理不尽な展開
私は後悔した。本当に後悔した。こんな村なんかに来なければよかったのだ。よりによって金品が全くない。安く買える薬草や聖水が無いという時点で気づくべきであった。本当に私は商才が無い。
しかも見返りが洗礼を受ける事??そんな事の為に私が子供の頃から欲しい物も我慢してお小遣いは将来お店を持ちたいという夢の為だけに全てを貯金に回してこれまで汗水流して仕事をしたお金、全財産をつぎ込み買ったアイテムが全て寄付するだけになってしまうとは。
神よ……私は何かよくない事でもしたのでしょうか……。ああ、何という事だ。
どうしたものか、しかし目の前にいるキラキラした二人の目を見ては何も言えなくなってしまった。
「ところで旅の方。あなた様はなんという名前なのでしょうか?」
「わ、私ですか?シュウと申します。あまりパッとしない名前ですが憶えやすと思います。気軽にシュウとお呼びください。」
「そ、そうですか。それではシュウ様。この村の教会にお越しください。牧師さんに会わせますので。」
……いつの間にか引き受ける事になっているし……。も、もう逃げられない。
そうして私は村の小さな教会に向かった。
山小屋のような教会に入った後、すぐ牧師が迎えてくれた。
長老が一通り説明してくれて牧師がなるほど……と言った顔をして私に話しかけて来た。
「ああ、神よ。感謝します、あなたがこの御方を遣わしこの村の助け人として任命してくれました。この奇跡に感謝してどうか神よ。この戦争が終わり私達に平和が訪れますように……。」
……
分かったよ。分かりました。私の全財産を全て寄付しますよ。ああ、これで明日から文無し貴族だ。なんか野宿するイメージが沸いて来る。駄目だ人生詰んだなこれ。
「それでは私は早速洗礼式の準備を致します。長老さん、あなたもこの村のささやかな宴会を開くようにしてください。村人たちを呼んでぜひ皆さんで神を分かち合いましょう!!」
「分かっております。牧師様。」
短い人生だった。こうなったらその「ささやかな」宴会でヤケ食いしてやるーーー。
こうして私の旅は終わりを告げた。