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37 無謀な作戦

花音はリフォアナの言いたいことは理解していたが、それを実行する方法がいまいち分からないでいた。


「壁の中に、花音と莉央が一緒に入るの。それで、花音がギャロファーを置いたらその場所から壁の外に出る」


「え、私はどうするんですか?」


莉央が怯えたようにリフォアナを見る。


「莉央は壁の中に残るのよ」


「…………」


ロザリオがなにを言っているの? という顔でリフォアナを見つめる。


リフォアナは軽くうなずきながら話を続けた。


「前に訓練でやったでしょう。莉央は自分を飛ばせたじゃない」


「えっ……!」


莉央がはっとして、でもまさかまたあれを? という顔になった。


「そうよ。あれよ」


「ちょっとわたくしにも分かるように説明してくださる?」


ロザリオが少しいらだった口調で言う。


「ロザリオさま、莉央は自分の体をある場所に飛ばせる能力を持っているのです」


「ある場所とは?」


「持ち主がいる場所です」


「…………」


「花音には触ったものの持ち主の意識が視える能力があります。そして莉央はその意識の中に飛び込んで、その持ち主がいる場所に自分を体ごと飛ばすことができるんです」


「なんて……すごい……」


「莉央はなにか自分の持ち物を花音に預けて、かつ魔法の糸をしっかり花音に巻きつける。そして花音は壁の外に出るの。それで別室で待機。花音は莉央の持ち物に意識を集中して、その意識を莉央に送る。念じるの。そうして莉央が花音の意識を感知できれば、あとはその中に飛び込む。そうすれば花音がいる場所に移動できるはずだわ。どう?」


莉央はすぐに返事をできないでいた。

訓練のあの時は、花音もリフォアナもすぐそばにいた。一人ではなかった。

時間の制限もなかった。

でも今回は……。


「え……。え。あ。でも、訓練では今回のように離れた部屋から意識を感知したことはやったことない……。でもでも、それができないとこの任務は成功しないんですよね……。やってみないと分からない……。でも、できるかどうか……自信はないけど……。そんなこと言ってられない状況ですよね。大丈夫だろうか。うっ。やってみます。訓練と同じ要領でやれば大丈夫ですよね、ちょっと場所が遠くなるだけで……」

ぶつぶつと言いながら、一応OKらしい返事をした莉央。


「花音はどう? なにか不安は?」


リフォアナの質問こたえる代わりに、花音はロザリオのほうを向いて聞いた。


「ギャロファーから出るかもしれないエネルギーは、どれくらいで軍は感知するんでしょうか」


「十分ぐらいだと思うわ」


「じゃあ。時間が凍っている時間と同じぐらい……。莉央が部屋に戻ってくるまでを十分で終わらせないと」


ろうそくの炎が小さくなってきた。

リフォアナと話ができる時間はあと少し。


「壁の中のどこに箱があるのかはまだ確認できていません。入ってすぐの場所にあるかもしれないし、すごく先にあるのかもれない。それによってもかかる時間は変わってくると思います。ただ、莉央が格納する箱は赤いギャロファーの時に見ているので迷うことはないかと。あと、あと」


花音が早口で聞きたいことをたずねる。

もう時間がない。


「もし、体の移動が失敗してしまった時は、ライフで莉央を守ってください。あとあと、一番心配なのは、莉央が取り残されている時に、軍の人とかが壁の中に入ってくることです。そうなったら……」


ふっ。


リフォアナの姿が消えた。


真っ暗な無限の間にしばしの沈黙の時が流れる。


しばらくして、最初に口を開いたのは莉央だった。


「花音さん、私のことを心配してくれてありがとうございます」


「だって」


コンコンコン。

その時、外からドアがノックされ、ライトを持ったセイラが入ってきた。


「みなさま、どうぞロザリオさまのお部屋に移動なさってください」

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