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Sevens Heroes〜選ばれし7人の戦士達〜  作者: 蒼月丸
第二章 受け継がれる勇者の意思
26/32

戦いの決着と蓮太郎との別れ

今回で第3章もあと2話です!

 ヒカリとカンナの戦いは武器から拳での殴り合いとなってしまい、両者とも激しい打ち合いとなっていた。


「「うおおおおおおお!!」」


 二人の覚悟と思いがそれぞれの拳に乗せられていて、殴る音がステージ内に響き渡る。


「武器での戦いから素手での戦いへ!こんな展開を誰が予測しただろうか!」

「歌のお姉さんがあそこまで本気になるのは想定外でしたが、貴重な一面を知る事ができました。それに……彼女達はただこの試合に勝つだけではないみたいです」


 栞の解説に観客席にいる全員が彼女に視線を移す。


「そ、それはどういう事ですか!?」

「彼女達は……自らのプライドを賭けて戦っています。最大限の力を発揮しながら……!」


 栞はステージで戦うヒカリとカンナを見て、真剣な表情で見つめていた。



 零夜はエヴァ、蓮太郎と合流し、ヒカリとカンナが戦う広場へと向かっていた。


「ヒカリさんはカンナさんと激しい一騎打ちを行っている!どうやらこの試合は荒れるかも知れないぜ!」

「じゃあ、キャプテン同士による戦いで決着となるの!?」

「その様になる。確か……あっ!あれだ!」


 蓮太郎が指差す方を見ると、ヒカリとカンナは拳と蹴りで激しい殴り合いを繰り広げていた。


「武器を収めて激しい殴り合いをしている!まさかヒカリさんがこの様な事をするとは……」


 零夜がこの光景に驚きを隠せない中、エヴァは真剣な表情で見ていた。


「ヒカリ……まさかここまで私の格闘術を取得するなんて……」

「「ん?」」


 エヴァの呟きに零夜と蓮太郎は思わず疑問に感じ、彼女の方を向く。


「一体何があったのか教えてくれないか?」

「うん。あれは数日前……」


 エヴァは零夜に対して、数日前に起こった出来事をそのまま話し始めた。



 その日はエヴァがジムトレーニングをしていて、サンドバッグ練習を終えていた。


「このぐらいかな?」


 エヴァが手を叩いたその時、ヒカリが彼女に近付く。


「ヒカリ、どうしたの?」

「頼みがあるの。私に格闘技を教えて欲しい!」

「ええっ!?」


 ヒカリからの懇願にエヴァは驚きを隠せず、尻餅をつきそうになった。


「なんで格闘技を習おうとしたの?」

「この間の練習試合でエヴァ、倫子さん、零夜君がプロレス技を出したのを見て、羨ましさを感じていたの。それに比べて私はまだ未熟。だからお願い!」


 ヒカリはエヴァに一礼しながら頼み込み、その様子にエヴァはヒカリの肩を叩く。


「任せて。困っている人を放っておける理由は無いし、やるからには勝ちに行かないとね」

「ありがとう!じゃあ、お願いね!」

「任せて!ビシバシ行くから!」


 エヴァはグッドサインで応え、すぐにヒカリに格闘術を叩き込み始めた。



「それからヒカリはわずか数日で格闘術を覚えた。戦闘スタイルはムエタイとプロレス。オールラウンダーの動きで戦うスタイルになったけど、あそこまで成長するとは思わなかったわ……」


 エヴァの話を聞いた零夜は納得の表情をしていて、すぐに前の方を向く。


「俺も忍者になってから数日で基本忍法をマスターしたけど、諦めの悪さがあるからこそ、ここまで到達する事ができた。ヒカリさんがここまで成長したのも、それがあったからだと俺は思う」

「それって不屈の精神の事ですか?」

「その通りだ。そして……今、俺達がやるべき事は唯一つ!」


 零夜はカンナから間合いを取るヒカリに対し、息を吸い込み始める。


「ヒカリさん!カンナさんとの戦い、絶対に負けないでください!」

「零夜君!」


 零夜からの声援にヒカリは彼の方を向く。


「エヴァから聞きました。あなたも俺と同じ諦めの悪さがある以上、最後まで諦めないでください!俺はあなたが勝つ事を信じています!」

「零夜君……」

「それに……ミミ姉達、配信を見ている子供達もあなたの勝利を信じています!」

「えっ!?」


 零夜の説明にヒカリが驚いた直後、ミミ達が姿を現したと同時に、大きなウインドウも出現。画面は分割されているが、子供達がエールを送っていた。


『お姉さん、頑張れー!』

『負けるなー!』

「皆……」


 子供達からの声援にヒカリからの目から涙が溢れ、ミミ達も彼女の元に駆け付ける。


「こんなにも子供達から慕われているとなると、負けられないですよね?」

「私達はヒカリを信じているから!」

「こっちは戦いを中断して駆けつけてきたから!」

「絶対に負けんじゃねーぞ!」


 ミミ達からのエールにヒカリは自身の胸に手を当てる。


(私……こんなにも皆から信頼されていたんだ……だったら……負けられない!)


 ヒカリはすぐにカンナに視線を移し、獲物を狙う様な目で睨みつける。


「仲間からの信頼でここまで強なる。ええ目ぇしてるみたいやね。なら、うちも覚悟決めた方がええかも」


 カンナは全身からオーラを出して戦闘態勢に入った直後、風夏、ヨーコ、ココア、イシスの四人が駆け付けてきた。


「あれは……カンナさんからオーラが出ている!」

「どうやら覚悟を決めたみたい……なら、ウチ等のやる事は……応援するしか無いっしょ!」


 ヨーコは息を吸い込みながらカンナに視線を移す。


「カンナさん!負けないでください!あなたなら大丈夫です!」

「ヨーコはん……」


 ヨーコがカンナに対するエールを見た風夏達は、お互い頷いてエールを送り始める。


「私達も付いています!」

「八重やハクレンも応援していますよ!」

「最後まで諦めないで!」


 更に敗者ゾーンからはハクレンと八重もエールを送り始める。


「カンナさん、頑張ってください!」

「あなたならやれます!」

(そこまで言われたら……負けられへんのも無理あらへんわなあ!)


 仲間からのエールにカンナも正々堂々戦う構えを示し、この光景に観客席はざわつき始める。


「これ、凄い戦いになるんじゃないか?」

「仲間からのエールでここまで発展するとは……」

「応援するしかないだろ!」

「そうですね!二人共、頑張れー!」


 観客席からも頑張れコールが響き渡り、トラマツ達も驚きを隠せずにいた。


「凄いコールだ!ヒカリの奴、ここまで観客達の心を動かすとは!」

「これは応援しないと!」

「負けるな、ヒカリ!僕達は信じている!」

「最後まで諦めないで!」

「ヒカリ、ファイト!」


 トラマツ達も応援し始め、ステージ全体の盛り上がりが最高潮のボルテージに到達。それによってヒカリとカンナは同時に飛び出し、激しい打ち合いを再開した。


「これは凄い!声援と同時に激しい打ち合い!どちらが勝ってもおかしくありません!」

「まさかこの声援がここまで突き動かすとは予想外でした!諦めずに頑張ってください!」


 栞が声援を送ったその直後、ヒカリがパンチを回避して、カンナの腰を掴む。


「な!?」

「これが……私のプロレス技……ジャーマンスープレックス!」


 そのまま後方へと反りながらカンナを投げ飛ばし、彼女の身体を地面へと激突させた。


『1、2、3!』


 スリーカウントが再び決まり、そのままフォール勝ち。同時に戦いも終わりを告げられた。


『決まったー!キャプテン同士の戦いはヒカリに軍配が挙げられた!よって、ブレイブペガサスの勝利だ!』


 ラビリンの実況に歓声が響き渡り、ミミ達は真っ先に起き上がったヒカリの元へと駆け付けた。


「ヒカリー!」

「ヒカリさーん!」


 エヴァとミミは既に泣いていて、ヒカリに飛びつく。


「皆……信じてくれてありがとう」


 ヒカリは泣きじゃくるエヴァとミミの頭を撫でながらお礼を言い、ソニア、アミリスは笑顔で返していた。


「本当に良かったよ……最高だった……」

「倫子さん……」


 倫子は涙を流しながらヒカリを抱き寄せ、彼女も涙を流しながら抱き着く。

 すると観客席からトラマツ、ノースマン、サンペイ、クロエ、ユンリンも駆け付けてきた。


「本当によくやった!まさか一騎打ちで勝つとは……」

「今のヒカリ、凄く格好良かったぜ!」

「トラマツ、ノースマン……」


 ヒカリはトラマツとノースマンの褒め言葉に再び涙を流してしまう。


「もう戦う歌のお姉さんとして良いんじゃないか?」

「私もそう思う!」

「そっちの方が似合うかもね」

「ちょっと!それは似合わないから止めて!」


 サンペイのアドバイスにクロエとユンリンも同意するが、ヒカリは赤面しながら反論する。

 その直後、ココアと風夏に支えられながら、カンナが彼女に近付いて来た。


「ヒカリ……うちの完敗や……まさかあのジャーマンスープレックスを繰り出すとは予想外やった」

「カンナ……」


 すると、カンナがヒカリに手を差し伸べる。


「次は……うちが勝つ!」

「返り討ちにしてあげるから!」


 カンナとヒカリは握手した後に抱擁し、拍手喝采が響き渡った。


「ヒカリさん……見事です!」


 離れた場所では零夜が目に涙を浮かべながら拍手をしていて、 蓮太郎も頷いていた。


「本当に見事な試合でした。俺としてもこの様な試合を見たのは初めてです!」

「そうだな……けど、あの輪の中に入るのは流石にまずいし、このままにしておくか」


 零夜は苦笑いしながら座り込もうとしたその時、ヒカリが彼に気付いてすぐに駆け寄ってくる。


「ヒカリさん?」

「零夜君。あなたの声援が無かったら私は勝つ事ができなかったし、あなたがいたからこそ、今の私がいる!本当に……ありがとう!」


 ヒカリは零夜に抱き着いたと同時に、彼の唇にキスをした。


「「「!?」」」

「「「あーっ!」」」


 まさかまさかのキス展開にその場にいる全員が驚きを隠せず、ミミ、倫子、エヴァに関しては叫んでいた。


「まさかファーストキスを奪われてしまうとは……」


 零夜が赤面する中、倫子が接近して彼の唇を奪ってしまった。


「ウチだって零夜君の事が好きなんよ!」

「倫子さんまで何やっているんですか!しかも大勢の目の前で!」


 零夜か倫子の行動に赤面しながらツッコむが、ミミやエヴァも接近してきた。


「じゃあ、私も気合い入れに……」

「私も!」

「勘弁してくれ……」


 ミミとエヴァにもキスされた零夜が倒れてしまい、観客席からヒューヒュー声が響き渡る。


「零夜さんはどうやら女難の相が出ているみたいですね」

「苦労するのも無理ないかも知れませんね……」

「零夜君ってこんな面白い一面があるのね」

「まさか女性に弱いなんて……」

「面白い子ね」


 ラビリン達が苦笑いしたその時、蓮太郎の身体が突然光り始めた。


「蓮太郎……その様子だと……お別れの時間だな……」

「「「!?」」」


 零夜が起き上がりながら蓮太郎との別れの時が来た事を実感し、クロエ達は驚きの表情をしてしまう。


「零夜さん。お別れの時が来たみたいです。俺……あなた達に出会えて良かったです。別れとなるのは辛いですが、俺の意思を継いでアークスレイヤーを倒してください!信じています!」

「任せてくれ!お前の意思は必ず継いでやる!」


 零夜は笑顔で拳を突き出し、蓮太郎の意思を継ぐ事を宣言する。


「クロエ、ユンリン。君達は俺の分まで生きてくれ。それが俺の願いだ!」

「うん!ヒューゴ達のチームに入るけど、必ず頑張るから!」

「あなたの事は絶対に忘れない!」


 クロエとユンリンは涙を流しながら、蓮太郎に向けて手を振り続ける。


「俺は幸せだった。魂となっても、こんなにも多くの味方がいてくれた……それだけでも幸せだよ……」


 蓮太郎の魂は光の粒となり、そのままステージの天上へと舞い上がって消えてしまった。


(じゃあな、蓮太郎……お前が大切にしているラリウスとこの地球を守る為にも……必ずアークスレイヤーを倒してみせる!絶対にだ!)


 零夜は蓮太郎との別れを惜しみつつ、新たな決断を固めながらステージの天井をを見上げた。


「行きましょう。元の場所へ」


 ラビリンの合図に皆が頷き、姿を現した魔法陣によってその場から元の場所である浅草神社へと転移したのだった。

ヒカリとカンナの戦いは決着を着けられ、蓮太郎は天国へ行ってしまいました。


次回で第3章も終わりを告げます!


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