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Sevens Heroes〜選ばれし7人の戦士達〜  作者: 蒼月丸
第二・五章 束の間の羽休め①
31/32

爆誕!プロレスユニット「ブレイブペガサス」

今回は零夜が自身の夢を叶えます!

 東京新宿のビルの中にあるプロレス道場。そこは零夜の憧れの団体である「ドリームレッスルバトラーズ」の本拠地である。


「はっ!」

「くっ!」


 選手達が組手をしたり、受け身を取ったりするなどのトレーニングをしていて、その片隅では倫子が後輩に指導していた。


「ブリッジで60秒過ぎてもまだ続けるの?」

「ええ。まだまだやれますよ!」

「零夜君、あまり無理しないでね」


 なんと零夜もこの練習に参加していて、彼は地球に戻ってからもプロレス練習をしているので、倫子の提案で合同訓練にいつも参加する様になっていたのだ。


「よし!このぐらいかな」


 零夜はブリッジを終わらせ、すぐに立ち上がる。


「けど、驚いたわ。合同訓練に参加してから一週間だけど、まさか多くの技を次々と覚えて使える様になるなんて」

「プロレスは様々な技を経験しないと強くなれませんし、人の動きをよく見て取得しておく必要があります」

「勉強熱心やね。それに、ミミちゃん達も入ってきたし」


 倫子が指差す方を見ると、ミミ、ヒカリ、エヴァ、アミリス、ソニアも参加していて、トラマツとノースマンが彼女達を指導していた。因みにサンペイは見学だ。


「よし!受け身はバッチリだな!」

「ええ。上手く成功できて良かったわ。他の皆も動きが良くなっているし」


 ヒカリやアミリス、ソニアも受け身を上手く成功していて、特にエヴァは零夜と同じくプロレス技を吸収し、見事上達しているのだ。


「零夜君だけでなく、エヴァちゃんもプロレス技術がとても良いし、もしかすると二人はプロレスラーは勿論、王者になれるかも知れないわ」

「まだまだですよ。さっ、無駄話しないで練習練習!」


 零夜がすぐに組手をしようとしたその時、社長である国益雷電が姿を現す。


「雷電社長!」

「皆、頑張っているな。零夜達のデビュー戦が決まったぞ!」

「決まったのですね!その組み合わせは?」

「じゃあ、今から発表するぞ」


 雷電は皆を集めて、零夜達のデビュー戦のカードを発表する。


「では、1つ目の試合。春川ミミとソニアVS国重ヒカリとアミリス」

(女子同士の試合か……確かにこの試合はありだと思うな)


 雷電の発表したカードに零夜は納得するが、ミミ達はお互いを見合わせていた。


「まさかヒカリさん達と戦うなんて……でも、やるからには負けませんから!」

「私もよ。いい試合にしましょう!」

「おう!」

「負けないから!」


 四人は正々堂々戦う事を決意し、雷電は次のカードを発表する。


「もう一つは東零夜、藍原倫子、エヴァVS黒田哲三、室山裕貴、浅原大志だ」

「浅原さんと聞いたら……あ、倫子さんが好きな人だな……」


 零夜は唖然としながら倫子に視線を移すが、彼女は不安そうな表情をしていた。


「大丈夫ですか?」

「いや、浅原さんが絡むと不安で……」

「となると、エヴァが来たらますます酷くなりそうだな……俺がなんとかしておかないとな……」


 零夜は真剣な表情で考える中、黒田と室山が彼に近付く。


「あのデブは俺達でどうにかする。暴走したら蹴り飛ばすだけだ」

「だが、これ以上ヒートアップすれば俺達でも止められない。その時は頼んだぞ」

「不安しか無いですけど!」


 零夜が黒田と室山のアドバイスにツッコミを入れる。ヒートアップしたら止められない事を聞けばツッコむのも無理はないだろう。

 その様子を見たエヴァが零夜に近付いて来た。


「私だったら止められるけど?」

「「「へ!?」」」


 エヴァは普通に浅原を止められる事を宣言し、零夜達は思わずポカンとしてしまった。



 そしてデビュー戦当日。後楽園ホールは満席で歓声が響き渡っていた。それもその筈、地球の勇者であるブレイブペガサスがプロレスデビューをする事になっている為、チケットはあっという間に完売していたのだ。

 試合は第一試合が始まっていて、ミミとソニア対ヒカリとアミリスの試合が行われていた。


「この!」

「ぐっ!」


 ミミはロープの反動で飛び出し、ラリアットをアミリスの首に直撃して倒してしまう。その隙に彼女はアミリスをフォールしようとする。

 因みにミミのプロレスコスは青系の裸オーバーオールで、アミリスは赤いチューブトップとジーンズだ。


「1、2!」

「くっ!」


 カウント2でアミリスは返し、ミミは彼女の腰を掴んでブレーンバスターを仕掛けようとする。しかし、アミリスは抵抗し、逆にミミを反り投げ飛ばした。


「がはっ!」

「ブレーンバスター炸裂!アミリスにも意地があります!」


 この大会でもラビリンの実況が響き渡る中、ミミはソニア、アミリスはヒカリにタッチしてリングから降りた直後、ソニアとヒカリはすぐにリングに入り、そのまま組み合い始める。

 ソニアの衣装はオールインワンスタイルの青緑色アオザイのアレンジ版で、ヒカリは相変わらず裸オーバーオールだ。


「オラッ!」

「ぐっ!」


 ソニアはヒカリの腹を蹴り飛ばして離れた直後、ロープに向かって駆け出して背中からロープに当て、そのバウンドで走り出し、強烈なハイキックでダウンを奪う。


「ここでハイキック炸裂!フォールに入った!」

「1、2!」

「はっ!」


 ヒカリはすぐに返して起き上がり、仰向けとなってソニアの首を足を使って締め上げ始める。これぞ逆首4の字固めだ。


「うぐぐ……」

「逆首4の字固め炸裂!藍原選手の技をヒカリ選手が覚えているとは驚きました!」


 観客席では大興奮となる中、この様子を入場口から零夜達が見ていた。


「まさかヒカリさんが倫子さんの技を使うとは驚きました……」

「そうね。彼女は絞め技を上手く使えるみたいで、三角絞めまで取得したみたい」

「凄い……絞め技ならヒカリの得意技ね。私は打撃と投げの専門だからな……」


 零夜達がヒカリの絞め技姿を褒めている中、彼は次の試合が自分達だという事を自覚する。


「次は俺達の番ですからね。やるからには勝ちに向かいましょう!」

「ええ。相手は浅原さん達やけど、やるからには勝たないと!」

「私も戦う覚悟はできているから!」

「決まりですね。さて、試合の方はどうなるかだな」


 零夜は倫子とエヴァの意見に納得し、試合に視線を戻し始めた。



 リング上ではヒカリとミミが激しい攻防を繰り広げていて、場外ではアミリスがソニアを抑え込んでいた。


「これでも喰らえ!」

「あっ!」


 ヒカリの強烈ハイキックがミミの頭に当たり、彼女はよろけてしまう。


「今がチャンス!これで終わらせる!」


 ヒカリがミミを肩車して撞木反りを狙うが、彼女はすぐにニヤリと笑う。


「そうはさせないわ!」


 ミミはすぐに背中を反ってヒカリの足首を掴み、そのままひっくり返して抑え込み、ブリッジをしてしまった。


「しまった!」

「1、2、3!」


 そのままスリーカウント。ミミがヒカリを抑え込んで見事逆転勝利し、デビュー戦を自力白星で飾った。


「まさかまさかの逆転勝利!撞木反りからひっくり返してのスリーカウントとは!その技についてですが、たった今情報が入った所、「スパイラルオーシャン」という技名が付けられました!」


 ラビリンの実況と共に歓声が響き渡り、抑え込まれたヒカリは頬を膨らます。


「折角勝っていたのに……」

「油断大敵ですよ」


 ミミはウインクしながらヒカリの頭を撫で、この光景にアミリスとソニアは苦笑いしつつも、彼女達の元に駆け寄る。


「まさか新技を繰り出すとは……」

「あの返し方は真似できないぜ……」

「こう見えても身体は柔らかいからね。さっ、次は零夜達の試合よ」


 ミミの合図で全員がリングから降りて、赤コーナーの入場口の方に入った。


「お疲れ様!」


 入場口では零夜達が待ち構えていて、ミミ達は彼等の元に移動する。


「まさか新技を繰り出すとは驚いたな」

「私だってやればできるからね。それよりも次は零夜の試合でしょ?絶対勝ってね!」

「勿論だ!」


 零夜がミミのエールに応えた直後、サンペイが倫子を自身の背中に乗せ終えていた。


「倫子が乗ると似合う感じがするぜ」

「オイラと倫子は気の合うコンビだからな」

「トラマツ、ノースマン。会場はどうなっているの?」


 ヒカリは会場を覗き込むトラマツとノースマンに視線を移し、すぐに彼女達の方を向く。


「今、青コーナーの入場が終わりを告げたみたいだ」

「こちら側の音楽も始まったし、行くとするか!」

「ああ!」


 零夜達は一斉に入場口に入り、観客達にその姿を見せる。すると大歓声が響き渡り、この光景に零夜達は驚きを隠せずにいた。


「凄い人気だ……オイラ達ってこんなにも人気だとは驚いたな……」

「地球の勇者だからね。さっ、リングに入りましょう!」


 倫子の合図で零夜はリングへと向かい出し、彼を筆頭に入り始める。


「赤コーナー、ニンジャヒーロー!東零夜!」


 零夜のコールに歓声が響き渡り、次はエヴァがリングに入る。


「怪力レディワーウルフ!エヴァ!」


 エヴァは左拳を天井に向けて掲げながら歓声に応え、最後に倫子がサンペイから降りてリングに入る。


「京国のジャンヌ・ダルク!藍原倫子!」


 倫子が観客からの歓声に応え、零夜達の元に向かったその時、浅原が彼女に接近しようとしていた。


「おーっと!接近しようとしているぞ!何考えているんだアンタは!」


 ラビリンのツッコミ実況が響き渡り、黒田が浅原を蹴り飛ばしてコーナーに戻させる。


「おい!お前な、試合前にセクハラしようとするバカが何処にいるんだ」

「だって倫子ちゃんがいるんだもん。それに、週刊誌を見たけど、倫子ちゃんがあのクソ忍者とキスをしていたのはムカついていますし、ここで奴をぶっ倒すしか無いですからね」

「いや、お前が藍原さんと付き合うのは絶対に無理だろ!」

「んだとゴラ!」


 青コーナーではギャーギャー騒いでいて、この光景に零夜達は唖然とする。


「実際に見てみると、彼奴等って仲悪いみたいだな……」

「でも、油断は禁物!プロレスラーはそう簡単には倒せないからね」

「ええ。先発はどうするの?」

「俺が行きます!」


 零夜がリングに残り、エヴァと倫子はリングサイドに移動する。


(俺はこの時をずっと待っていた。やるからには勝利し、新たな物語を切り開く。例え誰が相手であろうとも……俺は容赦しない!)


 零夜は心の中で決意を固めた直後、青コーナーからは室山が出てくる。


「まさかお前が先発とはな……お前がプロレスラーとなったからには容赦しないぜ」

「俺もこのリングに立った以上は容赦しない……この試合……必ず勝つ!」


 室山の挑発に零夜が返した直後、試合が始まりを告げるゴングが鳴らされる。

 零夜は黒を基調とした忍者スタイルで、室山は下半身が黒いタイツだ。

 すると室山が強烈なミドルキックを放つが、零夜は片手で止めて右のローキックを放つ。


「先手は零夜!おっと!この態勢は……」


 零夜はすかさず前屈みになった室山の胴体に両腕を回し、抱えるようにクラッチして、背中を大きく反らせた反動で相手の体を肩の高さまで持ち上げる。


「まだだ!」


 すると零夜はコーナーポストに上がり、そのまま跳躍した。


「十六夜!」

「がはっ!」


 零夜は空中パワーボムの十六夜で、室山の背中を強烈に叩きつけ押さえ込む。


「1、2!」

「させるか!」


 カウント3まであとちょっとの所、浅原がタックルで阻止してしまい、すぐに室山を抱えてリング外に落とす。


「おい!仲間を放り投げるな!」


 零夜が浅原にツッコむが、彼はギロリと零夜を睨みつける。彼のコスチュームは黄色いトランクスだ。


「東、殺す……倫子ちゃんは僕の物だ……」

「誰がアンタなんかに渡すかよ!」


 零夜はすぐに駆け出して浅原に左のハイキックを当てようとするが、彼は片手で止めてしまう。


「なら、軸足を!」


 零夜は右の軸足でジャンプしたその時、浅原はその足も掴んでジャイアントスイングで零夜を回してしまう。


「出たーっ!ジャイアントスイング!そして零夜が……投げ飛ばされた!」

「がっ!」


 回された零夜はリングマットに背中を打ってしまい、片足を上げられながらフォールを掛けられてしまう。


「1!」

「くっ!」


 零夜はすぐに返して起き上がり、お返しのハイキックを浅原の顔面に当てる。


「うおっ!」


 その衝撃で浅原は倒れてしまい、零夜は彼を持ち上げようとする。

 しかし、浅原は動かず、この状況に零夜は疑問に感じる。


「さっきのハイキックが効いたのかな?」


 零夜は疑問に感じたまま、コーナーへと移動する。


「浅原は倒れている。ここはエヴァが行くべきだ」

「任せて!あの男は私が放り投げるから!」


 零夜とエヴァがタッチして入れ替わり、彼女はすぐに戦闘態勢に入る。彼女のコスチュームは青系のオーバーオールで、お尻に尻尾が生えているのだ。

 その直後、倒れている筈の浅原が起き上がって彼女に接近してきた。


「あーっと!死んだふりをしていた!そしてそのまま……エヴァを押し倒した!」

「エヴァちゃーん!」

「キャッ!」


 エヴァは浅原に身体ごと押し倒されてしまい、そのまま自身の身体を擦り付けられてしまう。


「キャー!キャー!」

「これはいけない、よくない!」

「止められると言ったのに大嘘ついているじゃねーか!」

「早く止めないと!」


 エヴァの悲鳴に両コーナーから選手達が一斉に飛び出し、浅原を踏みつけまくる。その隙にエヴァが浅原から離れてしまい、倫子に抱き着いた。


「うえーん……怖かったよ……」

「よしよし……」


 倫子は浅原の恐怖で泣きじゃくるエヴァの頭を撫でまくり、怒りの表情で浅原を睨みつける。


「ちょっと!何考えてるん?やって良い事と悪い事があるのが分からへんのか!?」


 倫子が浅原に対して怒りながら、やって良い事と悪い事を説教し始める。


「倫子ちゃーん!」

「キャーッ!」


 しかし浅原は懲りずに倫子を押し倒してしまい、また自身の身体を擦り付け始める。


「懲りてないぞ!」

「お前いい加減にしろよ!」

「いだだだだ!」

「敵味方から蹴られてしまうのも無理はない!女の敵です!」


 またしても浅原は皆から蹴られてしまい、倫子は零夜に救出されたと同時に、エヴァと共にリングから降りる。


「そんなやり方だから女にモテないんだよ!少しは自重しろ!」

「できるか!」

「がはっ!」


 零夜からの指摘を受けた浅原は、逆ギレで彼の首に強烈なラリアットを当てて倒してしまう。


「逆ギレして倒すのもどうかと思うぞ。ここは俺がやる」

「ウス」


 浅原は黒いトランクスタイツ姿の黒田にタッチして室山と共にリングから降り、黒田は零夜を立ち上がらせて強烈なハイキックを彼の顔面に2発当てる。

 彼は総合格闘技の経験もある為、蹴りの威力も強烈なのだ。


「これは煉獄!今のは流石にきつい!」

「お陰で目が覚めました!」

「何!?」


 ところが零夜は今の技で目を覚ましてしまい、黒田の背後に回って腰を掴み、スープレックスでダメージを与える。


「今の内に!」


 零夜はすぐに倫子にタッチして入れ替わり、彼女と黒田が相対する。


「師弟対決が実現!この展開を誰が予想したでありましょうか!」


 この光景に実況は勿論、観客も興奮の嵐となっていて、二人は円を描く様に相対し、距離を縮めてくる。


「はっ!」


 ここで倫子のハイキックが黒田に炸裂し、その合図と同時に零夜とエヴァが飛び出す。

 そのまま室山と浅原をエプロンサイドから蹴り飛ばして、彼等をリングから落下させた。


「舐めるな!」

「がっ!」


 しかし、黒田も負けじとハイキックで蹴り返し、更に彼女を前のめりに転倒させてすぐに三角絞めの態勢に入った。


「三角絞め!これはキツいとしか言えない!」

「させるか!」

「がはら!」


 ところが零夜が黒田の頭を蹴り飛ばし、三角絞めも解除されてしまう。


「そしてそのまま!」


 零夜はすかさず黒田の身体を掴んで跳躍したと同時に、空中で黒田の胴体を背後から抱きかかえて拘束し、逆さまに落下してしまう。


「飯綱落とし!!」

「ごはっ!!」


 零夜はそのまま黒田の肩をリングマットに激突させ、すぐに倫子を呼び寄せてフォールさせる。


「1、2!」

「させるか!」


 すると室山が駆け付けてカットし、黒田を抱えて浅原にタッチさせる。


「後は頼んだぞ!俺達は休んでおく!」

「よっし!」


 黒田と室山はリングから降りて、浅原が零夜と対峙する。


「よくもやってくれたな!倫子ちゃんを僕に返せ!」

「だからアンタの物じゃないって言ってるだろ!その証拠に嫌がっているから!」


 零夜が指差す方を見ると、倫子はエヴァと抱き合いながら嫌がる表情で怯えていた。


「ああ……これは確かにな」

「私達も嫌かも……」


 トラマツは納得の表情をしていて、ミミ達も同意する。


「うるさい!こうなったらお前を倒してやる!」


 浅原はタックルで突進するが、零夜は回避してしまい、浅原はコーナーポストにぶつかってしまう。


(なるほど。猪突猛進か。それなら……)


 浅原は方向転換して再び零夜に襲い掛かるが、彼は跳躍して回避し、向きを変えて浅原の背中に飛び蹴りを当てた。


「これは飛び蹴り!まさに忍者その物だ!」


 零夜はリングマットの上に着地し、すぐに立ち上がろうとする浅原に視線を移す。


「終わりだ!」


 零夜がそのまま強烈な膝蹴りを喰らわせようと駆け出したその時、浅原が立ち上がってボヨンボヨンの腹で受け止めてしまった。


「腹をクッション代わりにして受け止めた!?」

「こいつが!」

「ガハッ!」


 浅原は零夜をリングマットの上に背中を叩きつけ、更に倒れ込んでのボディプレスで追い打ちを与える。


「これは痛い!零夜選手も流石に起き上がれないか!?」

「今のは効いたかもな……」


 零夜が起き上がろうとする中、浅原は右手を挙げる。


「それでは皆様!僕はここで宣言します!」

「「「?」」」


 浅原の突然の宣言にミミ達は疑問に感じるが、お客さんはすぐにこの様子を察する。


「僕がこのムーンサルトプレスを成功させたら、倫子ちゃんとその場で結婚宣言をします!皆さん、成功する為に手拍子を!」


 すると観客達が手拍子を始めてしまい、浅原はコーナーポストに登り始める。


「エヴァちゃん、零夜君を移動させて!」

「はい!」


 倫子の指示でエヴァはリング内に入り、零夜を抱えて移動する。それに気付かない浅原はムーンサルトをしようとする。


「行くぞ!」


 浅原は跳躍してムーンサルトを決めるが、この場に零夜は既にいない為、腹をリングマットにぶつけてしまった。


「まさかの自爆!という事は……」


 ラビリンがコーナーポストを見ると、倫子が既にコーナーポストに移動していて駆け出し始める。


「浅原!」

「がっ!」


 そのままジャンプと同時に二段蹴りの要領で振り上げた右足で、相手の顔面を蹴り抜いた。


「出ました!新人賞です!」

「フギャー!フォール!」

「1、2、3!」


 そのまま抑え込んでスリーカウント。倫子の勝利で戦いは終わったが、浅原に触れた手をコーナーポストに擦り付けた。


(そんなに嫌だったのか……)


 零夜は唖然としながらその様子を見た後、すぐにマイクを受け取って喋り始める。


「気持ちは分かるかも知れないけど……こんな事をしたら誰だって嫌がりますよ。もう少し自重してください」

「「「ハハハハハ!」」」


 零夜がマイクで浅原を指摘し、観客席から笑い声が聞こえる。


「そりゃそうだろ。あんな事をするから……」

「これに関しては何も言えないし……」


 トラマツ達も唖然とする中、浅原も別のマイクを受け取って喋り始める。


「僕は……何が何でも諦めない……どんなに倒れても……君には負けない……倫子ちゃんは僕の物!そして……添い寝を……」

「止めろ!」

「おうっ!」


 浅原が喋っている途中に室山が彼の顔面を蹴り飛ばし、更には腹を踏みつける。


「痛い痛い!」

「馬鹿だ……本当の馬鹿だ……」


 この光景にラビリン達が唖然とする中、黒田が浅原からマイクを奪い、すぐに零夜の方を向く。


「デビュー戦なのに俺達をここまで追い詰めるとはな……下手したら王者になるのも時間の問題かも知れないな」

「きょ、恐縮です。大した事じゃないですが……」


 零夜が照れながら頭を掻く中、黒田は倫子の方を向く。


「藍原。お前にはこんなにも仲間ができたみたいだな。お前が異世界に行ってここまで成長したとは驚いた。もう……お前はバトルブレイカーズはクビだ」

「えっ!?」


 黒田からのクビ宣告に倫子だけでなく、観客達も驚いてしまう。


「お前には零夜、エヴァ、春川、国重、アミリス、ソニア、トラマツ、ノースマン、サンペイがいる。次は敵同士だが、何事も諦めずに頑張れよ」

「黒田さん……」


 倫子の目から涙がこぼれ、零夜が彼女の頭を撫で始める。


「零夜……藍原の事を頼んだぞ!」


 黒田は室山、浅原と共にリングから去り、零夜は泣いている倫子を抱き寄せる。


「大丈夫です。あなたは一人ではありません。俺達が付いています。それに俺達全員プロレスでビューした以上、地球の勇者としての責務を果たすだけでなく、最強のプロレスユニットを目指して頑張りましょう!」

「零夜君……うん!」


 零夜の笑顔に倫子は涙ながらの笑顔で返し、彼はすぐに観客達の方を向く。同時にミミ達もリング上に上がってきた。


「我等ブレイブペガサスは地球の勇者として活動するだけでなく、このドリームレッスルバトラーズでも新たな旋風を巻き起こす!皆、準備はいいか!?」

「「「オーケー!!」」」


 零夜の宣言と同時にミミ達は拳を上げながら応え、全員がリング中央に移動する。


「何が何でも最後まで諦めない!無限大の可能性は止まらないぜ!」


 そして零夜の締めの言葉と同時に歓声が響き渡り、零夜達はリング上で歓声に応え始める。


「零夜、夢を叶えてよかったな……」

「ああ……それにしても彼奴等がプロレスに参戦となると、ますます忙しくなりそうだな……」


 トラマツとノースマンがこの光景を見ながらそう感じる中、倫子が彼等の方に視線を移す。


「あなた達も入って!」

「行くとするか!」

「おう!」

「オイラも!」


 トラマツ達もリング内に入り、彼等は記念撮影を行う。この瞬間、ブレイブペガサスのプロレスユニット活動が始まりを告げられたのだった。



「はーっ……十分に楽しめた……」


 その後、控室では零夜が背伸びをしながら実感していて、倫子達は微笑みながら彼を見ていた。


「良かったわね。プロレスデビューをする事ができて」

「俺もプロレスラーになれたのは良かったけど、まだまだここは通過点だからな」

「「「通過点?」」」


 零夜の言った通過点という言葉に、倫子達は疑問に感じる。


「この試合の前日、デビューした後に今後どうするかを考えていたんだ。やっぱりただ活躍するだけじゃ駄目だし、皆で王座を手に入れて世界が注目するような最強ユニットにしたいと考えているからな」

「確かにメジャー団体であるNEO日本プロレスでは有名なユニットがいるからね。グレートエンパイア、シャドウラッシャーズも有名だし」

「零夜はこの事を考えて今の決断をしたのね」


 零夜の考えに倫子が現在の状況を察し、エヴァ達が彼の考えに納得の表情をする。


「これから先どんな事があろうとも、俺達ならやっていける。最後まで諦めずに頑張ろうぜ!」

「「「おう!」」」


 零夜の宣言と同時に倫子達は再び拳を上げながら応え、ドア越しでは黒田がこっそりと聞いていた。


(彼奴等は彼奴等で新たな道を切り開くな。俺達は俺達で頑張らないとな。負けるなよ、ブレイブペガサス)


 黒田は心の中で零夜達にエールを送り、その場から移動したのだった。

零夜達はプロレスラーとしての新たな1ページを刻みました。


彼等のこれからの物語に注目です!

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