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45 崩れる計画

その日の夜。

以前と同じように、セイラを装ったロザリオが宿にやってきていた。


リフォアナもホログラフィーの姿で部屋に現れている。


テーブルを囲んで、明日の計画を話すためだ。


「明日、十二時、お昼で鏡の間の人が少なくなる時間に、任務を実行します」

今回の実行役の花音がその場を仕切り、段取りをまとめて説明する。


「先日の計画通り、莉央が魔法で壁の周辺の時間を凍らせて人の動きを止め、その間におりかが壁を設置。板壁は、サイラスさまが教えてくれたフックがあったので、そのフックを動かして板を外し、私と莉央は壁の中に入ります。


それでギャロファーを格納する箱が見つかったら、私は青いギャロファーをそこに置いて、すぐに鏡の間に戻り、板壁を元あった状態にする。急ぎ群青の間へ戻り待機します。莉央、壁の中での行動の説明をお願い」


莉央は緊張気味にうなずくと、花音から言葉を受け話し始める。


「壁の中に入ったら、ギャロファーを格納している花音さんに魔法の糸を巻き付けます。できるだけ何重にも巻き付けます。それで花音さんが出ていって五分ぐらいたったら、群青の間に戻っている花音さんの意識を探します。事前に私のリップを預けるので、それで花音さんは私を見つけて念を飛ばしてください。花音さんの念が強ければ強いほど、私は花音さんの意識が見つけやすくなります。それでその意識の中へ飛び込みます。……これでいいんですよね……花音さん。リフォアナさん」


「大丈夫。その内容で問題なしよ」

花音が答え、リフォアナもうなずく。


しかし、次にロザリオが部屋にいる全員を見回して言う。


「それなのですが」


そこで言葉を区切って、大きく息を吸い込んでから言った。


「計画の変更を提案させてもらうわ」


それまで柔らかに微笑んでいたリフォアナが笑うのを止め、ロザリオを見つめる。


莉央はポカンと口を開けている。


おりかはなにを言っているのか……という表情で

「え、え、え。どういうことですか?」

と困惑気味にロザリアに聞いた。


「花音が出ていってからの五分の間に、莉央は壁奥の空間を走る。あの王族の階段の下にたどりつくまで走る。もし途中で行き止まりになってしまったら」


ここでロザリオは一度言葉を止め、秘密の話を打ち明けるような企みのある笑顔を見せる。


その場にいる全員が、ロザリオの次の言葉を待っていた。


「あの言葉を言うの。あのサイラスが言ってた歌詞の言葉」


莉央は眉間にしわを寄せて無言。


おりかはそんな莉央の肩を抱きながら、大きくうなずいていた。


花音は……。


「そうか。そういうことなんですね」

とロザリオの不敵な微笑みに言葉を返す。


リフォアナは状況がよく分からずに、ロザリオと花音の顔を見比べる。


「サイラスさまが言った歌詞は、壁の中の空間を中から動かす。そして、オルビスの言った歌詞は、外から階段下への空間をつなげるってこと、か」


花音のその言葉を聞いたロザリオは

「そうよ」

と言って、リフォアナに視線を移す。


そして、今日あったオルビスとサイラスが知っていた『わらべうた』の話をした。


話を聞き終わったリフォアナは

「なるほど。そういうことね……」

と、納得はしたけれど、まだ半信半疑の表情だった。


ロザリオは続ける。


「これはわたくしの勘です。本当に壁の奥が階段下まで続いているか確信はありません。ただ。階段の外でオルビスの言っていた言葉を発すると、階段の一部が開くことはこの目で見ました。ね、莉央」


動きが止まっていた莉央が、名前を呼ばれて飛び上がるように驚いたあと、ゆっくりと言葉を続けた。


「は、は、はい。見ました。この目で。ロザリオさまの手が光って、その手を階段と階段の間に当てたら、すっと板がスライドして、空間があきました」


リフォアナは顎に左の人差し指を当て、じっとなにかを考えるようなしぐさで、莉央を見る。


リフォアナの姿がかすかに薄くなってきた。

残りの時間が少なくなってきたようだ。


「あの『わらべうた』は、対になっている気がするのです。王族と家臣の言葉を合わせると、秘密の通路の扉が開き、万が一の有事の際に城から脱出できる合言葉みたいな。サイラスが二番の歌詞しか知らなかったのは、家臣だから。どう思います? リフォアナさま」


ロザリオのこの言葉を聞いたリフォアナは、大きくうなずいて言った。


「ロザリオさまの勘を信じましょう」


「では、わたくしが考える計画の続きを説明させていただきます。壁の中に残るのは莉央。群青の間に戻るのは、花音。おりかは、鏡の間でなにかあった時のために待機。そして、私は王族の階段の下で待つわ」


「えっ?」


最後のロザリオの言葉を聞いた莉央、花音、おりかから同時に声があがる。


そして、花音がロザリオの言った内容を確認するかのように、ゆっくりと言葉をかむように聞いた。


「ロザリオさまが、この計画に直接かかわるということですか? それって大丈夫なのでしょうか? もし誰かに見られたらどうするのですか? そもそもその時間に階段の所に来れるのですか? あー。質問ばかりですみません」


「ふふ。いいのよ。この計画にはかかわらないって最初に言ったのは、わたくしですから。それを今さらなにを言っているのかって。分かるわ」


「すみません……」

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