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Sevens Heroes〜選ばれし7人の戦士達〜  作者: 蒼月丸
第一章 運命を切り開く戦士達
13/32

怪物との戦いの記憶(前編)

今回は過去話ですが、前後編に分かれます。

 零夜達はアミリスとエムールの家に入り、それぞれの椅子に座り始める。


「全員入ったな。お茶については既に用意しておるぞ」

「へ?いつの間にですか!?」


 零夜達が目の前の方を見ると、なんと彼等の前にお茶の入ったグラスが用意されていた。


「すいません、わざわざ」

「気にするな。アミリスよ、お前もメディアによる選ばれし戦士の一人だとは驚いた。わしの孫娘として誇りに思うぞ」

「うん……大した事じゃないし、未熟な部分もあるからね。まだまだこれから頑張らないと!」


 アミリスは力こぶを見せながら笑顔で決意を固め、エムールもコクリと頷く。


「さて、本題じゃ。わしは数十年前にあの怪物と戦った事がある。あれは正に死闘というべきじゃったな」

「死闘?エムール様が苦戦されたのですか?」

「うむ。その事について話すとしよう」


 エムールはそのまま零夜達にその時の事を話し始めた。



 数十年前、わしは当時、長老であるマスルの補佐として働いていた。その時は髪も黒くてモテまくりだったのう……


「エムール様、お疲れ様です!」


 いつもの様に部下である女性がわしの元に駆け付けて一礼をしたからな。


「おお。調子はどうかな?」

「はい!大丈夫です!では、仕事に戻ります」

(元気そうで何よりだな)


 女性は笑顔で仕事に戻り、わしはうんうんと頷いていた。

 すると部下であるモスラーが駆け付けてきた。


「エムール様、畑の調子ですが、現在は良好です」

「そうか。他の所に異常はないかね?」

「特にはないですが、新たな作物を出して欲しいとの要望があります」

「なるほど。確か新しい野菜があると聞いていたな。それを埋めたらどうだ?」

「デカカボチャですね。早速伝えます!」


 モスラーはそのまま畑の方に向かい出し、わしは空の天気を見上げる。


「今日も異常なし。このまま平和で行きたい物だ」


 わしはこのエルフの森が平和で行きたい。そう思っていたが、とある事件が起きてしまった……



 エルフの森から離れた砂漠。そこにある隠れ家では一人の魔術師がとあるモンスターを製造しておった。


「ヒヒヒ……これさえあれば……後はバッチリだ。俺をコケにした仲間に復讐する為にも……必ず成功してみせる!」


 魔術師は一滴の血を壺釜の中に入れたその時、壺釜の中からモンスターが姿を現した。

 それは頭に悪魔の角が2本生えていて、背中には悪魔の羽、顔は人間、身体は雪男で、長い尻尾が生えていた。


「完成したぞ!これぞ破壊のモンスター、ベルセルクだ!」

「グオオオオオ!!」


 ベルセルクは咆哮を上げて胸を叩きながらドラミングをしていた。まるでゴリラ其の物じゃが、この時のわし等は彼が誕生した事を知らなかった……



 それから数日後、わしはモスラーと共に果樹園に向かい、作物の状況を確認していた。


「今年もバッチリだな」

「ええ。今回も豊作ですが、桃については大量に生産してしまいまして……」

「こんなにも生産するとは予想外だな……」


 果樹園の園長が大量の桃を指差し、圧倒的な量にわし等は唖然としてしまう。


「仕方があるまい。フリューキンに送るとしよう……」

「そう言えば、エムール様は魔術協会の会長であるフリューキン様と知り合いでしたね。確か魔術学院の同級生だとか」

「ああ。彼は今頃どうしているのか……」


 わしが空を見上げたその時、何処からか音楽が聞こえる。その音楽にわしは不快感を覚えてしまう。


「この音楽……奴だな!」


 わしは音楽のした方を見ると、ふんどしを履いた馬鹿な中年男が踊りながら歩いていた。

 そいつは筋肉質で高身長なのに、ふんどし踊りの伝承者であるフリーマンじゃ。


「フリーマン!何をしている!」

「おお、エムールか。私はふんどし踊りを広める為、いつも踊っているのだが……」

「お前な!不老不死のアンデッドになったからとは言え、この踊りを広める為に世界中を回っているみたいだが、そんな踊りが広まればアホンダラが続出するぞ!どう責任を取るつもりだ!」


 わしは正当な理由でフリーマンにツッコミを入れ、モスラーもため息を付く。


「何をいうか!ふんどし踊りが終われば、一種の文化が損失してしまう!だからこそ私の手で広めるのだ!」

「止めろ!それはマジで止めろ!」


 わしが本気でフリーマンの馬鹿な野望を本気で殴り飛ばしながらでも止めようとしたその時、ねじり鉢巻で赤褌の男がダッシュで駆けつけてきた。


「てぇへんだ、てぇへんだ!緊急事態でーい!」

「飛脚のタメゾウ!何があったんだ!?」


 タメゾウは荷物や情報をお届けする光速の飛脚と言われておった。今は死んでおるが、息子であるタメキチが跡を継いでおる。

 タメゾウは到着したと同時に、息を一つも切らさずにわし等の方を向く。


「魔術協会で事故が起こりやがった!モンスターによる襲撃で多くが亡くなってしまったんでい!」

「なんだと!?」


 タメゾウからの報告にわし等は驚きを隠せず、すぐに顔を見合わせる。


「大変な事になってしまったか!すぐに魔術協会に向かうぞ!」

「はい!」

「私も向かうぞ!」

「「アンタもか!」」

「オイラも行くでい!」


 わしとモスラー、フリーマン、タメゾウはそのまま魔術協会へ向かい出した。友人であるフリューキンのピンチには黙っておられなかったのも無理ないからな……



 空を飛びながら魔術協会の場所に辿り着くと、そこは既に瓦礫となっていて、多くの遺体が転がっていた。

 あまりにも酷い光景としか言えず、20人以上は亡くなっている。あの時の光景は今でも覚えているからのう……


「酷い有様ですね」

「ああ。酷いとしか言えないが、フリューキンは何処だ?」


 わしはフリューキンを探しに駆け出そうとしたその時、紫色の髪の男性が駆け付けてきた。彼こそフリューキンであり、当時の魔術協会会長じゃ。今はもう亡くなっておるが……


「フリューキン、無事だったか!」

「ああ。だが、多くの仲間と部下が死んでしまった……」


 フリューキンが俯く中、モスラーは遺体に近づいて原因を調べ始める。


「分かりました!どうやら一人の魔術師によって産み出されたモンスターの仕業です!名前はベルセルクと……」

「魔術師……まさか異端者であるハルベルトの仕業なのか!?」


 フリューキンの叫びにわしは彼の方に視線を移す。


「となると……これは早急に緊急会議だな」

「ああ。やむを得ないが、すぐに多くの種族を集めるぞ!」

「伝言はオイラに任せな!」


 タメゾウは光の速さで多くの種族達に情報を伝え、わし等はすぐに会場を借り始めた。



 それから翌日、多くの種族達が集まる緊急会議が開かれ、議長であるリスマーが木槌を鳴らす。


「静粛に。では、これより緊急会議を始める」


 リスマーの宣言で会議が始まり、わし等は静かに清聴する。


「昨日、ベルセルクというモンスターが襲い掛かり、多くの魔術師達が亡くなられた。そのモンスターを出した元凶は異端者のハルベルトだ」


 リスマーの説明に多くが驚く中、シルバーウルフ族の女性が手を挙げる。


「その事についてですが、ハルベルトは確か宗教団体「宗明」のリーダーを務めています。確か世界を新たに作り変えようとしていると」

「恐らくベルセルクを作られたのもこれが原因だ。何としてでもあの怪物を止められなければ、勝てる見込みはない」


 リスマーが説明した直後、一人のドワーフが手を挙げる。


「方法ならある。選ばれし7人で立ち向かえばあの怪物を倒せる事は可能だ。彼等が力を合わせれば勝てる筈だ」

「なるほど。では、ベルセルクと戦う意志のある者は前に出てくれ」


 リスマーの合図と同時に、わしとフリューキンは勿論参加する事を決意。他には提案していたドワーフ族のカジモク、シルバーウルフ族のロリアン、ブルーキャット族のミンミン、吸血鬼のアルク、そして変態のフリーマンも参加していた。


「では、ベルセルクと戦うメンバーはこの様になる。残りはハルベルト率いる宗明のアジトに突入し、一人残らず倒す様に!では、解散!」

「「「おう!」」」


 参加しなかったメンバーは机に足を置いてヤクザの様な合図で応えた。ここは任侠ヤクザではないのだが……まあ、良いとするか。



「話の途中、ちょっといいですか?」


 エムールの話の途中、ヒカリが手を挙げる。


「なんじゃ?」

「色々ツッコみたい事はあるのですが……フリーマンって、アンデッドですよね。彼は今もふんどし踊りを広めているのですか?」


 ヒカリの質問にエムールはコクリと頷く。


「そうじゃ。奴は今、砂漠の都市であるムルマルで子供達にふんどし踊りを広めておる。奴は本気でふんどし踊りを世界中に広めるつもりじゃ。もし見つけたら、必ず止めてくれ。ラリウス全体がアホンダラになってしまう」


 エムールからの頼みにヒカリ達はゾッとしてしまい、中にはガタガタ震えている者までいた。


「アホンダラが増えるのは流石に勘弁かな……」

「私もそう思う……うん」


 ヒカリとアミリスの意見に皆は一斉に頷く。


「まあ、フリーマンの事は放っておいて、ロリアンというシルバーウルフの女性も参加していたのですか?」

「ああ。かなり勇敢で多くの物を持ち上げる力持ちじゃった。それに話は聞いたが、お前さんがロリアンの孫娘だとは驚いたのう」

「えっ!?エヴァがロリアンの孫娘!?」


 全員が一斉にエヴァの方を振り向き、彼女はコクリと頷く。


「うん。ロリアンお祖母ちゃんは私に色んな格闘技を教え、物を持ち上げる事も教えてくれた。でも、10年前に亡くなったけどね……」


 エヴァが俯く中、エムールは彼女を見つめる。


「いやいや。ロリアンは良い孫娘を残してくれた。彼女はきっとお前さんのこれからの活躍を望んでいるじゃろう」

「お祖父ちゃんの言う通りよ。元気出して」

「うん。ありがとう」


 エムールとアミリスの励ましにエヴァは笑顔で応える。


「さて、話の続きに入ろう」


 エムールはそのまま話の続きを始めた。



 わし等7人はベルセルクを倒す方法を考えながら色々話をしていたが、カジモクがある提案をする。


「ベルセルクは頭に悪魔の角が2本生えていて、背中には悪魔の羽、顔は人間、身体は雪男で、長い尻尾となっている。ここはある部分を結合崩壊し、状態異常にすれば勝てるのではないか?」

「なるほど。確かにそれなら勝てるが、後はどの様に対策するかだな」

「そうですね。私の破壊の拳なら倒せます!」


 ロリアンは腕を鳴らしながら、ベルセルクを倒そうとしている。彼女は当時破壊の一撃と力持ちである為、頼りになる存在じゃった。


「後は弱体化だ。それについては……」

「私がやろう!」


 フリーマンが手を上げて宣言するが、わしはすかさず彼の方を向いて制止する。


「お前がやったらふんどし踊りで皆、馬鹿になりそうで怖いだろ。少しは自重しろ!」

「私のふんどし踊りにケチを付けるのか?」

「ケチどころかアホンダラ続出するに決まっているだろ!少しは自重しろってんだよ!」


 わしは精一杯叫んだ後、肩で呼吸を整える。本当に奴と絡むと碌な事にならんわい。


「まあまあ。落ち着いてください。フリーマンさんの踊りは敵の能力を全て下げるだけでなく、状態異常も付けられるのですよ」


 アルクの説明にミンミン達は納得の表情をする。


「それなら大丈夫ね。エムールさん、フリーマンさんを信じてみたらどうですか?」

「ミンミンまでもか!?うむ……仕方がない。やってみるとするか……」


 わしは仕方がなくミンミンの説得に応じるしかなく、この作戦で行くしかなかった。言われてみればフリーマンは頼りになる部分もあるが、あれさえなければ……ハァ……



 それから数日後、作戦決行の日が行われる事になり、わし等以外の多くの戦士達は宗明の本拠地へと突入、残りは防衛戦を張る事になった。


「作戦については分かっているな?」

「言われなくてもそのつもりだ。それよりもフリーマンが何を仕出かすのか心配だ……」

「分かる分かる……」


 わしのため息にリスマーもため息を付く。フリーマンのふんどし踊りによってアホンダラが続出しないか心配じゃからな……


「もし、このふんどし踊りがラリウスだけでなく、異世界にまでも広まったら、馬鹿共が続出して大パニックになるのは間違いない。戦力としてはありだが……」

「あのふんどし踊りさえ無ければ……」


 リスマーとわしはお互い涙を流しながら落ち込み、フリーマンがわし等に近付いて来る。


「何を泣いているのかね?」

「アンタの踊りで馬鹿になる奴が続出しないか心配だよ!」

「さっさとその踊りだけはすぐに終わらせてくれ!」


 わし等はフリーマンに向かって叫んだが、彼は首を横に振る。


「何を言うか!ふんどし踊りこそ……」

「もうええわ!ともかくさっさと行くぞ!」


 わしはフリーマンの手を引っ張り、ロリアン達と共にベルセルクの討伐へと向かい出した。


「頼んだぞ、エムール!」


 リスマーはわしに対してエールを送り、自陣の元へと向かい出した。それと同時に……戦いが始まりを告げられたのじゃった……

話の結末は次回の後編で明らかになります!ご期待ください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] エルフの里の人たちは昔一度ベルセルクと戦っていたんですね。 戦いの結末はどうだったのか。 フリーマンがどうなったのか気になります。 [一言] 後編も楽しみにしています。
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