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53 協力者は誰か

その日の夜のグロスター邸の無限の間。


「日没後ですので、今日も一時間あまりしかリフォアナさまとはお話ができません」

ロザリオの声が、ろうそくの明かりがぼんやり照らす部屋の中に響く。


リフォアナはロザリオから、今日青いギャロファーを無事格納できた件、赤いギャロファーを回収できてしまった件、そして謎のメモの件の報告を受けた。

回収した赤いギャロファーは、ライフの中に収納された。


ギャロファーについての任務がうまくいったにもかかわらず、そこにいる全員が浮かない表情だった。


「そのメモを書いたのは、誰なのでしょう。ロザリオさまお心当たりは?」

リフォアナが聞く。


「まったく心当たりはございません。この計画を知っている者は、ここにいる四人とセイラだけ。宮殿内にこの件を知っている者なんて、いないはずです。セイラにも確認しました。誰にも話していないと言っています」


「となると、誰が……」


先ほどからここで話が止まってしまう。


そこでリフォアナが思い出したように、以前莉央が赤いギャロファーを格納しにいった時に、ライフの中のリフォアナに誰かが話しかけてきて、莉央のピンチを救ってくれた話をした。


「あの時も、誰かが棚の後ろに秘密の抜け穴があると、ライフの私に伝えてきました。あの声が誰だったのか、深く追求はしなかったけれど、もしかしたら同じ人物かもしれない」


リフォアナのその言葉に、ロザリオが返す。


「宮殿内にいる誰か。味方か協力者がいるということになるけれど……」


すると花音が

「とりあえず私たちが話をしたことがあったり、かかわったことがある人をあげてみましょうよ」

と提案をした。


おりかがスケッチブックを取り出し、書き留める準備をした。


「まず私がかかわったことがあるのは、サイラスさまとオルビス。厨房の人たち。街中の屋台でも話した人はいるけど、この計画に関する話はしていないから除外」

と花音。


「私もサイラスさまとオルビスさん。あとは、宮殿に最初に来た時に案内してくれた女性。ぐらいです」

莉央も花音と同じような人物をあげた。


「そしたら私だって同じ。サイラスさまとオルビス。あとは……。あとは……。そうだ。階段をスケッチしている時に会った方がいた。クラリスさまとロザリオさまのご友人の令嬢」

おりかはじっくりと思い出すように、会ったことがある人物の名前をあげる。


三人の話を聞き、スケッチブックに書かれた人物の名前を見て少し考えていたロザリオが、考えをまとめるように話す。


「クラリスさまとアヴィさま……。あの二人が? それは考えられないわ。あの時一瞬すれ違った程度ですもの。厨房の誰か……。これも可能性はない気がするわ。そうなると、一番考えられるのがサイラスとオルビスになるわね」


「この二人のどちらかが協力者? それとも二人とも?」

リフォアナがロザリオに視線を向け、少し疑うような表情で聞いた。


「二人とも、ということもあり得る……。うーん。でもあの二人がそんな計画的に考え裏で動いているとは、とうてい思えないわ。それに、二人ともわたくしに、おりかたちのことで隠し事ができるとは……絶対に顔に出ると思うし」


「私もそう思います。オルビスは素直だから、そんな裏で隠密行動ができるとは思えない」

この花音の言葉に、ロザリオが声をあげて笑った。


「確かにそうね。素直でいい人。オルビスも、そしてサイラスも」


リフォアナの姿が少し透明になってきた。残された時間は少ない。


「メモを置いたのが誰かは分からない。けれど、敵ではないことは確かだと思うのです。

ロザリオさまはどう思われます?」


「はい。わたくしもそう思います。協力してくれようとしている。でも、なんのために? という理由がまったく考えつきません」


ロザリオの言葉を受けリフォアナはうなずくと、言葉を続けた。


「そうなるともう一つの可能性としては、アルデウス王国に、私がいるラウラレ界か、もしくはおりかたちの住む世界の現し世から、事情を知る誰かが渡ってきていて、助けようとしてくれているか」


その言葉にロザリオもおりかたちも返す言葉が見つからなかった。

アルデウス王国に渡り人がいて、自分たちを助けようとしてくれている?

そんなことがあるのだろうか。


「本当はもっといろいろ考えなくてはいけないとは思うけれど、急ぎギャロファーにエネルギーを補給しなければ。もうリミットの時間が迫っています。私が思っていたより、世界のエネルギーの枯渇が進んでいるようなのです。できるだけ早く最後の紫のギャロファーを格納しないと……。とにかくギャロファーの事を最優先に。ロザリオさま、みんな、よろしくお願いします」


そう言うとリフォアナの姿はふっと消えた。

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