14 ラウラレ界とアルデウス王国と人間界を救うために
部屋には三人だけになった。
「どうしよう。どこまで話したらいいと思う?」
おりかが不安そうに二人に声をかける。
「馬車の中でおりかさんが言ったように、ロザリオさまは悪い人ではないと思います。信頼できる気がします」
莉央がそう答える。
「私も莉央と同意見。ただ、どこまで話していいのか……。リフォアナには絶対に秘密だって言われているし。でも、中途半端に私たちの任務を伝えても納得してくれなそうだし、見破られてしまうかと。今リフォアナに連絡できればいいんだけど、結界がはられたここではライフは使えない。どうする、おりか?」
「そう、ね。もうこうなったら、ロザリオを全面的に信用するしかないか。そして私たちの味方になってもらうの。任務を手伝ってもらうのよ」
「任務を? 手伝ってもらう? そんなこと……」
花音が疑わしい顔をする。
「信じてもらえるでしょうか」
莉央はすがるような目でおりかを見つめる。
「信じてもらえるよう、話してみる。それに、もし信じてもらえなくても、殺されることはないと思う。ロザリオさまなら任務について信じられなかったら、私たちを元の世界に返すだけでしょ。それはそれで仕方ないって思おう。いろいろ救えなくて残念だけど」
二人はおりかの言葉にうなずいた。
そして十分がたち、ロザリオは部屋に戻ってきて、ソファに深く座った。
「では話を」
ロザリオの低く響く声におりかがこたえる。
「今から話すことは、嘘ではありません。信じられないかもしれませんが、本当のことです。私たち自身も信じられない部分はあるのですが、本当のことのようです」
「ことのようです? なにか他人ごとな言い方ね」
「あ、はい。ある意味他人ごとなんですが……。いや、自分たちの世界にもかかわることだけど……。じゃあ話します」
ロザリオは、おりかのあやふやな言い方を訝しながらも聞く姿勢をみせた。
「私たちは、人間界という世界の者です。現し世ともいうらしいのですが」
「ラウラレ界の者ではないの?」
「はい。人間界からラウラレ界へ連れてこられて、それでさらにこちらの世界に派遣されたというか」
「人間界……、現し世……。初めて聞いたわ。そういう世界があるのね。分かったわ。ではなぜラウラレ界へ連れてこられたのかしら」
「そこがよく自分でも分かっていないのですが、人間界から私たち三人が選ばれたそうなのです」
「なんのために?」
「ラウラレ界とアルデウス王国と人間界を救うために」
ロザリオの表情も言葉も止まる。
「お気持ち分かります。私たちもはじめはなんのこっちゃと思いました。結論から言うと、ラウラレ界にあったギャロファーが何者かに盗まれて人間界に投げ込まれた。そのギャロファーを見つけたのが私たち。それで、盗まれていたギャロファーのエネルギーが枯渇していて、すぐにギャロファーのエネルギーを補充しないと、ラウラレ界とアルデウス王国と人間界が滅ぶ可能性があるそうで。
ギャロファーに触れることができるのは、人間の私たちか、アルデウス王国の人だけで、アルデウス王国の使者が来るまではギャロファーのエネルギーがもたないから、至急アルデウス王国に行ってギャロファーのエネルギーを補充して、それをラウラレ界へ持ち帰ることが私たちの使命です」
「そんな……そんな重大なことが起こっていたなんて。アルデウス王国の使者はわたくしです。少し前にラウラレ界に行った時は、まだなにも起こっていなかったのに」
ロザリオは立ち上がり、三人が座るソファのうしろを行ったり来たりせわしなく歩く。
「ラウラレ界では、グラダナスさまとリフォアナさまにお会いしました。そこでいきなりアルデウス王国へ行って世界を救ってくれと言われて……」
「グラダナスさまに会われたのね。わたくしも存じております。でも、いきなり世界を救えと言われてもよね……」
「そうなんですよ。いきなり言われて、一カ月修行させられて、それでここへ来てるんです。めちゃくちゃです」
おりかの言葉に、ロザリオがぶっと吹きだす。
「ごめんなさい。言い方が……。でもそうよね。異世界で三人だけでギャロファーのエネルギーを補充しろだなんて、めちゃくちゃだわ」
「話の続きですが、ギャロファーのエネルギーが補給できる場所は、宮殿の中にあって、その場所を見つけ出してそこにギャロファーを置き、エネルギーを補充してそれをラウラレ界へ持ち帰らなくてはいけないのです。リフォアナさまには、私たちがほかの世界から来た者だとは絶対に知られていけないと言われて、このように身分を隠して旅行客のようにふるまっていました」
「リフォアナさまとは、お会いしたことがないわ。グラダナスさまのお妃さま?」
「違います。ラウラレ界を仕切るビーナスだとおっしゃっていました。ラウラレ界で一番強い力を持っているって」
「そう……。それで、なぜあなたたちが選ばれたのかしら」
「自分では自覚はなかったのですが、私たちはそれぞれに特殊な能力を持っていて、その力を見込まれて選ばれたようです」
「どのような能力か説明してくださる? あ、でもあなたは魔法使いなのかしら」
ロザリオはそう言って、莉央を見る。
「違います。あ、違うと思います。魔法のような能力と、魔法を受け入れる力があると言われました」
「お名前は?」
「莉央と申します」




