訓練の幕開け
今回から訓練回です!
レンタロー改め蓮太郎からの告白に、零夜達は驚きを隠せずにいる中、トラマツが彼に質問する。
「蓮太郎だったな。確かにお前は死んだ筈だが、なんで幽霊となってここにいるんだ?」
「俺もよく分かりません。ですが、死んだ時に幽霊となっていたので、恐らくまだ成仏できていないみたいです。他の皆は既に天国に向かわれましたが……」
蓮太郎が真剣な表情で推測する中、クロエがある事を思い付く。
「分かったわ!どうやら私達が心配で成仏できていなかったのね。まあ、あなたが死んでから不安な気持ちもあったけど、私達は大丈夫だから!」
「やっぱりクロエには敵わないな」
クロエからの指摘に蓮太郎は苦笑いをしてしまう。
「あともう一つはパラースとの戦いでサポートする事です。明日から訓練をしますが、俺も人魂形態でサポートします!」
「人魂って……できるのか?」
「見てください!はっ!」
蓮太郎は魔術で姿を変え、人魂形態に変化した。
「凄い!変身できるのね!」
蓮太郎が変身した姿に、ユンリンは手を叩きながら褒めている。
「これで準備万端です。訓練やパラースとの戦いではこの状態でサポートしますし、いざという時は俺の武器も使ってください。きっと何かの役に立ちます」
「もしかして、蓮太郎が持っていた聖剣の事?」
倫子は蓮太郎の聖剣であるグラムを手に持ち、彼に見せる。
「ええ。その通りです。それを零夜さんに使わせてもらおうかと」
「俺が引き継ぐという事か。けど、俺の武器は忍者刀だからな……村雨と天叢雲剣だけど」
蓮太郎の武器を引き継ぐ事になった零夜は納得するが、自身の武器と彼の武器が合うかどうかに不安を感じてしまう。
「それなら鍛冶屋で合成しましょう!村雨とグラムならイケると思います!」
「村雨とグラムか……分かった、明日やってみるか!」
蓮太郎からのアドバイスに零夜は合成する事を決断した直後、和菓子がいつの間にか減っている事に気付く。
「あれ?和菓子が……あ」
なんとミミ達が和菓子を次々と食べていて、特に笹団子は少なくなっていた。
「おい!俺の分も残してくれよ!」
(大変だな……)
零夜は慌てながら笹団子を食べ始め、この光景に蓮太郎は苦笑いしていた。
「それよりも蓮太郎。パラースとの戦いではチート能力を封じられたそうだが、パラースには何か能力があるのか?」
「ええ。奴は相手の能力を封印してしまうオールキャルセルという技があります。それによって俺の能力も封じられ、この戦いは負けてしまいました。」
「オールキャンセルか……何れにしても、パラースは侮れないという事だな。この戦い、今までよりは簡単にいかないかもな……」
零夜は真剣な表情をしながら、笹団子を頬張った。
※
ゴッドエデンではホープガイアが滅亡した事で話題となり、担当神であるオーディンがカーンの前に片膝を床に着けていた。
「オーディン。お前の所はパラースによって殆どがやられてしまい、勇者レンタローは殺された。生き残ったのはクロエとユンリンだけみたいだな」
「パラースを甘く見ていたのは私の方です。責任は取る覚悟と決めています」
「そうか……」
オーディンの覚悟にカーンは頷き、すぐに彼を指差す。
「オーディン。お前はこの選ばれし戦士達の争いから辞退してもらおう。メンバーが多くやられては、話にもならない。クロエとユンリンに関してはアフロディアが引き取る事になるが、異論は無いな?」
「ありません」
オーディンは一礼した後、回れ右してその場から立ち去った。
(アークスレイヤーも強い奴がいるという事か……どうやらこれは策を考えなければならないな……)
オーディンが真剣な表情で考える中、一人の女性が姿を現す。
「カーン様。ここはうちにお任せを」
「貴殿か。では、頼むぞ!」
「御意!」
女性は両手を合わせて一礼した後、その場から転移した。
※
それから翌日、ホムラの修練場では零夜達とヒューゴ達が相対していた。因みにクロエとユンリンはヒューゴ側となっている。
「そろそろ二人が来る筈だが……」
「あっ、もしかしてあれじゃない?」
ヒューゴが時計を確認する中、倫子が西の方角にあるゲートを指差す。そこに入ってきたのは屈強でバイキング姿のドワーフと、狩人のエルフだった。
「あっ!あなたフリードじゃない!」
アミリスがエルフの方を指差しながら叫び、彼も彼女に気付く。
「久し振りだな、アミリス。ベルセルクの復活については駆け付けなくてすまなかったが、まさかお前とその仲間で倒したのは見事だったな」
「大した事ないけどね」
フリードの褒め言葉にアミリスが苦笑いする中、この状況を見たヒカリが彼女に質問する。
「知り合いなの?」
「ええ。彼はフリード。同じエルフの森の出身者なの!」
「俺の名はフリード。流離いの狩人だ。宜しくな」
「こちらこそ」
フリードの自己紹介にヒカリは笑顔で一礼する。
「ほう。フリードはエルフの嬢ちゃんと知い合か。良か仲間を持ったな。」
フリードの横にいるドワーフの男は、この光景を見ながらウンウンと頷いていた。
「あなたは?」
「おいはドワーフのガンテツでごわす。宜しくな若者達よ」
「こちらこそお願いします」
ガンテツは薩摩弁で喋りながら自己紹介し、零夜達も一礼する。
「さて、メンバーも揃ったし、ルールについては知っているかい?」
「トラマツから話は聞いた。何時でもできている」
「分かった。クロエ、パラースと戦った時のエリアにしてくれないか?」
「任せて!」
クロエはウインドウを開いてバトルオブスレイヤーのステージを構築し始める。
「あった。闇のエリアね」
クロエが闇のエリアを選択した途端、零夜達の前に虹色の箱が姿を現す。しかもその箱からは光を帯びていた。
「バトルオブスレイヤーではこの箱の中に入ってゲームを行うからね。さっ、行くわよ!」
クロエが箱に手を触れた途端、魔法陣が展開したと同時に彼等はその場から転移した。
※
零夜達は転移されたと同時に辺りを見回すと、ここは闇の世界となっていた。
このステージはお化けやゴーストは勿論、蝙蝠、お墓、紫色の煙も蔓延していた。
「ここが……バトルオブスレイヤーのステージか……」
零夜は地面に手を当てながら感触を確かめているが、逆に倫子達はガタガタと震えていた。
「なんか……お化けとか出そうじゃない……?」
「こういうのは怖いかも……」
「私、お化け苦手なのに……」
倫子達が震え上がる中、エヴァ、ソニア、アミリスは平然としていた。
「私は別に大丈夫だけど……」
「お化けなんてへっちゃらだからな」
「何時もの事だからね」
エヴァ達が普通に話す中、ウインドウが姿を現し、ヒューゴが画面に映る。
『お化けを怖がっている人もいるが、ルールを改めて説明する。試合形式は7対7。戦士達はそれぞれの能力や武器などを使って戦い、相手陣地のフラッグを取るか全滅させれば試合終了。やられてしまった戦士は敗者ゾーンへと強制転移させられるから、命の危険性が無いゲームだ』
「時間については?」
『時間は無制限。ただし、不正行為やルール違反をした者がいれば、そのチームは反則負けとなる。じゃあ、始めるぞ!』
ヒューゴの合図と同時にウインドウの画面が変わり、カウントダウンが始まる。
「陣地の守りに関してはミミ姉、ヒカリさん、アミリスさんがやってくれ。俺、エヴァ、ソニア、倫子さんは攻めに向かう!」
「「「了解!」」」
零夜の指示にミミ達が一斉に応え、観客席にはトラマツ、ノースマン、アカヤマ、サンペイがいた。
「いよいよ始まるな……」
「ああ……」
「さて、お手並み拝見だな」
ブザーが鳴ったと同時に戦いが始まり、戦士達が動き始める。
「さあ、始まりました!ブレイブペガサスとヒューゴ達の練習試合!」
「「「おわっ!」」」
なんと観客席にウサギの獣人女性が姿を現し、トラマツ達は突然驚いてしまう。
「なんだお前は!?」
「私は実況のラビリン!バトルオブスレイヤーの実況担当をしています!練習試合でもガンガン実況しますので宜しくお願いします!」
「「「よ、宜しく……」」」
ラビリンの自己紹介にトラマツ達が苦笑いする中、ブレイブペガサスサイドは零夜とエヴァ、倫子、ソニアの三手に分かれて挟み撃ちで攻めに向かっていた。
「おお!挟み撃ちで向かうのか!これは考えたな」
「はさみ撃ちか……だが、その作戦はどうかな?」
トラマツがこの作戦に称賛する中、アカヤマがニヤリと笑う。
するとステージ上空から矢の雨が降り注ぎ、零夜はエヴァを抱き上げて跳躍して回避する。
「この攻撃は……フリードか!」
零夜が攻撃の正体を見破ったその時、フリードが弓矢を構えながら姿を現していた。
「流石は忍者。その判断力は見事だな」
「フリード!まさかお前が攻めてくるとは驚いたな」
「こう見えても攻める攻撃は得意なのでね。パラース達程上手くはないけどな!」
フリードが次々と弓矢を放ち、零夜はエヴァを抱えたまま次々と回避する。
「今だ、エヴァ!」
「任せて!」
エヴァが零夜から離れたと同時に、素早い動きでフリードに襲い掛かる。
「何!?」
「紅蓮螺旋拳!」
紅のオーラを纏った螺旋の拳がフリードに襲い掛かるが、彼の前にガンテツが姿を現し、シールドで防御してしまう。
「ガンテツ!」
「ほう!中々やるじゃねか!けどな、おい達はここでくたばる理由にはいかんでごわす!」
ガンテツは斧にオーラを込め始め、エヴァに向けて切り裂く態勢に入る。
「アックススラッシュ!」
「チッ!」
ガンテツの斧の斬撃がエヴァに襲い掛かるが、彼女はバックステップで間一髪回避に成功した。
しかし、彼女のチューブトップが切り裂かれ、胸の谷間が見えてしまっている。
(なんて鋭い斬れ味……掠っただけで斬り裂かれるなんて……)
エヴァが冷や汗を流す中、ガンテツが斧を構えながら攻撃を仕掛けていく。
(でも、私だって負けない!)
エヴァは前を向いて跳躍し、そのまま左手にオーラで構成された光弾を放とうとする。
「神風波動弾!」
そのままオーバースローで放たれた光弾は、スピードを上げてガンテツの方へと向かっていた。
「シールドガード!」
ガンテツが盾を構えて防御の態勢を取り、盾が大きくなってガード範囲が広くなった。
「いくらガードが広くても、この波動弾は一味違うから!」
エヴァがニヤリと宣言した直後、光弾が盾に直撃した途端、光り出したと同時に辺り一面の大爆発を起こしてしまう。
「やったのか!?」
零夜とエヴァが爆発の方を見ると、爆発の跡地にはフリードとガンテツが倒れているのが見えた。
「まさか爆発にやられるとは驚いたな……」
「そうじゃな。爆発ん波動弾、実に見事でごわす!」
フリードは苦笑い、ガンテツはガハハと笑いながら、その場から敗者ゾーンへと転移させられた。
『フリード、ガンテツ、エヴァの爆発波動弾によって失格!これでヒューゴチームは5人になりました!』
「エヴァ、凄いじゃないか!爆発の波動弾を放つとは!」
「ええ。零夜が頑張っているのを見て私も負けられないと感じたからね。初めてだったけど、成功して良かった!」
ラビリンのアナウンスが響き渡る中、零夜はエヴァの必殺技を褒めていて、彼女は拳を握り締めながら笑顔で応える。
「残るは5人だけど、油断はならない。すぐに向かうぞ!」
「ええ!」
零夜とエヴァは素早く駆け出し、敵陣へと向かい始めた。
※
「エヴァちゃん、やるわね」
倫子はラビリンのアナウンスを聞いて感心しつつ、バルクの攻撃を回避していく。
「このまま……ウルフストライク!」
バルクがスピードを上げて倫子に襲い掛かるが、彼女は跳躍して回避し、地面に着地したと同時に彼に向かって駆け出す。
「フレイムストライク!」
「がっ!」
強烈なダッシュハイキックがバルクの顔面に激突し、彼は仰向けに倒れてしまう。
「やはり倫子さんは強すぎるっす……」
バルクが苦笑いした直後、彼はそのまま敗者ゾーンへと転移されてしまう。
『バルク、倫子のフレイムハイキックによって失格!ヒューゴチーム残るは後四人!」
「よし!急がないと!」
倫子も急いで駆け出し、敵陣地へと向かい出した。
※
「3人も減らす事に成功するとはな。まあ、こうなるとは分かっていたけど」
ソニアは空を飛びながら現状況を確認し、敵陣の方を確認する。
「ヒューゴ、クロエ、紬、ユンリンか。さて、アタイも本気を出しますか!」
ソニアが翼を広げて襲い掛かろうとしたその時、ユンリンが空を飛んで立ち向かってくる。
「そうはさせないから!」
「チッ、ユンリンか!」
ソニアとユンリンは空中戦を展開した直後、ユンリンは銀の延べ棒を錬金し、大きなハンマーへと変化させる。
「ハンマーに変化した!?」
「私は錬金術師だからね!アイアンストライク!」
「ぐはっ!」
ソニアが驚いた直後、ユンリンがハンマーを振り下ろし、強烈な一撃を彼女の頭に直撃する。
その一撃はとても強く、ソニアは勢い余って地面に墜落してしまい、そのまま敗者ゾーンへと転移させられた。
『ソニア、ユンリンのアイアンストライクによって失格!ブレイブペガサス残り6人!』
「ソニアが脱落した!」
「これが……勇者レンタロー一味の実力……」
ラビリンのアナウンスに零夜とエヴァが驚く中、彼等は敵陣の前に着地するユンリンに視線を移す。
「勇者一味を甘く見ないで。やるからには容赦しないから!」
「当然!やるからにはとことん付き合ってもらうぜ!」
「望む所よ!」
すると零夜達の元に倫子も駆けつけてきた。
「ウチも手伝う!」
「3対1じゃキツイわね……」
ユンリンが冷や汗を流す中、ヒューゴと紬が駆け付ける。
「助太刀する!」
「私も手伝います!」
「助かるわ!さあ、始めるわよ!」
ユンリンの宣言と同時に戦いが始まりを告げ、この様子を蓮太郎が上空から見ていた。
「恐らくこの戦いは激しさを増すけど、これも強くなる為の試練。零夜さん、最後まで諦めないでください」
ヒューゴ達と戦う零夜の姿に、蓮太郎は彼にエールを送ったのだった。
戦いが始まりましたが、果たしてどうなるのかに注目です!




