼します」
「では。後は、トキ様に任せるので私はこれで失礼します。じゃなく‼ もしかして、私をここに置いて行く気か!?」
「はい、そのつもりですが、何か?」
トキが驚愕の表情を浮かべる中、ルアが言葉を発した。
「トキ、様?は、ずっと僕の近くに居てくれましたよね?嬉しかったです」
「そ、そうか。それは良かった」
セリアがあっと声を上げる。
「そうでした。ルアくん、これを」
ルアがセリアから受け取ったのは、世界樹の葉だった。
「これは?」
「それは世界樹の葉です。持っていれば、そうそうは強い魔力を感じても体調を崩すことはないはずです」
「セリアさん、ありがとう」
「はい、どういたしまして」
セリアは視線をルアから、夫婦へと移す。
「お二人は、私がここを去るから今私に頼んだのですよね?それでしたら、このトキ様にお任せ頂ければ問題ないかと。それにまだ、ルアくんは7歳でしょう? 親から離れるのは少し早いと思いますし…。ルアくんが魔術師の学校へ行ってももう大丈夫とお二人が思われた時に学校に行けば良いと思います。私は時計屋にも寄って行きたいので、そろそろお暇させて頂きます」
セリアは一礼して時計屋へと向かった。
「悪夢にうなされている、と。面倒ですね、外から世界樹の光でも送ってみましょうか…」
セリアはまた世界樹の葉を時計屋の建物に向けた。
光がきらきらと時計屋の方へ向かっていく。
また、光が離散して消えてしまった。
「よし、これでやり残したことはありませんね?」
その頃、店内では時計屋の店主は悪夢から目覚め笑顔を取り戻したのだった。
時計屋の店主が、具合が良くなったと本屋を訪れるのはまた別のお話。
セリアの、世界樹の能力は癒し、浄化、それから転移などだが。他にもいろいろな魔術は全て使うことができるという。
しかし、覚えていない、または使ったことのない魔術は使えないそうで魔術書を読んで習得しなければいけないのだとか…
そして、セリアは次の街へと向かうのだった。




