鬼人達の宴朱 第一章鬼とは?
鬼人達の宴朱、第一章が出来ました。
今回は単純だけど深いテーマです。
前回のが誤字脱字があったので読みなおして悪ければ修正していきます。
市村翼は鬼の力を持つ男、五十嵐護と火爪勇吹の二人と自宅周辺の怪異を起こしているものがいそうな空き地に向かった。
「火爪が先に翼の家に着いたんだったかな。メールで写真が送られたけど、一つ目だろ?」
「ん。まあ俺達位の大きさだから少し害があるタイプだな。一つ目は小さいと脅かす位だけど、大きいのは体を捕まえたりしてくるんだ。普通の人間だと逃げられないし、意識が無くなるまで離さないから危ない妖怪と一緒だと危険なんだ。」
勇吹が説明していると護が足を止める。
「火爪。小袖の手って言う妖怪。知っているか?」
「ああ。昔は着物の袖とかから腕が出る妖怪だろ?」
「あの腕の意味はお金を求めているんだ。翼、もし道を歩いていて小銭を落としたら、どうなると思う?」
翼は進行方向にマンホールがある事に気が付く。
「…あんな所から腕が出るの?」
「良し、試してみよう。」
護がマンホールの前に中腰になって小銭を近づけると腕が出てきて掴もうとしていた。
「現在の小袖の手は穴があれば出る時があるんだ。今は近づいたらダメだよ。」
護が笑みを浮かべながら言った。
また歩いていると雀の様な鳴き声も聞こえだした。
勇吹が両手で「パンッ!」と音を出すとピタリと鳴き声は止まった。
「夜雀だな。惑わせて行動を鈍らせる妖怪で、気を付けないと送り犬を呼び寄せる。送り犬は転んだ人間を襲う犬の妖怪。」
「なんか思っていた以上に妖怪だらけなんだけど。」
「まあ早く元凶をどうにかした方がいいね。」
空き地まで着くと全身青色の腰巻きの鬼がいた。翼はそれを見て護と勇吹の顔を見た。
「…護か勇吹の知り合い?」
「俺は鬼の知り合いとかいないぞ。護の知り合いじゃないのか。」
「いや、俺も鬼の仲間とかいない。」
それを聞くと青鬼はニタァと笑った。
「嬢ちゃん、面白い事を言うな。俺は純粋な鬼でそいつらみたいな人間の血が混ざった鬼じゃねぇんだ。」
青鬼は人間の様な姿をしていたが、護や勇吹とは違い、顔は怖い鬼という顔をしていた。
「町の妖怪や妖魔を呼び寄せるの、やめて欲しいんだけど。」
「いやぁ、好きで呼んでいるわけじゃねぇんだよ。勝手に集まるんだよ。本当は俺様もここにいたくないんだけどよぉ。お前らの力を試せって言われているんだよ。」
護と勇吹は刀を出して鬼に向けた。
「嬢ちゃん、良い事教えてやるよ。そっちの背の高い鬼の兄ちゃんは属性は土だ。赤い方の鬼の兄ちゃんの属性は火だ。俺の属性は水だ。分かるな。どちらの鬼も俺とは不利だから二人でも負けねえからな!」
護と勇吹が素早く刀で斬りかかろうとするが水が勢いよく飛沫を上げて押し返した。
「妖術。見てみたいだろ?嬢ちゃん。」
青鬼を中心に水の輪っかが広がっていく。それが護や勇吹の辺りに行くと二人の体中に水の塊が浮かんで体に激しい擦り傷を作った。
「分かるか?嬢ちゃん。赤い兄ちゃんは打たれ弱いんだ。背の高い兄ちゃんは耐久はあるけど力は少し弱いんだ。どっちに何したらいいか、なんとなく分かるだろ?土は耐久上げて、火は力を上げるんだ。」
翼は大体分かっていた。護と勇吹に手を向けて、それを入れ替えて向けた。
「あっ!なんか体の感じが変わったぞ!」
「俺も、今なら水の波を斬れそうだ」
護と勇吹からは体からオーラの様なものが出ていた。
「ん!妖術でちょっと攻めようと思っていたのにお互いの鬼の能力そのまま上乗せしてるじゃねえか!」
青鬼は大量の水の輪っかを作って放つが全部壊れていった。
「あー!はいはい!おしまいおしまい!来るな来るな!」
青鬼が大きな水の膜を作るが護と勇吹は刀一振りで壊してしまった。
「あー!やばい!嬢ちゃん!暴走してるんじゃねぇか!止めろ止めろ!」
「護!勇吹!止まれ!」
護と勇吹はピタッ!と止まり、翼を見た。その目は冷たい目をしていた。
「刀を直せ。」
護と勇吹の二人は黙って刀を消した。
「あー!怖かった!鬼がこんなの言うのダメだけど、怖かった!これだからハイブリッド鬼嫌いなんだよ!試すだけだって言っただろ!」
「…えっ?純粋な鬼なのに(ハイブリッド)知っているの?」
「あのなー。ハイブリッドは異なるものを二つ組み合わす事を言うんだ!コイツら人間と鬼だろ!ハイブリッドだぜ!」
ドヤ顔で青鬼は言った。ちょっと腹が立つ。
「で、試練っぽいのしました、終わりましただけじゃないんでしょ。」
翼は青鬼に掌を出す。
「桃太郎じゃねーけど、一つ私に下さいなってか。まあそこでコイツよ。」
青鬼は水色の玉を翼に渡した。
「まあ分かるよな。水の術が使えるんだ。でも、嬢ちゃんは援護か回復の術だな。ちょっと仲間の兄ちゃんの傷を治してみろ。」
護と勇吹の擦り傷に手を向けると血は止まった。
「さっき相性が悪いって言ったからな。止血程度だ。」
「で、肝心な話だけど。誰に頼まれて来たの。」
「企業秘密!鬼族の社長!」
それを言うと雲がゴロゴロ鳴り出した。
「やばい!社長大激怒だ!」
「お仕置きだべ。…だったっけ?」
「違う!貴様ぁあああっ!だ!」
その様子を勇吹は呆れて聞いており、護は笑っていた。
「青鬼、属性は水だよな。早く逃げた方が良いんじゃないか?」
「いや、雷の術だろう。どんなものか見たいな。」
「いいか!お前達!俺がいなくなったら妖魔もいなくなるから、帰って、寝ろ!とりあえずもう真夜中だから、寝ろ!」
そう言って青鬼が消えると遠くでドーンッ!と言う音がした。
「あっ、落ちたな。」
「このまま俺達といたら大丈夫だったと思っていたけど、妖魔や妖怪を町から出さないといけないから黙っていたよ。」
勇吹と護が言うタイミングで町の妖怪や妖魔の気配が消えた気がした。
「…追い払えるけど、鬼がいたら集まる?でも勇吹や護が鬼になって角が出ているけど、今はいないからやっぱり純粋な鬼だから集まったのかな?でも…」
「…あいつ、普通のオッサンみたいだったよな。」
「まあ、終わったし、翼を家まで送るよ。」
「あっ!待って!」
翼が慌てて電話を出す。それに勇吹が気が付く。護も翼と目が合うと電話を出した。
「…勇吹の電話番号知らないからさ。」
「まあ俺はいいけど。」
「でもさ、牙生やして角がある鬼が電話使うのってちょっとシュールだよね。」
護が言うと翼が何か思い出して言いたそうにしていた。護は翼と大学にいたから大体分かる。
「火爪、今の鬼の姿で翼と三人で写真撮らないか?ネットに出したりしないから。」
「はぁ?翼って写真撮るの好きなのか?」
「俺達芸術大学に行っているんだ。」
翼が写真を撮る。そこには角が生えた勇吹と護が写っていた。
「他は今度。…鬼って昼も変身出来るの?」
「うーん。鬼になるけど、ちょっと力が夜より無いかな。勇吹は?」
「俺も同じ。人間が優先する感じ。でも以前と違って体は軽いかな。朝試しにフェンス軽々飛び越えてヤバイと思った。」
話をしていると翼のアパートに着いた。
「今日は二人共ありがとう。またね。」
翼が部屋に入るのを勇吹と護が見守っていた。扉が閉まると二人が離れていくのが分かった。
「あぁ、疲れた。もうシャワーでいいや。夜食になっちゃうけど、食べてから寝よう」
夜食を食べて、自宅周辺の写真を撮って結花にメールを送る。
(平和になりました。ってわけでもないか。美佳、神隠しか。流石に髪引っ張って倒すのはドン引きした。まあ罵声もね。あれが無ければ助けるんだけど。)
そう思っていると眠っていた。
…また夢を見た。大きな鬼が子供と遊んでいた。その中には人間もいた。体に色が付いた鬼や髪に色が付いた人間に近い鬼、そして人間から鬼に変身するものがいた。
鬼とは何か?
鬼は霊の一種と言われていた。悪い気が溜まる場所なら悪鬼が、良い気が溜まる場所なら善鬼が。
そして、鬼が人と結ばれ、人間の姿をした鬼が生まれだした。
しかし、鬼が増える事を恐れた人間が子供の鬼に石を投げつけたり、棒で殴ったりした。大きな鬼は怒り、人間を追い払い、山の奥に行った。
その時に鬼の子が何人か迷子になる。ほとんどの鬼の子が人間に狩られた。そして運良く人間の里に現れて育てられた鬼がいた。
翼が目を開くと朝になっていた。ベッドの上でいつも通り寝ていた。
電話のアルバムを開くと角が生えた勇吹と護がいた。
青鬼の言葉が甦る。
「コイツらは人間と鬼だろ!ハイブリッドだぜ!」
「…勇吹と護は人間と鬼の間に生まれた子。」
ここにいくつかの答えが見つかった。
今回の結果としては、鬼は霊的なものだと言われているそうです。
自然が穏やかだったり、災害を起こすのと一緒です。
そして偶然ですが、青鬼が勇吹と護についてとんでもない暴露をしていますね。
勇吹も護も人間と鬼の間の子だった。これは前世も現代も同じでしょうね。
つまり、二人の親のどちらかが鬼の血を持っている。
たぶん変身の仕方が分からない可能性が高いとは思いますけどね。
こうなると次も大体予想出来ますね。
次回に続け。