技の伝授と俺達のチーム名
今回はエムールからの試練です!
「まさかリリィ様によってこの世界に来るとは予想外やったわ」
「そういう倫子もこの世界に来るとは驚いたわ。ここで再会したのも何かの縁かもね」
その夜、エルフの森にある食堂では、倫子と瑠璃香がお酒を飲みながら話をしていて、零夜達はその様子に苦笑いしていた。
「まさかこの様な展開になるとは驚いたけど……」
「意外な事もある物ね……」
「う、うん……」
すると零夜達の元にエミリーが駆け寄ってきた。
「あの、ロリアンさんの孫娘であるエヴァさんですか?」
「そうだけど……」
「私、ミンミンの孫娘であるエミリーです!お祖母ちゃんから話は伺っています!」
「えっ!?ミンミンの孫娘!?」
エミリーの自己紹介にエヴァだけでなく、零夜達も驚きを隠せずにいた。
「はい。お祖母ちゃんは既に亡くなっていますが、私に様々な技や治療術を教えてもらいました。今では魔術格闘家として頑張っています!」
「そうなの。まさかお祖母ちゃんから受け継いだ者がここにいるなんて。なんだか気が合いそうね」
「はい!」
エヴァとエミリーが微笑む中、零夜達はこの状況を見て複雑な思いを感じていた。
「いずれトーナメントでは戦う事になるかも知れないな……こうなるとそう簡単には通してくれないだろう」
「ああ。零夜は自信はあるのか?」
「分からない。だが、ここで止まる事はできないからな。俺達はアークスレイヤーを倒す使命を果たさなければならないし」
「零夜君ならそう言うと思ったわ」
零夜の決意にヒカリが苦笑いする中、モニカが彼の後から背中に飛びついてきた。
「おわっ!?モニカ!?」
「まあまあ。固い事は無しにして、どんどん食べようよ!」
「お、おう……」
「ちょっと!それは私の役目だから!」
モニカの笑顔に零夜が苦笑いする中、ミミが頬を膨らまして彼女を彼から引き剥がそうとする。
「相変わらずみたいね」
「まあ、こんな事も悪くないんじゃないのか?」
「私もそう思うかな……」
この光景にヒカリ、ソニア、アミリスは苦笑いをするしか無かった。
「ライバルが増えたのにも関わらず、毎回この有り様だな……」
トラマツは今の状況にため息を付いていて、ノースマンも唖然としていた。
「あいつ等らしくて良いじゃないかと思うぜ。それに向こうさんもフレンドリーだし、ライバルである事は分かっているからさ」
「別にいいけど……」
ため息を付くトラマツと苦笑いするノースマンの元に、妖精であるアンが駆け寄ってきた。
「お前はリリィ様の使いである妖精のアン!」
「久しぶりね、二人共!まさかあなた達のチームが揃うなんて驚いたわ」
「偶然もあったが、無事に揃う事ができた。けど、ベルセルクを倒さないと課題には進めないからな」
「なるほどね。私達もヒューラーを倒す必要があるわ。お互い頑張りましょう!」
「ああ!」
トラマツとアンは拳を打ち合わせてお互い頑張る事を誓い、ノースマンも頷いていた。
※
それから翌日、零夜達はエムールから技を受ける事になり、彼がその技の説明を始める。
「良いか?今回伝授する技は7人でしかできない合体技であるセブンス・スレイヤーじゃ。その技を上手く活用できるかはお主等次第となる」
「なるほど。となると、連携がカギとなりますね」
「そうじゃ。一人が打ち上げたと同時に5人が次々と一人ずつダメージを与え、最後の一人が真っ二つに切り裂くという技。では、早速始めるぞ!」
エムールはモンスターを召喚し、零夜達はどうするか話し合う。
「エヴァが上空に打ち上げ、アミリス、ヒカリさん、ソニア、倫子さん、ミミ姉がダメージを与え、そして俺が真っ二つに切り裂く!」
「OK!」
「ここは私に任せて!」
エヴァはモンスターをそのまま軽々と担ぎ、上空へと投げ飛ばす。
「凄い怪力!」
「今がチャンス!連続射撃!」
アミリスはジャンプしたと同時に上空にいるモンスターに弓矢を解き放ち、ダメージを与える。
「私も行くわ!スラッシュブレイド!」
ヒカリもジャンプして強烈な斬撃をモンスターに炸裂させ、ソニアも背中の翼を広げて追い打ちを掛ける。
「ドラゴンスラッシャー!」
ソニアは空を飛びながらカタールの斬撃を繰り出し、倫子も空高くジャンプして自身の足に炎を纏い始める。
「フレイムストライク!」
強烈な炎の蹴りがモンスターに直撃したその時、ミミもジャンプしながらリングブレードに力を込める。
「ウィンドブレード!」
風の斬撃が見事決まった直後、零夜が忍者刀を構えながら跳躍し、刀にオーラを込めて振り下ろし始める。
「快刀乱麻!」
そのままモンスターを一刀両断し、零夜は地面に着地。同時にモンスターも消えてしまった。
「今のはスピードが遅かったな。もう少し速度を早めるぞ!」
「「「おう!」」」
「エムール様、もう一度お願いします!」
「うむ!」
エムールは再びモンスターを召喚し、零夜達は再び連携の練習を始める。
「なるほど……こりゃもしかすると……1日足らずで完璧にマスターできるかも知れんのう……」
エムールはこの光景を見ながら感心していて、遠くのベランダでは瑠璃香、エミリー、モニカ、アンが見ていた。
「彼等は強くなっていく。私達も負けられないわ」
「けど、こちらはメンバーがまだ……」
エミリーが言い切ろうとしたその時、瑠璃香のスマホに通信が入る。
「はい。瑠璃香だけど……えっ!?メンバーが見つかった!?分かったわ。ここで待っているから!」
瑠璃香はすぐに通信を切って、エミリーとモニカの方を向く。
「今、親友の睦美から連絡があったわ。ローザと共に仲間を探したところ、二人見つける事ができたって!」
「本当ですか!?」
瑠璃香の報告にエミリーとアンは笑みを浮かべ、モニカは安堵のため息をつく。
「良かった〜!長くなるかと思ったけど、こっちも揃ったみたいだね」
「ええ。これでリリィ様に安心して報告ができるわ!」
「後は合流したら技も覚えないといけないけど、私達はヒューラーを倒す必要があるわ。その為にもメンバーが揃い次第、すぐにアジトに向かうわよ!」
瑠璃香の宣言にエミリー、アン、モニカが頷いたその時、零夜が跳躍してすぐに忍者刀を振り下ろす。
「快刀乱麻!」
モンスターを一刀両断して着地し、この様子に瑠璃香達は驚いてしまう。
「凄い……!」
「見事な連携……!」
零夜が刀を収めたその時、エムールがコクリと頷く。
「まさかここまで成功するとは見事じゃな。僅か1日……いや、1時間で取得するとは……今までなら二日以上は掛かっておったぞ」
「そ、そんなにも掛かっていたの!?」
エムールの説明にアミリス達は驚きを隠せず、彼はコクリと頷く。
「この技は仲間との絆、攻撃の威力、そして素早さの3つが揃わなければできない。しかし、お主達は全て取得してこの技を覚える事ができた。この技があればベルセルクも倒す事は可能じゃよ」
「貴重な技を教えて貰ってありがとうございます!この技を駆使して必ずベルセルクを倒します!」
「頼んだぞ、選ばれし7人よ。しかし……今後も同じ戦士達が出てくる可能性もあり得るからのう……ここはチーム名を作成して考えてみたらどうじゃ?」
エムールの提案を聞いた零夜達は、お互い顔を見合わせて冷や汗を流してしまう。
「言われてみれば……考えた事なかったな……」
「チーム結成時から名前なんてすっぽかしていたからね……」
「けど、いい機会だからチーム名を考えるのも良いかもな。折角だから考えておこうぜ!」
「じゃあ、私の部屋に移動しましょう」
アミリスは零夜達を連れて自身の部屋に移動し、それと入れ替わりに瑠璃香達がエムールに近付いてきた。
「私達も技の伝授をお願いします」
「ヒューラーを倒す技じゃな。しかし、お主等は7人揃っていないみたいじゃが……」
「その事だけど、こちらも7人揃い終える事ができましたので。すぐに駆け付けます!」
「おお!そちらも揃えておったのか!」
「ええ。こっちよ!」
瑠璃香が手を降った途端、木の上から4人の女性達がジャンプしながら姿を現した。
「まずは日高睦美。彼女は元自衛隊で今では私と同じプロレスラーなの!」
「「自衛隊?」」
瑠璃香の説明にエミリーとモニカはキョトンと首を傾げてしまう。
「自衛隊は軍隊と同じだけど、国を守る為に編成された部隊なの。他の国には攻め込まないし、仲間の国の手助けとなる攻撃には参加しないから」
「そうなのですね」
瑠璃香の説明にエミリーとモニカが納得した直後、睦美が彼女に近付く。
「待たせてごめんね。メンバーは集めたから!」
「わざわざありがとう。こっちもメンバーを揃えたから!」
睦美と瑠璃香が微笑む中、アメリカ人の女性が彼女達に近付く。
「ローザもありがとう!手助けしてくれて!」
「ええ。それに初めての方もいるわね」
ローザと呼ばれた女性は、エミリーの頭に手を置いて微笑む。
「私はローザ・シンクレア。瑠璃香とは同じプロレス団体の所属よ」
「ワールドバトルリングの選手ですね。ブルーキャットのエミリーと言います!」
「僕はモニカ!ドワーフ族だよ!」
二人の自己紹介にローザが微笑む中、吸血鬼の少女が姿を現す。その姿は赤いオーバーオール風の服を着ていて、白いボブヘアをしていた。
「あなた達がエミリーとモニカね。可愛さあっていいと思うわ」
「あなたは?」
「私はエリザ。吸血鬼だけど、あなた達の味方よ。そしてもう一人は私の友人」
エリザはダークエルフの女性を指差し、彼女はコクリと一礼をする。
「私はアサシンのユナス。ダークエルフだけど、貴方方の力になるわ」
「ダークエルフ……噂には聞いていたが、里は全滅したのでは?」
ユナスの自己紹介にエムールが反応し、彼の推測に彼女はコクリと頷く。
「ええ。私の故郷はヒューラーによって目茶苦茶にされてしまったわ。多くが殺され、今では散り散りになって何処かに住んでいる。私は彼を討ち取りたい!その為ならどんな困難でも乗り越えてみせる!」
ユナスの強い決意にエムールは納得の表情をする。
「よし!ならば技の伝授じゃ。準備はいいか?」
「「「はい!」」」
エムールの指示に瑠璃香達は返事をし、零夜達と同じ技を受け始めた。
※
その頃、零夜達はチーム名を話し合う中、決まっていたのはこの3つの案となっていた。
・ブレイブペガサス
・アンリミテッドヒーローズ
・マジカルウォリアーズ
「どれも良いが……俺達は勇気あるからこそ、ここまで来れた。そうなるとブレイブペガサスの方がいいと思う」
「零夜の言う通りね。それに私達はまだ見ぬ可能性があるからヒーローズがいいと思うけど……あ、私達はまだヒーローじゃないしね……」
零夜とミミの意見に皆が考え込む中、倫子が手を挙げる。
「私はブレイブペガサスがいいと思う」
「倫子さんはそれでいいのですか?」
「うん。私がここまで来れたのは勇気があったからこそ、ここにいる事ができた。だからこそ、このチームの名前がいいと思う」
倫子の意見にアミリス達も顔を見合わせて頷き合う。
「私も自ら戦う事を決意したのは、勇気があったからこそだし、皆に出会わなかったらどうなるのか分からなかった」
「アタイも皆に出会えたからこそ、勇気を感じる事ができた。ブレイブペガサスがピッタリだと思うぜ!」
「そうね。私もその意見に賛同するわ!」
「勇気さえあれば何でもできるからね」
倫子の意見にヒカリ達も賛同し、零夜とミミは納得の表情をして頷く。
「よし、決定だ!俺達はブレイブペガサスとして行動する。トラマツ、メディア様にチーム名が決まった事を伝えてくれ」
「任せて!」
トラマツがメディアに連絡し、会議が終わった零夜達は背伸びをしたり、肩をもみ合ったりしていた。
「お疲れさん。今からベルセルクを討伐しに向かうのか?」
「ああ。技も取得したし、休んだらすぐに行かないとな。これ以上被害を出さない為にも!」
零夜が腕を回したその時、エムール達が姿を現す。
「どうやらチーム名が決まった様じゃな」
「ええ!こっちも終わったの?」
「うむ。彼女達も技を取得した様じゃ。しかも、お前達と同じくらいで終わらせたぞ」
「ええっ!?瑠璃香達も!?」
エムールからの報告に倫子達が驚きを隠せなかった直後、瑠璃香が彼女達に近付く。
「私達もここで止まる理由には行かないし、どんな困難であろうとも、戦う覚悟は既にできている。トーナメントでも、絶対に負けないから!」
瑠璃香の熱き決意に零夜は頷き、すぐに手を差し出す。
「俺達と同じですね。ですが、戦う事になるのはトーナメントの決勝戦。その時は……全力で立ち向かいます!」
「ええ!」
すると瑠璃香は零夜を思いっきり抱き締め、その光景に皆が驚きを隠せず、倫子は苦笑いしてしまう。
「ああ。いつもこうだから、気にしなくてもいいからね」
「そ、そうなのね……」
((なんだか複雑……))
倫子の説明にヒカリ達は納得するが、ミミとエヴァは心の中で複雑な状況になっていた。
(なんだか前途多難となるのは気の所為なのだろうか……)
零夜に至っては、この状況に先行きと不安を感じるしかなかったのだった。
エムールからの試練を乗り越え、いよいよ戦いが始まります!




