可愛いクソラノベ作家
1日が経ち、ギリギリで廃部を免れた。
いやーでもちょっと強引すぎたかな。
このご時世だからちょっと心配だな。
パワハラだななんだの言われたら困るよ。
そんな考え事をしていると
コンコンコン
「こ、こんにちは」
マヨミがさっそく来たようだ。
とりあえず席に座ってもらい、簡単に部の説明をした。
とは言ってもこの部なんて毎年人がいないもんだから何すればいいかわからねぇー。
普段は読書や昼寝を嗜んでいるため、メニューや目標などは全然決まっていないのである。
故に説明が終わってしまうと、静寂の空気に包み込まれる。
この気まずい空気を押し切るには、なんとか話をする他ない。
「マヨミってペンネームだよな?」
「もちろんですよ。」
○○○を止めるなとか言う映画のように俺は意地でも話を止めない。
「本名はなんて言うんだ?」
「昨日言ったはずだったのですが聞いていなかったのですか?」
気まずぅぅぅぅ
昨日言ってたのかよ!俺最悪じゃねぇかよ!
「昨日は少し緊張しててな。もう一度教えてくれ」
なんと言う言い訳。
いや間違ってはいないけど。
「花宮アンナです」
「花宮か。よろしくな」
やばい。
もう話す内容がない。
俺もここまでか...
ガクッと倒れそうなところで
「ところで先輩の名前まだ聞いてなかったです。」
と彼女が問いかけてきた。
なんとか一命を取り留めた。
「あぁ俺か。俺は桐島ハルト。二年だ。」
「ハルト先輩ですか。よろしくお願いします」
なんだこいつ。
かわぃぃぃい!
微笑む彼女は千年に一人とか一万年に一人とか言われる方々が最近増えてきて、最近の女子は歴代最強なんじゃないかとか思っていたが、そんな方々とは比にならないほどのかわいさだった。
こんな可愛い子から「先輩」だなんて。
何かいけないような事をしている気分だ。
そんな事を考え、ポワポワしていると
いきなり強い口調で
「ところで先輩!このラノベのどこがダメか教えてください!」
彼女は机に身を乗り出して聞いてきた。
視線が勝手に胸元の方はいってしまうが、ここは先輩らしく
「何から何までダメだ。ラノベ舐めてんのか?」
いいぞ。先輩っぽいぞ!
「だから!具体的な内容聞いてるんですよ!」
さっきまで先輩らしかった俺もすっかり小さくなってしまった。
「いやぁーそのーえーっと」
「ちゃんと聞かせてください!私もっと上手くなりたいんです!」
俺はその言葉を聞いた瞬間立ち上がった。
「お前の小説は具体的な内容以前に本当にぜんぶだめなんだ!お前、もっと上手くなりたいと言ったな。」
この目標のなかったラノベ部に大きな目標ができた。
「この部活の目標は....発行部数1000万部だ!」
俺は自信と決意に満ちていた。
だが花宮は違ったようだ。
「え?先輩何言ってるんですか?先輩書くんですか?」
「いいやお前だ。マヨミが書くんだ」