怪物との戦いの記憶(後編)
過去編も後編。果たしてその結末は如何に!?
わし等選ばれし7人であるわし、フリーマン、フリューキン、アルク、ミンミン、ロリアン、カジモクはベルセルクのいるカネモク峠へと向かっているが……何故かモンスター達がガタガタと怯えながらわし等を避けていた。
「なんで、モンスターが怯えているのですか?」
「原因はこいつだ!」
ミンミンの質問にわしはフリーマンを指さしながら説明する。あんなふんどし男がいたら逃げるに決まっているわい!
「フリーマン、その格好を何とかしろ!変態男と認識されるぞ!」
「お断りだ。これが私のスタイルなのでね」
「だからと言ってこれは駄目だろ!」
わしはフリーマンに対してギャーギャー言う中、ロリアンが尻尾を立てて匂いを嗅ぎ取り始める。
「どうした?」
「ベルセルクの匂いがします。油断は禁物です!」
「どうやら近いという事だな。油断するな!」
フリューキンの合図に全員が頷き、わし等は警戒しながら前へと進む。すると……足音が聞こえ始めた。
「来ます!ベルセルクです!」
「ようやくか……全員警戒しろ!」
わしの合図で全員が身構えたその時、ベルセルクが姿を現す。まさに悪魔其の物じゃった。
「グオオオオオ!!」
ベルセルクは咆哮を上げたと同時に、そのままタックルでわし等に襲い掛かってくる。
「来るぞ!」
わしの合図と同時に皆がベルセルクの攻撃を回避した直後、ミンミンが素早く駆け出したと同時に爪を光らせる。
「ここから一気に!キャットクロー!」
ミンミンは素早い爪攻撃でベルセルクの身体を切り裂くが、中々効果はなかった。
「全然効かない!?」
「並の攻撃では効果がない。ならば、わしに任せろ!」
カジモクは斧に力を込め始め、強烈な一振りを放とうとする。
「アックスブレイク!」
強烈な斧の斬撃がベルセルクの爪を見事破壊。1つ目の結合崩壊が成功したのじゃ。
「なら、私もやるとしよう!スパークキャノン!」
フリューキンは雷の弾丸を放ち、ベルセルクの身体に当てて電流を流す。しかし、効果はなくフリューキンは奴のタックルを受けて飛ばされてしまった。
「ぐはっ!」
フリューキンは回転しながら着地し、すぐに前を向く。その口からは血が流れていたのじゃ。
「やはり雷属性は効かないみたいか。弱点は分かるか?」
「うむ!奴は光が苦手じゃ!闇属性である以上、光には弱い!」
「光が弱点なら、ライトストーム!」
フリューキンは光の竜巻を生み出し、そのままベルセルクに突撃させる。奴は竜巻を喰らってそのまま倒れてしまう。
「効いた!今だ!」
フリューキンの合図でわし等は集中攻撃を開始する。多くの攻撃を仕掛ける中、アルクが剣を引き抜いてベルセルクの尻尾を切断したのじゃ。
「よし!切断成功!」
「グオオオオオ!」
するとベルセルクは怒りを活性化させ、そのままアルクを上空に殴り飛ばしてしまった。
「ガハッ……!」
アルクは地面に背中を強打してしまい、そのまま起き上がれなくなってしまうが、ミンミンが駆け付けて治療を開始する。
彼女は治療もできる看護師盗賊として活動していたからのう。
「アルクさんは私が治療します!」
「了解だ!しかし、ベルセルクが活性化するとなるとまずいな……」
わしはベルセルクの怒りの姿を見て冷や汗を流す中、フリーマンが動き出そうとした。
「ここは私が行こう!」
「お前、まさかやる気なのか!?」
「今こそふんどし踊りを披露する時!」
「止めろ!マジで止めろ!お前の踊りが伝説に残ったら赤っ恥だ!頼むから止めてくれ!」
わしが静止しているのも聞かず、フリーマンはついにふんどし踊りを披露した。
「なんて事だ……」
わしは思わず両膝を地面について絶望したその時、フリーマンが何処からか流れる音楽に合わせて踊りまくり、神秘的なオーラを放たれている。
「凄い……」
「これがふんどし踊りの真髄なのか……」
ミンミン達も思わず見惚れてしまい、ベルセルクの能力も弱体化している。見事としか言えないが……ふんどしだけで踊る姿にわしは頭が痛くなった。
「頭痛がしてきた……もう帰る……」
「グオオオオオ!」
「!?」
わしが頭を抑えて帰ろうとしたその時、ベルセルクはあまりの踊りに苦しんで倒れ込み、ジタバタと暴れまくってしまう。
「まさかあの踊りで苦しむなんて……でも、チャンス!」
すかさずロリアンが鉤爪を光らせ、ベルセルクの顔、羽根を次々と引っ掻きながら結合崩壊させる事に成功する。
ラストはわしが弓矢を構え、ベルセルクへと狙いを定めた。
「終わりだ!シャインアロー!」
放たれた弓矢はベルセルクの額に当たり、奴は倒れてそのまま素材と金貨になってしまった。
こうして戦いは終わりを告げられ、誰一人死亡せずに生き残る事ができたのじゃ。
「終わったか……」
「アルクについては大丈夫か?」
カジモクがアルクの方を向くと、彼は治療を終えて普通に立っていた。怪我も完治していてわしは安堵のため息をついた。
「すみません。迷惑を掛けてしまいまして」
「お前が無事ならそれでいい……しかし、ふんどし踊りでまさか弱体化して苦しむとは……」
わしがフリーマンの行動に複雑な気持ちでいた直後、リスマーがテレポートで駆け付けてきたのじゃ。
「おお!ベルセルクを倒す事に成功したか!」
「リスマー!宗明は!?」
「全員捕まえた!更にベルセルクを召喚した魔術師も捕まえる事に成功し、これから事情聴取をするところだ」
「そうか。ん?ラッパの音?」
わし等は突然ラッパのした音を見ると、フリーマンが夕日の方を向いて空を見上げておった。
「ふんどし踊りでベルセルクを倒した以上、この歴史は長く語り継がれるであろう……さらなる飛躍の為に……私は……新たな未来を切り開く……!」
「「止めろ!これ以上は止めろ!お前のふんどし踊りはもう沢山だー!!」」
わし等は慌てながらフリーマンを止めに向かい出した。もうふんどし踊りは勘弁じゃ!二度と見たくないわい!
※
「この話は終わりじゃ……」
エムールの話が終わりを告げたが、零夜達は唖然とするしかなかった。
「全て本当の事ですか?」
「そう。あの時はバカのふんどし踊りがあったから良かったが、奴がいないとなると苦戦するのは確定となる」
(まあ、そうなるのも無理ないよね……)
エムールがフリーマンをバカと呼んでいる事に、アミリスは苦笑いしながら心から思った。
「ベルセルクについては光が弱点と言われておるが、それだけでは勝てない。今、お前達7人の戦士達が揃っている以上、絆の力が勝利へのカギとなる」
「私達の絆の力……」
エムールからの指摘にアミリス達はお互いを見合わせ、零夜は彼に視線を移す。
「相手は手強い敵かも知れません。ですが、俺達はここで止まる理由には行かないのです。アークスレイヤーとザルバッグの野望を終わらせ、俺達の世界の平和を守り切る為にも!」
零夜の強い決意にミミ達も頷き、すぐにエムールに視線を移す。
「零夜の言う通りね。私達もここで止まる理由には行きません!」
「アークスレイヤーの野望を打ち砕く為にも、死ぬ理由には行かへん!」
「私も皆となら戦う覚悟はできている。お姉さんに任せて!」
「私も零夜がいるからこそ、今がある。彼となら大丈夫だから!」
ミミ達の決意にソニアも自身の胸に手を当て、エムールの方を向く。
「アタイも戦う覚悟はできている。皆となら大丈夫だから!」
ソニアの決意にアミリスも頷き、エムールの方を向く。
「お祖父ちゃん。私達はここで止まらない。皆は一つとなってアークスレイヤーを倒そうとしている。私も皆と一緒なら大丈夫だから!」
「そうか。となると……お主達には技を伝授する必要があるな。7人しかできない最強の技を……」
「「「最強の技!?」」」
エムールの提案にミミ達は一斉に彼に視線を移す。
「ベルセルクは2日後にこの森に向かってくる。その間に最強の技を完全に叩き込むのから、覚悟しておくように!」
「「「はい!」」」
「うむ。今日はここまで。ゆっくり休みなさい」
エムールは零夜達の本気に頷き、今日はここでお開きとなった。
(皆、決意を固めているんだね。僕も頑張らないと!)
この様子を見ていたモニカも決意を固め、与えられた部屋へと向かい出した。
※
その日の夕方、零夜はベンチに座っていて、夕日を見上げながらベルセルクの事を考えていた。
(ベルセルクは手強い相手……今の俺の実力では勝てはしない……けど、皆の力で立ち向かったとしても、勝てるかだが……あの時は勢いよく言ってしまったからな……)
零夜がため息をついたその時、アミリスが隣に座る。
「アミリス」
「零夜、本当は無理していたんだよね?」
「ああ……俺は皆がベルセルクにやられて死んでしまうのが怖いし、何よりもアークスレイヤーによる侵略を止めるのにプレッシャーを感じている……」
零夜の話にアミリスは静かに聞いていて、その後ろではミミ達がこっそりと聞いていた。
「俺はそんなに強くなんかない!プロレスラーになる為に努力をしていたのに、まさかこんな展開になるとは思わなかった!」
「零夜……」
「俺が本当に選ばれし戦士なんかで良かったのか……今でも疑問に思っているんだ……」
零夜は身体を震わせながら弱気を見せる中、アミリスは彼の肩を叩く。
「そんな事ないわ」
「アミリス……」
「零夜はいつも皆の為に行動しているし、今回の件だって不安になる私達を励ます為に自ら決意したじゃない。私はそれがとても嬉しかったわ」
アミリスは笑顔を見せたと同時に、零夜の手を握る。
「あなたは私達のリーダーとして相応しいし、あなたが不安になると皆も不安になる。だから弱気を見せないで、皆を引っ張って欲しい。それが私達からの願いよ」
「アミリス……ん?私達?」
零夜が疑問に思ったその時、ミミ達が零夜の前に移動してきた。
「聞いていたのですか!?」
「うん。零夜にこの様な一面があるとは驚いたからね。ミミちゃんから話は聞いたから」
「まあ、バレるのも無理ないな……」
倫子の説明に零夜が苦笑いする中、ミミが彼に近付く。
「零夜は皆の為に戦うのはいいけど、無茶はし過ぎよ!」
「あだっ!」
ミミは零夜の額にデコピンした後、彼に抱き着く。
「その為にも私達がいるじゃない。ピンチの時こそ仲間が必要よ!」
「ミミ姉……」
更に倫子とヒカリも零夜に抱き着く。
「私も零夜君がいるからこそ、ここまで来れた。だからこそ、私達も支える覚悟だから」
「ベルセルクやどんな敵が来ても、私達ならやれる。零夜君がいなかったら今の私達はいないからね」
「倫子さん、ヒカリさん……」
エヴァとソニアも零夜に抱き着き、エヴァに至っては彼の頭を撫でる。
「私も零夜がいたからこそ、故郷を守り切る事ができた。それにあなたの事を好きになれたの」
「アタイもこのチームに入って良かったと思っている。こんなに大切な仲間は二度と無いからな」
「エヴァ……ソニア……」
零夜は口元を吊り上げ、すぐに前を向く。
「ここで止まっているなんて俺らしくないな。だったらやるべき事は一つ」
「ベルセルクを倒し、アークスレイヤーを壊滅させる。それが私達のやるべき事!」
「その通りだ!俺達ならどんな困難でも乗り越える!今はベルセルクを倒して、ヒューラーの野望を終わらせるぞ!」
「「「おう!!」」」
零夜の宣言にミミ達は拳を上げて応え、この様子をトラマツとノースマンはこっそりと見ていた。
「零夜……お前は一人じゃない。こんなにも仲間がいるからこそ、今のお前がいるんだ」
「勿論俺とトラマツもだが、参加しなくていいのか?」
ノースマンの質問にトラマツは首を横に振る。
「参加したらパニックになるから止めておくよ。抱き締められるのは御免だからね」
「すっかりトラウマだな……」
トラマツは冷や汗を流しながら拒否していて、ノースマンは苦笑いをするしか無かった。
※
その頃、エルフの森に瑠璃香とエミリーが入ってくる。その後に可愛らしい妖精が追いかけて来た。
「アン、遅いじゃない」
「もう!瑠璃香とエミリーは行動が早過ぎるわよ!」
瑠璃香は苦笑いするが、アンと呼ばれた緑の髪の妖精は頬を膨らましていた。
「ここにドワーフのモニカがいるって聞いたけど、大丈夫なのかな?」
「エルフの森はかなり厳重だからね。余所者は入れないという決まりとなっているし……」
「クラルーラの洞穴ではモンスター達に襲われなかったから大丈夫だったけど……」
3人が話し合いをする中、木のベランダの上から倫子が覗き込む。
「ん?瑠璃香!?」
「あっ!倫子じゃない!まさかアンタもここに来るなんて……」
すると騒ぎを聞きつけ、零夜達は勿論、モニカ、トラマツ、ノースマンも駆け付けてくる。
「あっ!この人、女子レスラーの津村瑠璃香だ!」
「知っているの!?」
「別団体だけど、アメリカの団体「ワールドバトルリング」の現女子王者なの!」
「「「ええっ!?」」」
零夜と倫子の説明に皆が驚きを隠せず、二人は顔を見合わせる。
「飛んだ展開となりましたね……」
「まさかこんな事になるなんて……ハハハ……」
零夜と倫子は苦笑いするしかなく、瑠璃香も頬を掻きながら苦笑いするしか無かった。
ベルセルクを倒す決断をしましたが、倫子と瑠璃香の再会に予想外の驚きの展開となりました。
因みに倫子と瑠璃香は良きライバル関係です!




