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22 場所の確定

「リフォアナがどうかしたの?」


鼻歌まじりでバスケットを抱えた花音が廊下を歩いてきた。


「ちょちょっといったん部屋に戻ろうか」


おりかが慌てて花音の手を取り、『群青の間』へ戻っていく。


部屋に着くと、おりかが莉央の肩に手を置き

「で、なんでリフォアナが」

と興奮気味の口調で聞いた。


「小部屋の扉にカギがかかっていて開かなかったんです。私、焦ってしまって、どの魔法を使えばいいのか思いつかなくて。パニックになっていたら、そしたらライフが光ってリフォアナさんが出てきたんです」


「ライフってそんなこともできるんだ。便利ね」


花音が自分のライフをバッグから取り出して表や裏を確認している。


「リフォアナ、なんで莉央がピンチって分かったんだろう」


おりかが不思議そうに莉央を見る。


「もしかして、こちらの様子はずっとリフォアナさんには見えているんじゃないでしょうか。だから私が焦っていることが分かって。ただ、姿を現せていられるのは三分って言ってました」


「三分!? じゃ今回その三分の間にどうにかがんばったんだ。よくやったわ、莉央」


おりかに褒められ莉央は一瞬照れた笑顔を見せたが、すぐに少し暗い表情になり言った。


「……私がしたことは、リフォアナさんに言われたことをそのままやっただけです。指から魔法の糸は出せたけど、それをどう使えばいいのか全然分かりませんでした。次になにか同じようなことがあっても、きっと私今回みたいに自分の力をどう使っていいのか分からないです」


「それは、やってみないと分からないよ」


おりかが莉央のひざの上でかたく握られた両手を自分の手で優しく包む。


「莉央はまだ高校生でしょ。人生の経験が圧倒的に少ないの。でもそれを悲観する必要はまったくなくて。今回のこともそうだけど、これから失敗したりして経験を重ねていけばいいんだよ。私も、多分花音も相当な失敗をして、今があるんだから。


それでもまだまだ経験は足りない。だから莉央も失敗してもいいし、能力の使い方を分からなくて焦ってもいいんだよ。だからだから、怖がらなくていいから。莉央はのびのび魔法を使って。今回みたいにピンチになったら、リフォアナも助けてくれるし、花音や私もいるから、助けるから、で一緒に逃げるから、ね」


莉央はうなずきながら手で涙をぬぐった。


「ところで花音。そのバスケットなに?」


「あ。そうこれね。オルビスさんがみなさんで食べてくださいって、お菓子をくれたの。すごいでしょう。王族専任のパティシエの厨房に連れていってくれたのよ。これは、今日の王族のご挨拶で参列者に配るお菓子で、ちょっと形がくずれたものとか、割れちゃったもの。それをよかったらって。もうーオルビスいい人!」


花音はそう言いながらバスケットをテーブルの上に置いて、中のお菓子を口に運ぶ。


「二人も食べて」


おりかと莉央は顔を見合わせ苦笑いしながらも、テーブルに近づきお菓子を食べた。


「それで莉央、場所は確認できたの?」


花音の言葉に莉央が大きくうなずく。


「あの文様が彫られた木箱があったんだって」


「そっか。確定だね。それじゃいつ莉央のギャロファーを置きに行く?」


「それね。もう箱がみつかったらすぐに置いていったほうがいいと思うの。莉央、花音どう思う?」


「私もそれがいいと思います」


花音もうなずく。


すると部屋のドアがノックされる。


「セイラです」


花音がドアを開ける。

セイラはあたりの様子をうかがってから、さっと部屋に入ってきた。


「ギャロファーの置き場所は確定できましたか?」


「はい。ロザリオさまが言っていた通り、倉庫の奥に小部屋がありました」


「そうですか。よかった。ではいつギャロファーを?」


「できれば明日には。でも、明日は王族の挨拶もないし、警備が緩い時間ってあるんでしょうか」


おりかがうかがうようにセイラに目線を向ける。


「明日、ですか……。ロザリオさまに確認してみます。ところで、本日グロスター家にお越しいただきたいとロザリオさまが申しております」


「今日、このあとですか?」


「はい。入口に馬車を用意しますので、そちらに乗っていただきたいと思います。入口の衛兵にはうまく伝えておきますので」


おりかはほかの二人の顔を見る。

そしてうなずくのを確認し、

「よろしくお願いします」

と返事をした。

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