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鬼人達の宴朱 第五章 白いオーラの人間

本日は人間の優しさについての考察です。

優しさってなんでしょうかね。

言えるのは全てに手を差しのべる、優しくするのは間違いなんです。中には振り払う事も大切なんです。

また誤字脱字があったらすみません。

そんな第五章をどうぞ。

翼は夢の中で人からオーラが出る事を知る。すぐに攻撃的になる人間は黒、穏やかな人間は白。ただ、白い人間は少ないらしい。

いつも通り起きて朝食を食べて着替えて大学に向かった。


「おはよう!翼!」

「翼。おはよう。」

「おはよう。結花、護。」

大学前で結花と護と合流した。

「昨日の夢は確か人のオーラの話だったかな?護も見える?」

「うん。翼も結花も白だよ。」

それを聞くと結花の様子がおかしくなる。

「…?結花?どうしたの?」

「…ん。今日の護、嘘つきだなって。」

「え!本当だよ!結花は白だよ!」

結花は首を振った。なんとなく分かった。たぶん勇吹とその話をしている気がした。

「…。じゃあ、結花は何色?」

翼は(まさか、黒?)と思った。

「…結花は黄色。うっすら黄色って言われた。」

「…勇吹か。あいつ、余計な事言ったな。」

「…黒と白以外あるんだ。…じゃあ、私は黒?」

「…っ!結花っ!」

護の目が赤くなる。

「…効かないよ。護。勇吹に操られないようにして貰ったから。翼は中は白、外が黒。」

その言葉に驚いた。

「え?私、二つあるの?」

「…護。全然ダメ。隠してどうするの?それに私、単純じゃないから『翼は黒がある。悪い人』なんて思わないよ。」

「…だって、言えないじゃないか。結花も俺と考えは一緒だろ。妖怪達の事。」

翼は全く話についていけてなかった。


「…憶測だけどさ。たぶん、翼は黒いオーラが外側にある。鬼が出た時に危険な妖怪が出るのはそのオーラがあるから。」

「え?私が原因?」

「~っ!ほらっ!翼ちょっとショック受けてるじゃないか!」

若干驚いたけど、護の言い方からすると黒いオーラが強いのだろう。今まで考えたら遠くに鬼の使いの妖怪とセットで悪い妖怪が出るのだ。

「…そんなに酷いの?護?」

「…うっ。」

護は言うのを躊躇っていた。余程酷いのだろう。

「…私が代わりに言っていい?オーラは意識して見ようとしたら分かるんだって。で、勇吹が朝、皆で撮った写真見たらね。私達の周りは白いけど、外側真っ黒って。」

「え?暗いからとかじゃないの?」

「なんかね。背景真っ黒になって後ろの建物消えてiPhone思わず落としたって。」

ドン引きレベルじゃん。

「…鬼の試練がある理由が分かった。私、妖怪に狙われてるのね。」

「…タイミング良すぎるよね。もしかしたら椿を狙って城に火をつけた妖怪と一緒かもよ。」

護はピクッと反応した。

「…翼を傷つけたやつか。」

「…護。ほら、私、生きてるし、落ち着いて。」

翼が護の背中を擦った。

「…あっ!そろそろ行こう!」


大学に行くと護は以前の落ち込んでいた時と違い機嫌が悪かった。昼御飯の後はまた周辺との空間から離してもらい、抱き寄せて背中を擦った。

「…護、今日も機嫌悪くなっちゃったね。」

「…この世で初めて妖怪にあった時にいろいろあったからさ。」

「…どちらも悪かったからね。美佳も私も。…結花や勇吹と喧嘩したらダメよ?…また鬼の試練があれば早く終わらせないとね。」

「…翼、今度は、この世では守りたい…。前世みたいに翼を失いたくない。」

「…うん。」

暫く抱き合った後に体を離すとまたいつもの日常に戻った。そして、何もなかったように授業に戻った。


大学が終わって、結花と護をバス停で見送って帰った。勇吹はまたアルバイトがあったので夜に電話があった。

「…もしもし。翼?今日は結花からオーラの話聞いた?」

「うん。護は隠そうとしていたんだよ。私の黒いオーラ。」

「翼が黒いオーラあったからショックだったんじゃないか?」

「あれ、結花が敵から黒いオーラに包み込まれてるかもって言ってた。」

「えっ!そうなのか!」

「勇吹、怒るかも知れないけどさ、前世で椿を死に追い込んだ妖怪が私に黒いオーラをつけたかも。…っていうか、相当強いんじゃない?」

「…そうかもしれない。でもさ、翼の為なら戦うよ。」

「…うん。でも、無理しないでね。」

「おうよっ!じゃあまた明日っ!」

「また明日ね。」

勇吹は翼の黒いオーラについては気にしていなかった。

(まあ考えすぎてるかもね。護は。ちょっと過保護だもん。)


次の日はいつも通り起きて、朝食を食べて、大学に行く準備をして出掛けた。

「おはよう!翼!」

「翼。おはよう。」

「おはよう。結花、護。」

大学前のバス停で結花と護と合流した。

「今日も鬼の試練頑張らないとね!今日も私が援護する!」

「…まあ、鬼は私達には派手に怪我をする攻撃はしないけど、気をつけてね。後、妖怪か。警戒しないとね。」

「うん。妖怪は危ないのもいるからね。」

大学で授業を終わらせると勇吹からメールが来た。今の季節は夏なのに雪が降っている所があるらしい。

「…今度は氷みたいね。流石に冬用の上着持ってきた方が良さそうね。結花や護はすぐ用意出来そう?」

「私は大丈夫!」

「…俺はどうかな。鬼になると肩幅結構広がるからさ。」

「まあ軽く着た方がいいかも。後で雪が降っている場所で待ち合わせね。私は勇吹に頼もうかな。」


結花は護が背負って家に戻った。翼は家まで電車で帰ろうと思ったが勇吹が大学まで来た。

「翼!待たせたなっ!さっ!行こうぜっ!」

「なんかいつもごめんね。護や勇吹を移動に使って。」

「気にするなよ!一緒にいて嬉しいからさ!」

鬼の背に乗るのが当たり前になっていたが、勇吹の肩幅がいつもより大きく見えた。

「…勇吹は上着着れた?」

「…ん。きつかったから破れてもいいの持って来た。変身したら服はいつも簡素な格好に変わるからな。まあ動きやすいからいいけどさ

。」



翼の家に着いて上着を持ってくると、雪が降る場所に移動した。雪が降っているのは大学から北東の山の部分。何人か周辺の人が写真を撮っていたが、風の音が人の声のように聞こえて気味が悪かった。

「…っ!寒っ!夏の温度じゃないっ!冬でもこんなに寒くないでしょ!」

「たぶんマイナスはあるんじゃないか?一応、俺は火の鬼だから結界張った。」

遅れて結花と護が来た。

「お待たせ!一応他にも耳当てとか手袋持って来た!翼も使う?」

「…貸してもらう。火の結界を張ってもまだ寒いし。結花。使える?勇吹の力を纏う感じ。」

結花も一応結界を張れた。ただ、予想はしていたが結花の結界は弱く感じた。

「んー。まあ本当に気持ちマシになった程度。」

翼が護を見ると調子が悪そうだった。

「…ちょっと。護。大丈夫?体調悪そうよ?待ってて。結界張ってあげる。」

「…結構…。寒いな…。」

護の手を触るとかなり冷たくなっていて翼は驚く。

「…ちょっと!かなり冷えてる!人間に戻って!」

護が元の人間の姿に戻った。結花がマフラーを出して護に巻いた。

「…護、冷たくなってる。きっと土の属性と相性悪いんだよ。」

「…ここで待ってるか?護?」

「いや、少し体調良くなった。行く。」

「…無理しないでよ。ちょっと焦った。…うん。温かくなってる。ゆっくり行こう。」


山の中に入るとなんとなく幽霊のようなものを周辺に感じる。

「…凄いね。いつもと違って、あれ。幽霊じゃない?」

「…死霊だな。死んだ霊が集まっているかもな。」

挿絵(By みてみん)

「…護。大丈夫?」

「うん。大丈夫。人間でも鬼の力は使えるから。」

護は目を赤くして言った。ただ、あまり調子が良くない感じがした。


歩いていると木の裏から兎が出た。何かオーラが出ている。普通の兎ではない。

「化け兎ね。大きい。狩猟する人を恨んで食べたりするんだって。だから刀向けたらダメだよ。勇吹。」

「分かったよ。」

挿絵(By みてみん)

兎は後ろを向いて、こちらを見ながら歩いていった。

「…誘導しているみたい。…っていうかさ、こうなると、今回の敵の妖怪はあの雪女っぽい、飛んでいる妖怪じゃない?」

翼が指を向ける先に白装束の飛び回るものがいた。それはこちらと目を合わせると微かに叫び声のようなものを出していた。

挿絵(By みてみん)

「…来る前の聞こえた声の正体はあれか。」

「…こっちに向かって来てる?火の結界を雪女に使ったら弱くなるんじゃない?」

翼が雪女に火の結界を張る。何人か苦しんだが、地面に一人潜ると皆潜った。

「…モグラ?っていうか霊体なら地面に潜れるんだ…。」

「まあ良い!土の中から焼いてやる!」

勇吹が土から火を吹き上げる術を使う。

「…前の雪女はいなくなったけど、後ろから三人地面の中に雪女がいる。」

護と結花の近くに雪女が現れる。護は結花を守る為に赤い爪を出した。

「護。大丈夫。私に任せてよ。」

結花が掌から大きな火球を出して放った。火球は雪女に当たると四つに小さく弾けて爆発した。

「凄いでしょ?前にこんなのゲームで見てさ?やってみたかったの♪」

「…へ…へぇ。」

護はちょっと結花が強すぎて引いている。いや、私も引いている。勇吹より火の術が強そうなんだけど。

「…結花。お前やっぱりすげぇな。」

「部外者!最強!」

結花はノリノリだった。



化け兎について行くと顔が白く氷ついている鬼がいた。

挿絵(By みてみん)

「…たぶん白鬼!氷の力を持っているんでしょ!」

「まぁな。俺が地面に尻餅付いたら

氷の石をやるよ。出来るか?お嬢ちゃん?」

「…部外者なのにごめんね。おじさん。護が弱っているから、ちょっと派手にやるね?」

結花は目の前に大きな火球を出すと白鬼に向かって光線を放った。

「っ!ちょっと!結花!白鬼死んじゃうんじゃないっ!」

翼が慌てていたが、白鬼は目の前に何かを出した。そこに光線が入ると消えてしまった。

「…。まっ!こうなるよね?危ないなら鬼は降参するからね?」

「俺は術を無効にする空間を作れるんだ。お嬢ちゃん。残念だったな。」

白鬼は笑って言った。だが、結花も笑っていた。

「残念じゃないよ?術が空間で無効にされるのは分かったし、空間に作用する術があるって分かったからね。翼。この氷の空間、変えてみて?火だよ。」

「分かった!」

翼の力で周りの雪が溶けていった。

「凄いでしょ?翼は私と同じ位は術の力あるからね。…本当はおじさんに木の力を宿して、氷の空間の冷気を下げようと思ったりもしたんだけどね。翼、火も木に強いから、木の属性を白鬼のおじさんにつけちゃおう。」

白鬼の体に木の根が絡んでいく。

「くぅうっ!だが、俺は鬼!これしきの事で負けん!」

「…っ!ずっと結花と翼に任せたら悪いよなっ!護!行くぜっ!」

「おうっ!」

護と勇吹が白鬼に向かっていった。そして、白鬼もこちらに向かって来た。



ドォオンッ!

凄い音が響いた。護と勇吹はその音で怯んだ。土埃が辺りに広がった。

白鬼も驚いていたが、土埃が収まって自分の状況が分かった。

尻から下が地面に埋まっていた。

「…っていうか、今までこうしたら良かった。土を緩くして埋めたら良かった。」

「あー。分かっちゃった?白鬼のおじさん。合格でいいでしょ?」

「…。まあ、な。」

「あー!良かった!あっ!護!勇吹!そのままね!地雷消すから!」

結花は地面に掌を向けて何かしていた。…地雷埋めてた?

翼を含めて四人の顔色が青ざめる。

「結花。お前、地雷なんていつ仕掛けていたんだよ!」

「勇吹の地面から火が吹き出す術いいなと思って埋めたの。こんな感じ。」

結花が遠くの石に何かするとドオンッ!と爆発して粉々になった。いや、足粉砕するでしょ。怖っ。

「…さて、氷の石をやるか。物を凍らすだけではない。術の使い方で空間に影響を与える事も出来る。…大体、黒髪のお嬢ちゃん、お前は理解していたな。白いオーラを持つ人間は、妖怪に狙われやすい。特にお嬢ちゃんは昔から狙われていたみたいだからな。黒いオーラが覆うのはその為だ。その妖怪は俺達鬼より強い。だから、力をつけさせている。白いオーラの人間は少ないんだ。減らされたら困る。」

「…余程、悪いやつなのね。気をつける。ありがとう。白鬼。」

「どうなるかは、お嬢ちゃん次第だ。じゃあなっ。」



白鬼が去ると元の空間に戻った。

「…暑っ!もう上着いいわ。」

「…なんか、凄い妖怪が黒幕っぽいね。でも、鬼ではなさそう。…まあ今の所上手くいってるから大丈夫でしょ。…護。体調大丈夫?」

「あぁ、良いよ。」

「…まあ、回復しよう。勇吹もね。」

「えっ?あっ?…うん。」

勇吹は心配して貰って少し照れていた。


帰りは勇吹が結花を送り、護が翼を背に乗せて家まで送った。

「…今日は少し大変だったね?ゆっくり休んでね。護。」

「うん。でも、翼と帰りは一緒だから元気になった。一緒にいると落ち着くんだ。」

「うん。じゃあ、また明日ね?護。」

「うん。また明日。」

護は嬉しそうに手を振ると、空高く飛んだ。



夜になると勇吹から電話があった。

「もしもし、翼?今日はお疲れ様。」

「今日はお疲れ様。…あの後大丈夫だった?結花を送って帰ったけど。」

「…うん。いや、翼が最後に俺の事、心配してくれて嬉しかった。」

「護が体調悪かったけど、その分勇吹が緊張してたからね。」

「護は大丈夫だった?」

「うん。元気になったって。まあそう言われても心配だけどさ。」

「…俺、最近翼といると元気になるんだ。声だけでも、鬼の力が湧く。…だから、翼の声が聞きたくなるんだ。」

「…いいよ。話せる時は、一緒に話そう。」

「うん。って!今日はいろいろあったし!続きはまた明日しよう!おやすみ!翼!」

「うん。おやすみ。勇吹。」

勇吹からの電話が日課になった。勇吹も護も翼の側にいる存在になった。始めは護からどちらを好きになるのかと言われて戸惑ったが、どちらも好きだった。

(答えがまだ出せない)。

そう思いながら、天井を見つめた。



夢を見た。

鬼達がとある町に住んでおり、心優しい白いオーラの城の主と仲良く暮らしていた。

やがて、異変は起こる。町に貧しい民を受け入れていたが、黒いオーラの人間が少しずつ町に入って増えていった。そして、半分位になると、他の城から黒いオーラの人間が攻めてきた。

城の主が鬼と手を組んでいると言った。鬼は必死に戦ったが、人間の命は簡単に切り捨てられた。

城の主も、その妻も、息子も、娘も殺められた。

切り捨てられた人で溢れる中、黒いオーラの人間がヘラヘラと笑いながら宴をやっている風景は地獄だった。

何故、彼らは優しかったのに殺されたのか?今までの楽しい日々を思い浮かべると鬼は悔しさで血の混じった涙を流した。

やがて、答えが出た。優しいだけでは良くないのだ。

鬼達はまた山を越えて移動した。遠くで白いオーラの人間を感じた。

今度こそ、守らねば…。




目覚ましのアラームで目が覚めた。今まで早めに起きたが、今日の翼はダメだった。

(あの夢の鬼は、きっと鬼達のボスね。でも、顔は分からなかった。…辛かったかもね。)

朝食を食べて、着替えているとグループチャットにメールが入る。

翼が開くと護からだった。

(結花が交通事故にあった!今救急車で病院に向かってる!頑張ってるけど意識が戻らない!)

「…え?嘘でしょ…」


勇吹から電話が掛かってきていた。

遠くでサイレンの音が聞こえる。

その日もいつも通りだと思ったのに、いつもの日常は来なかった。

今回は護が不利になるけど、白鬼戦前から悪くなる予定ではありませんでした。

後、結花がいない場合は土と木の属性を付けて相手の吹雪を押さえて火の力で倒す感じだったんですが、土の術で埋めて鬼の試練達成と平和な終わり方になりましたとさ。

ただ、ここから暫く結花は抜けます。最後の終わり方は元からこれです。

どうなるんでしょうか。

次回に続け。

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