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鬼神達の宴朱プロローグ

昔和風ファンタジーが好きでいろいろ考えただけで終わったりしたんですが、今回は鬼を味方にした話にしました。

結構昔はいろいろ鬼が味方のゲームとかあったんですが、最近は悪役の鬼が多いですね。打破しましょう。


挿絵(By みてみん)

騒ぐ声が聞こえて静かに目を覚ます。ここは日本のどこかの城のようだ。周りは赤い炎が見える。城が燃えているようだ。どうやら上の階にいるようだが、階段から下には降りる事は出来ないようだ。仕方ないので外が見渡せる場所に行く。周りは暗いので夜だろう。ここは四階のようだ。下には逃げる人が見えた。

「妖魔が城に火を付けたぞ!皆逃げろ!」

私は逃げられない。さあ、どうするかと思っていたら、床が崩れて庭に放り出された。夢だと思っていたが、身体中に痛みが走る。

「椿!」

私をつばきと呼ぶ、橙の袴姿の男が近づく。男は若かった。自分の幼なじみなのだろうか?

「私はどうやら死ぬようだな。仕方ない。あんな高さから落ちれば助からないな。」

「嫌だ!椿!俺を置いて死ぬな!」

男は悲しそうに泣いた。だが、犬歯が大きくなり、体も膨張して大きくなり、涙に血が交わり赤くなるのが分かった。

「可哀想に。お前の心が壊れてしまったのだな。傷つけてすまない。」

意識が薄くなりながら、男が自分を抱きながら咆哮をあげていた。



ベッドの上で一人の黒色長髪の女性が目を覚ます。

「あー。自分死んでたな。」

暫く意識が朦朧としていて10分位はそのままでいた。それから顔を洗って、冷蔵庫のアイスコーヒーをカップに入れて朝食に具が入った「サンドウィッチもどき」と自分が名称しているものを置いてテレビの電源を入れた。

「今日の天気は曇りですが、暑いです。熱中症に気を付けましょう!」

季節は夏。心の中で「そうですね。」と言う。昔は観客が皆で言っていたテレビ番組、あったみたい。

今日の占いは真ん中。嫌いな人に要注意だって。大学にめんどくさい女がいるんだよね。

歯を磨いて、戸締まりして、一人暮らしの部屋を出てデザイン関係の大学へ。電車に少し揺られて30分。

今日の服装は空色の長袖のシャツと薄いジーンズ。

挿絵(By みてみん)


駅の外に出ると丁度バスから降りた知り合いの男、五十嵐いがらし まもると女友達、中村なかむら 結花ゆかと合流した。


護は髪は茶髪、青いシャツに薄い赤い上着、下には黒の長ズボンに黒の鞄を肩から下げていた。

赤い上着が目立つ。

挿絵(By みてみん)


結花は若干茶髪のポニーテール、黄色のリボンのようなもので括っており、上着は空色の服にベージュの長ズボン。

やはり目立つ。

挿絵(By みてみん)


「市村さん、おはよう!」「翼おはよー!」

二人から上と下の名前で呼ばれている。市村いちむら つばさ。夢ではつばきだったっけ。「どっちも一文字やんかー」とツッコミたくなる。

「おはよう。」

この四文字で結花は気がついた。

「あっ。今日機嫌悪いでしょ?」

「当たり。あんまり良くない夢見た。内容は伏す。」

「よくわかるね?中村さん。」

「私と翼って付き合い長いからね!」

「あっ、市村さん、今日良かったら帰りに何処かで皆と夕食どうかな?」

その言葉で翼の不機嫌メーターが上がる。

「もしかして、あの女も来るの?」

「あっ!来ないよ!中村さんと俺だけ!」

「あーあ。護ダメだよ。あれあったの春なんだから。」

あれとは春に大学のちょっとした飲み会があった。まあ長居する気はなかったんだけど、ここに大掛おおがけ 美佳みかって言う親が金持ちの悪女に目を付けられて、ちょっと言い合って帰った記憶がある。服装がとか、態度がとか言われてつい

「ウザイんだけど、何?」

と言って帰った。


「まあ、私も。いや、私、悪くないでしょ?とりあえず視界に入れたくない。行こうか?」

大学に行って、授業を受ける。18時、夕食を食べにお店へ。まだ三人共18歳なので適当にドリンクを頼んで、飲む。


「あれ?護君と中村さんじゃない」

聞き覚えがある声が聞こえた。出た。大掛 美佳。数人、友達を連れている。

「…最悪、タイミング最悪過ぎ。」

一気に護と結花の表情が青ざめる。

「…市村、なんでいるの?」

「夕食に呼ばれて来ただけだし、何?」

「嬢ちゃん、口悪いな。」

なんか金髪の厳つい男に絡まれる。最悪過ぎ。

「はいはい、帰りますよ。でも、次やったら通報するから。」

男は顔を赤くして何か言っていたが、よく聞こえないし、どうでも良い。

「護、結花の事、お願いね。」

護の肩を叩いて適当にお金を置いて店を出ようとすると、見覚えがある男性店員がいた。

「あっ…。」

その店員は夢の橙の袴姿の男とそっくりだった。目つきはかなり悪い、近寄りにくい印象だった。が、こちらを見ると相手も驚いていた。

挿絵(By みてみん)

(偶然?気のせい?わからない)

軽く会釈をして、店の外に出た。そのタイミングで護と結花からメールが来たので(また今度ね)と返信して駅に向かった。

自宅前の駅に着いて違和感を感じた。

(何かに見られている?)

何かは分からないが、無数の視線を感じた。他の通行人も同じように違和感を感じて早歩きや走っている人がいた。

翼も早歩きで自宅に帰り、玄関の鍵を掛けて、ドアガードをした。暫くして、ドアノブがガチャガチャ動き出した。

(何かがドアノブガチャガチャしてるんだど)

と護と結花にメールを送る。

護からは(外に出ない方が良い)とメールが来た。

結花からは(外に何がいるの?)とメールが来た。

ドアスコープから外を見ると目が一つの黒い物体が浮かんでいた。スマートフォンのカメラで撮影するとハッキリ写っていた。

(なんか一つ目の見た事が無いのがいる)と二人にメールを送る。

護からは(今から行くから待ってて)とメールが来て、結花からも(護が行くって。妖怪って言っていたよ)と来た。

「いや、護が来てどうするの」とツッコミを入れたくなった。

玄関から音がした。護が来るには早すぎる気がした。ドアスコープを覗くとさっきの飲食店の店員がいた。

「椿、中にいるか?」

「私は翼。椿じゃない。」

ドアガードだけ付けてドアを開けるとさっきあった店員が私服の姿でいた。

「翼!外に出る準備をしろ!お前の後ろで妖魔が実体化しかけている!」

振り向くと黒い塊が出来ていた。翼は慌てて家を出た。

「やっぱり!夢の侍!」

「昔の名前は旭陽あさひ。今は火爪勇吹(ひづめ いぶき)だ。」

家はアパートで外の道には妖魔が彷徨いていた。

「いっぱい妖魔がいるし。」

「誰かが集めているかもな。」

アパートの外を歩くと護に出会った。

「市村さん。大丈夫だった?」

「家の中に妖怪が現れた!もう!最悪!」

勇吹が当然刀を出して護に向けた。

挿絵(By みてみん)

「…お前の仕業か?鬼」

「え?護って鬼なの?」

護はそれを聞くと少し笑ったが目付きが変わり、頭から二本の角を出した。

挿絵(By みてみん)

「俺の仕業ではないけど、人の正体を晒すのはプライバシーの侵害って言うんだよ。昔の俺は岩愧(がんき)と呼ばれている鬼だった。丁度昨日それを思い出した。そしてこれが現在の鬼の姿だ。」

勇吹と護は鬼の姿で見つめあった。激しい怒りに満ちた目と笑みを浮かべながら冷たい目をしていた。

「護、質問があるんだけど。何で鬼の姿になったの?」

「この姿だと妖魔や妖怪を引き離せるみたいだからね。後、そこの鬼とは昔相討ちになったからね。敵意がない事を示したい。」

「え?勇吹、護殺したの?」

「コイツが城に妖魔を送ったと思ったんだ!」

勇吹は顔を赤くして言った。(あー。人の話聞かないタイプね)と悟った。

「…護に謝って。たぶん昔の城が燃えた事件、護悪くないでしょ。謝って。」

「…うっ。…っ。…すまなかった。」

勇吹は頭を下げておとなしくなった。背も低いせいか、単純すぎて少し呆れてしまった。

「護。謝って済む問題じゃないけどさ、仲良くして貰っていい?」

「まあ、俺もその鬼倒したからね。お互いこれで無しって事で。」

護は笑って言った。


その時、翼の髪がおもいきり引っ張られた。

勇吹と護が見ると美佳がいた。

「なんで化け物がいっぱいいるの!あんたのせいでしょ!」

「私じゃない!離してよ!」

鬼の形相の美佳がいた。こっそり来ていたのだろうか。

すぐに勇吹が美佳を突き飛ばした。鬼の力は凄いのだろうか。そこそこ吹き飛んでいた。

「翼に手を出すんじゃねえ!」

「何よ!私は大掛財閥の娘よ!私に手を出したらどうなるか分かっているの!」

荒ぶる勇吹の横を真剣な顔の護が並ぶ。

「大掛さん。俺達は鬼なんだ。市村さんを、いや、翼を護る鬼なんだ。さっきは人間がいたから我慢したけどさ、翼を傷つけたら、君をこの爪で引き裂くからね。」

護の爪は指一つ分は伸びていた。

「うゎぁあああっ!化け物!あんたらなんかいなくなれっ!」

美佳は泣きながら逃げていった。

「あの女、ヤバイな。」

「いつも困っていてね。鬼になってやっと追い払えたよ」

勇吹と護は顔を合わせて言った。

「ねぇ、護が鬼だってばれたけど、大丈夫?」

「うん?大丈夫。だって俺達から離れたら妖怪や妖魔が集まって、神隠しに逢うんだ。」

護はにっこり笑って言う。

勇吹は驚いていたからたぶん知らなかったのだろう。

暫くすると叫び声が聞こえた。

「翼は大掛さんを助けたかった?」

「…髪引っ張られて、罵声上げてたからさ。」

「俺、あの女嫌い。」

翼は立ち上がって体の砂を落とした。

「さてと、妖怪集めているのがいるんだったかな?」

「大体暗くなってる場所の真ん中だね。」

護が指を指した先には見覚えがあった。

「確か空き地よ。あそこ。まあ、行きますかね。」

歩き出すと護は翼の手を握った。

「え!護!」

「いや、我慢してたって言ったよね?愛しているから手を繋ぎたいと思っていたからさ。」

それを聞くと勇吹も怒って手を握った。

「俺だって翼を好きなんだからな!渡さねぇぞ!」

「え?勇吹も私を好きなのか?」

翼が言うと勇吹は表情を変えて少し照れていた。

「ぁ…当たり前…だろ…。」

「いやぁ、無自覚だろうが、厄介な鬼だな。まあいい。翼がどちらを気にいるか楽しみだ。」

護は勇吹を意識しているらしい。

ただ、気になるのはどちらかと付き合わないといけないかどうか。

(あれ、そんな関係だったか?)と翼は考えていた。

始めは悪女キャラクターは妖怪にされて、人間に退治される終わり方をイメージしていましたが、神隠しでライトな退場になりました。

昔は勇吹と翼のやり取り多めで、護の正体は中盤で分かるイメージだったのですが、早めになりました。

原因は他の所で一通りの設定を決めたからなのもあります。

悪女退場もこのタイミングだったのですが、味方鬼が二人欲しいと言う我が儘のせいです。

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