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Sevens Heroes〜選ばれし7人の戦士達〜  作者: 蒼月丸
第二章 受け継がれる勇者の意思
20/32

パラースからの宣戦布告

殺されてしまった勇者レンタロー。更に新たな展開が起こります!

(あれが勇者レンタローの武器……遺体も無いという事は殺されていたのか……)


 零夜は殺されたレンタローの武器を見て、心の中で冷静に判断しながらパラースに視線を移す。


「さあ、クロエ、ユンリン。お前達は奴隷としてこちらに来い」

「嫌!」

「行かないから!」


 クロエとユンリンはお互い抱き合いながら嫌がり、エヴァが彼女達を守る様に抱き締める。


「おい。人が嫌がる事を平然と仕出かすとは良いご身分だな」

「なんだ?俺に逆らうのか?」


 パラースが零夜に近付いたその時、零夜のパンチが彼の右頬を強烈に殴り飛ばす。


「ガハッ……」


 パラースは二、三回転しながら地面を転がり、木に激突して失神してしまった。


「ぱ、パラース様が失神した……」

「貴様、よくも!」


 兵士達が怒りで銃を構えるが、零夜は手裏剣を投げ飛ばして次々と兵士達を倒してしまい、彼等はお金と武器になってしまった。


「まだやる気か?」

「ひっ!ここは逃げるぞ!」


 零夜の怒りの睨みに残りの兵士達は怯えてしまい、パラースを背負いながら撤退してしまった。


「これでよし。もう大丈夫だ」

「助けてくれてありがとう」

「気にするな。それよりも彼等の遺体を探そう」


 零夜の提案に全員が頷き、レンタロー達の武器を回収してそのまま彼等の遺体を探しに向かい出した。



 森の外れに着いた零夜達は、爆発の跡地を見つける。そこは何もなく、塵一つ残っていなかった。


「完全に遺体は消滅しているな」

「すぐにお墓を建てるわよ」


 アミリスの合図に全員が頷き、彼女は魔術でお墓を建てる。


「黙祷」


 ノースマンの合図で全員が黙祷を捧げ、クロエとユンリンは涙を流していた。


「一先ずギルドに戻ろう。レンタローが殺された気持ちは分かるが、どうするかはこれからだ」

「そうね。ホムラにあるギルドに報告しておかないと。武器については私達が持ちましょう」


 ソニアの提案にミミも頷き、彼女達はホムラへと戻り始める。


(さらばだ、勇者レンタロー……)


 零夜はレンタロー達が眠っている墓に視線を移し、すぐに前を向いてソニア達の元へと駆け出した。



「うう……」

「あっ、パラース様が目覚められたぞ!」


 その頃、パラースがようやく目を覚まし、部下の数が少ない事に気付く。


「部下の数が少ないが……」

「あの忍者によってやられてしまいました!それにクロエとユンリンも彼等によって奪われました!」

「おのれ、あの忍者!よくも俺の邪魔をしてくれたな!」


 パラースは部下からの報告を聞き、怒りで震えながら拳を震わせる。


「いかが致しますか?」

「奴とはいずれ決着を着けなくてはならない。宣戦布告するぞ!」

「つまり奴等との決戦ですね」

「その通りだ!やるからには容赦なくやるぞ!」

「「「はっ!」」」


 パラースの指示に兵士達は一斉に敬礼しながら応えた。



「ええっ!?レンタローさん達が亡くなられた!?」


 ホムラのギルドに戻った零夜達からの報告に、受付嬢だけでなく、その場にいる全員が驚きを隠せずにいた。


「ああ。パラースによって殺されてしまった……残ったのはクロエとユンリンの二人だけだ」

「そうですか……こうなるとアークスレイヤーも黙ってはいられませんし、ラリウスは大波乱の展開となるでしょう」

「勇者の死となると、ラリウス全体に広まって大変な事になる。だが、あのパラースという男は相当手強いと言えるだろう」


 ノースマンが真剣な表情で推測する中、ねじり鉢巻で赤褌の男がギルド内に入ってきた。


「てぇへんだ、てぇへんだ!緊急事態でーい!」

「おお、光速のタメキチ!もしかして勇者レンタローが亡くなった事だろ?」

「その様子だと知っていやがるな。それだけじゃない!パラースの奴等がホムラへと向かって来るぞ!」

「「「ええっ!?」」」


 タメキチからの報告にその場にいる全員が再び驚きを隠せず、零夜達はすぐに推測する。


「恐らく俺達がパラースの邪魔をしたから、奴は怒りで乗り込みに来ただろう」

「だとしたら……戦うしか無いみたいね」

「何れにしてもそうするしかないな!」

「オイラも行くよ!」


 零夜達はギルドから飛び出し、パラース達の元へと駆け出す。クロエ、ユンリンも後を追いかけた。


「あいつ等に遅れを取るな!急ぐぞ!」

「結局こうなるのね……」

「アカヤマは相変わらずっすね。けど、エヴァさん達は行動力早いっすね」

「悔しいけど、それが彼等の強いところだからね」


 アカヤマ達も零夜達に後れを取るまいと、急いで追いかけ始めた。



 ホムラの入口に辿り着いた零夜達は、パラース達がいるか確認する。


「今のところはまだ来ていない!」

「分かったわ。けど……あっ!」


 ノースマンの報告に倫子が不安に感じたその時、パラース達が歩きながら姿を現した。


「パラース……性懲りも無くクロエとユンリンを攫いに来たのか!」

「誰が何と言おうとも、渡さないから!」


 零夜達はパラースを睨みながら戦闘態勢に入る中、彼も武器を構える。


「元はと言えばお前等がやらかした事だ。なら……レンタロー達を殺したあの爆発で終わらせてやる!」


 パラースが魔法陣を展開して魔術を唱えようとしたその時、エヴァがパラースの顔面を殴り飛ばして彼を地面に叩きつけた。


「これ以上はやらせない!それにこの爆発は最大奥義みたいだけど、私達には効果が無いからね」

「なんだと!?」


 エヴァからの説明にパラースが驚く中、ヒューゴ達が駆け付けて加勢する。


「これ以上ホムラを滅ぼすなら、容赦はしない!」

「ヒューゴ、来てくれたのか!」

「アカヤマが黙ってなかったからね。ここからは俺達も参加する!」


 ヒューゴは剣先をパラースに向け、紬達も戦闘態勢に入る。


「多勢に無勢だな……だが、俺達は宣戦布告に来たからな」

「宣戦布告?」

「そうだ。お前等7人に対して、バトルオブスレイヤーで戦う事だ!」


 パラースは零夜達に宣戦布告し、それを聞いた彼は前に出る。


「バトルオブスレイヤーについては初めてとなるが……宣戦布告した以上は受けるのみだ」


 零夜の承諾を皮切りにミミ達も後に続く。


「そうね。あいつの思い通りにはさせない!」

「アンタ等に覚悟があるんやったら、こっちも黙ってられへんで」

「クロエとユンリンは絶対に渡さない!」

「あなたのやり方は許されない……絶対に倒すわ!」

「ラリウスは絶対に守り切ってみせる!」

「アタイもこの件については黙ってられないからな!終わらせてやるよ!」


 ミミ達の決意にトラマツ達も頷き、パラースの方を向く。


「僕達も同じ気持ちだ。この勝負は受けるからな」

「戦う覚悟は既にできているからな」

「オイラもやる時はやるんだよ!」


 零夜達の承諾にパラースはコクリと頷く。


「分かった。勝負は1週間後だ。それに……零夜には殴られた事だけじゃなく、神室様に傷を負わせた罪を償ってやるからな!」


 パラースは零夜達に宣言した後、そのまま回れ右して去ってしまった。


「御免なさい、私達の為にここまでするなんて……」


 ユンリンが済まなさそうな表情で零夜達に謝罪するが、彼は優しく彼女の頭に手を置く。


「大丈夫だ。奴等の思い通りにはさせない。俺達が仇を取るから心配するな!」

「零夜……うん!」


 零夜の笑顔にユンリンも頷く中、ヒューゴが彼の肩に手を置く。


「俺達もこの件については協力するよ。バトルオブスレイヤーについては何回も経験した」

「ヒューゴは経験した事があるのか?」


 ヒューゴも協力する事になるが、彼がバトルオブスレイヤーを経験した事に零夜は質問をする。


「ああ。一人前の剣士になる前に何度も参加したからね。練習には参加したいけど、後四人足りないからな……」


 ヒューゴがため息をつく中、アカヤマが彼に近づく。


「メンバーについてだが……実は先程二人見つけた。明日ぐらいにホムラに着くそうだ」

「本当なのか!?となると、残りは後二人か……」


 ヒューゴが考え始めたその時、ユンリンとクロエが彼に近づく。


「私も協力するわ!零夜達にレンタロー達の仇を取らせる為にも!」

「私も覚悟はできているから!」

「じゃあ、宜しく頼む」

「「了解!」」


 ユンリンとクロエも協力する事になり、ヒューゴは勿論承諾する。


「メンバーについては揃ったけど、ユンリンとクロエは選ばれし戦士達じゃないけどね……」

「けど、人数が揃っただけでもいいと思うっす!」


 この光景に紬は苦笑いしていて、バルクはうんうんと頷く。


「だな。これで零夜達を鍛えられる事が可能だ。明日から大変になるけど、全力でサポートする」

「ああ。何から何まで済まないな」

「気にするな。しかし、問題はパラースだ。勇者レンタローを倒した実力が本物なら、今までよりは手強くなる。その事を肝に銘じた方が良い」


 ヒューゴは零夜達に忠告し、彼等は勿論頷いた。


「そうだな。それにあいつは神室の部下である以上、油断はならない。やるなら本気で立ち向かわないと!」

「神室?トップセブンの神室とは知り合いなのか?」


 零夜が意気込みを入れる中、ヒューゴが彼と神室が知り合いだという事に疑問に感じる。


「奴とは小学生の頃に因縁があった。あの時は俺が勝利したが、神室は俺を倒そうと復讐心を持っている。だからこそ、俺はここで負けられないのさ」

「なるほど。負けられない理由か……それだけで十分さ」

「分かった。じゃあ、また明日」


 ヒューゴは零夜達と別れた後、夕暮れの空を見上げる。


(零夜はトップセブンの中にいる因縁の相手がいる以上、負けられない気持ちが強くある……それに比べて……俺は何をやっているのだろうか……)


 ヒューゴが心の中で自分の不甲斐なさを感じている中、紬が彼に近付く。


「大丈夫ですよ。ヒューゴさんは自分らしく生きるのが大事です。私達が付いていますから」

「紬……」


 更にバルクとアカヤマもヒューゴの元に移動する。


「そうっすよ。俺達もサポートするっす!」

「トラマツには負けられないからな。何が何でもやってやろうぜ!」

「……そうだな。俺らしくないし、自分なりに頑張らないとな。俺達も宿に戻るとするか!」


 ヒューゴは笑顔で仲間に呼びかけ、紬達は頷いたと同時に宿に戻り始めた。



 その夜、零夜は自室で本を読んでいる中、ノックの音が聞こえる。


「どうぞ」


 零夜が合図を出すと、ミミが部屋に入ってきた。


「読書の邪魔してごめんね。あの神室という男が気になったから」

「ああ。あいつか……パラースにもその事を教えていたし、俺を倒そうと意気込んでいるからな……パラースは神室の忠誠な部下である事は間違いないからな」


 ミミの話に零夜は真剣な表情をしていて、パラースについて考える。


「そうね。クロエとユンリンについては倫子さんとヒカリさんが落ち着かせているわ。スキンシップで慰めているけど」

「そうか……レンタローが死んだ事はラリウス全体に広まっているし、パニックになる者や落ち込んだりする人もいる。改めてみるとレンタローはそれ程人望があったのか……」


 零夜がため息をつく中、再びノックの音が聞こえる。


「入って良いかしら?」

「クロエだな。もう大丈夫か?」

「ええ。お陰様で」

「どうぞ」


 扉が開き、クロエだけでなく、ユンリン、倫子達、サンペイまでも入ってくる。


「全員集合だな。お茶用意しないと」


 零夜は素早くお茶を用意し、更に和菓子を置く。


「用意良いわね。和菓子は……八ツ橋、こし餡饅頭、柏餅、笹団子!折角だから食べましょう」

「「「いただきます!」」」


 ミミ達が和菓子を堪能する中、零夜は柏餅を手に取って食べ始める。


「さっきレンタローの話をしていたけど、人望があると言っていたんだ。何か彼について知っている事があるのか?」

「ええ。レンタローは異世界に来た時はチート能力を持っていた。それは様々な武器を扱う事よ」

「様々な武器……じゃあ、剣や弓矢、銃などを使っていたのか?」


 クロエの話にトラマツが質問し、彼女はコクリと頷く。


「ええ。彼はこのチートを駆使して私達を助けていた。彼は弱き人々を助け、悪を倒す精神を持っているし、そのお陰で今の彼がいたからね」

「うん。私もレンタローと出会ってなかったらどうなっていたのか分からなかったよ……」


 クロエの話にユンリンも頷きながら思いを馳せる。


「あとはバトルオブスレイヤーの戦いだけど……あの敗因は何だったの?」

「それは……」


 倫子の質問にクロエが考え始めたその時だった。



「チート能力を封じられてしまった事さ」

「そう。それそれ……ん!?」



 何処からかした声に全員が辺りを見回した途端、一人の男の幽霊が姿を現した。


「「「きゃあああああ!!」」」


 倫子、ヒカリ、ミミの3人は驚いてガタガタと抱き合いながら震え上がるが、クロエとユンリンは驚きを隠せずにいた。


「れ、レンタロー!?」

「死んだ筈なのに……幽霊となっていたなんて……」

「へ!?あの幽霊がレンタローなのか!?」


 クロエとユンリンは一目で幽霊の正体を察し、零夜達は驚きを隠せず、倫子達は震えるのを止めて恐る恐る幽霊に視線を移す。


「ええ。驚かせてすみません。俺はレンタローと呼ばれていますが、本当の名前は福原蓮太郎という男子高校生です!」

「「「ええええええっ!?」」」


 レンタローは自らの正体を明かし、クロエとユンリン以外の皆は一斉に驚いてしまったのだった。

パラースとの戦いに向かう事になった零夜達。更にレンタローは幽霊となって彼等の元に姿を現し、自らの正体を伝えました。


次回は本格的な訓練に入ります!

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