表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

64/68

64 時計櫓の情報は

(まずいわ。なぜここにサイラスが……。どうすれば……)


ロザリオは親指をかみながら必死に考えをめぐらす。


すると、隣にいた莉央がすっと動いて一階へおりていった。


「サイラスさまー。オルビスさまー。こんにちは」


受付にいる二人に声をかける。


「莉央さま。こちらにいらしたんですね


オルビスが莉央に笑顔で話しかけながら、あたりを見回すように首を左右に振った。


そんなオルビスの様子になど全然おかまいなしに、莉央は話を続ける。


「サイラスさまとオルビスさまは、なにをしにこちらへ?」


「おお。莉央。俺たちは、時計櫓のことでちょっと調べたいことがあって、書館に来たんだ。莉央は一人か?」

サイラスの質問には答えずに、莉央は話を続けた。


「花音さんから時計櫓の件は、聞きました。私もぜひ一緒にのぼりたいです」


「もちろんだ。莉央とおりかも一緒に見学にのぼってくれてかまわない」


「わたくしもご一緒させていただきたいわ」


ロザリオも二階からおりてきていた。



**********

 

おりてくる直前、ロザリオは壁際に控えていたセイラに言った。


「二人の状況の確認を。もし話せるようだったら、オルビスたちがここへ来ていることを伝えて。莉央とわたくしは、下で二人を足止めするわ。もしもの時は……セイラ、おりかたちを書館の奥へ」


**********



ロザリオの声に、サイラスが驚いて階段のほうを見る。


「ロザリオ! 書館へ来ていたのか。偶然だな」


「わたくしは、よくここへは来ていますわ。王族の資料も多いし、静かに勉強をする場としても最適。サイラスのほうが書館に来るなんてめずらしいわ」


ロザリオはそう言いながら、サイラスの視線が二階に向かないよう、一階の奥にあるソファの席に移動する。


「今日はその質問を何度も聞かれるな。時計櫓の資料を探しにきたんだ。花音が見学に行くとなって、警備の者と打ち合わせをするのだが、事前になんの情報も待たずに話しても、相手に失礼だし……」


「バカにされないためにも、ですね」


「まあ。そういうことだ」


サイラスは自然にロザリオをエスコートしながら、自分もソファへと腰をかける。



**********


莉央は、オルビスに話かける。


「時計櫓ってそんなに危険な場所なのですか?」


「いやいや。危険ではないですよ。ただなんの情報もないと、警備や見学経路の打合せができないので、事前に情報をと思っての資料探しですよ。ところで」


「そうなんですね。その資料って書館にあるということは、私たちのような一般人でも見れるのでしょうか」


「ええ、まあ……。見れますよ」


**********



ソファ席では、ロザリオの質問が続いていた。


「それにしてもだわ。わざわざ書館に来て資料を探すということは……、王族や軍が保管している時計櫓の資料に、不明な点や怪しい部分がおありになったのですか?」


「…………」


ロザリオは無言のサイラスに、さらに質問を続ける。


「まさか、時計櫓の情報が全く残っていないとか?」


サイラスは首を横に振りながら答えた。


「お前は、いろいろ鋭すぎる」


「わたくしは、第二王子の婚約者ですもの」


サイラスは、ソファの背もたれに体をあずけて、あきれたような表情でロザリオに微笑みかける。


「知っている」


そう言うと、オルビスに向かって右手をあげて、こちらに来るようにと合図を送った。



**********


二階では。


セイラは、一階からは姿が見えないよう、低い姿勢で壁づたいにおりかたちのもとへと進んでいった。


おりかは、新たに描きつくった台の下で、花音を見上げていた。

そこへセイラがやってきて、声をかける。


「おりかさま。……おりかさま」


セイラの声に気づくと、おりかは慌ててセイラに近づいた。


「どうしたのですか。なにか?」


「ここへサイラスさまと、オルビスさまがいらしています」


「え……」


「花音さまはまだ?」


「はい。今、少し場所を移動して、重要な部分を視ているようなのです」


セイラもおりかの見る方を一緒に見上げた。

そして視線を上に向けたまま、状況の報告をする。


「ロザリオさまと莉央さまが、今一階でサイラスさまたちの足止めをしています。急な展開だったため、私もロザリオさまとは打合せはできていません。ロザリオさまのことですから、サイラスさまたちが二階にあがってくるようなことがないよう、なにかしら策は練ってくださるとは思うのですが、万が一ということも……」


その時、上から花音の声が聞こえた。


「おりか、視えたわ。分かったわ。この格子の天井の秘密が」


その声におりかとセイラは顔を見合わせる。


「おりか、お願いがある。この部分の格子に描かれている模様を写しとってほしい」


セイラは警戒しながら一階が見える場所に移動し、下の様子を伺って戻ってくる。


「まだ大丈夫のようです。サイラスさまとロザリオはソファ席で話をされています。今なら」


セイラの言葉におりかはうなずき、描いた階段を走ってのぼっていった。


「おりか、ここ。ここの模様をスケッチして」


そう言って花音がある部分を指さしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ