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緑の雨  作者: 二笠
深紅の人柱
56/97

055

 数時間後、全ての周辺遺跡を破壊したレオン達がゾアデにやってきた。作戦の第三段階が先に終わってしまったので彼らも拍子抜けのようだ。後ろの魔導師二人が青い顔をしてるが大丈夫か?


「それよりどうしたその青い光は」


 レオンが鎧を覆う光を舐めるように見た。


「仙気・・・か? ちと違えな? お前、今度は何したんだ?」


 ギルマスはニヤニヤと楽しげだ。


「ブラウの言っていた竜輝光ってやつかい? しかしなんでユーリがそれを・・・?」


 ブランママのいう通り多分それです。あの魔法の後遺症のようです。ブラウが以前に話してくれたことなのだが、ドラゴンの纏う仙気には上位のバージョンがあるらしい。ブラウも以前は使えたらしいのだけれど、自我を失うと同時に失われてしまった力なのだそうな。今は竜輝光を取り戻すために訓練している。


 その竜輝光の周囲への影響だけれど、聖騎士達は問題ないけれど、A級冒険者の魔導士二人は気を浴びてそのまま倒れてしまった。すまん。


 ステータスを見ると多少変化があった。


 ---------------------------------------------------

 ユリアネージュ(16歳:不変)

 種族:仙人

 レベル:313

 HP:512226

 MP:12098113

 状態:亜神化


 スキル:剣術LV10、縮地LV6、格闘術LV10、仙体術LV5、火魔法LV10、水魔法LV10、風魔法LV10,土魔法LV10、光魔法LV10、闇魔法LV10、元素魔法LV10、空間魔法LV3、刻印魔法LV10、封印魔法LV6、付与魔法LV10、錬金術LV7、回復魔法LV10、治癒魔法LV10、神癒魔法LV2、気力制御LV10、魔力制御LV10、仙気制御LV9、並列制御LV10、闘気制御LV10、気配察知LV10、高速反応LV10、魔気合一LV2、HP高速回復LV2、MP高速回復LV10、真実の瞳、フリキア言語LV9


 称号:仙人、聖女、ワールドルーラー、竜機人の創造者、神技の体現者

 ---------------------------------------------------


 なんだ亜神化って。治るのかなこれ・・・。


「ユーリはここに残ったほうが良いんじゃないかい? このまま首都に攻め込んでも・・・・・」


「かもなぁ、悪目立ちするぜ! あとは本土から騎士が送られてくんだろう? 俺たちは同行して、おめえは帰んな。その人形だけここの領主館に置いてったら良いだろう」


 結局、私は邪魔になりそうなのでそこで本体に戻った。部隊移動用にゲートをゾアデに設置し、騎士駐屯所らしき場所に軍隊を召喚。そのまま公国の首都まで攻め込んでいった。


 彼らを見送って王城の寝室で寝ている本体に戻ると、周辺のメイドが気絶していた。やべえ。本体も青い! これ生活出来ないぞ! 早く何とかしなければ!


 闇魔法で妙な気を抑えようと見た目を隠したり、全身を気で覆ってみたりしたが、周囲の闇を突き破って光を発するので、結局その日は寝室から出られなかった。ゴーレムを操っても、そのゴーレムが気を発するので、紙に事情を書いて陛下に渡しておいた。風魔法を使ってな!



 ◇◇



 その翌日。大会議場は随分と人が減っていた。


「既に知っての通り、敵拠点ゾアデを制圧し、魔物の発生源を破壊済みだ。レオンを大将として公国の首都フランバルダルに進軍を続けている。既に複数都市を攻め落とし、王都に直進していると報告が上がった。我々はこのまま後方支援と戦後処理の事前準備に入る。まだまだ戦時中だ。・・・ぬかるなよ」


 威勢のいい返事を全員が返し、緊急の対応が必要な者だけ退出していく。


「ユリア、体調はどうだ」


「ご心配をおかけしました事をお詫び申し上げます。症状は治まりましたが、今後は神癒魔法の使用を控えたいと思います」


 他の魔法を使っても同様の事になるかは未検証だ。あの改良式聖女魔法が原因なんだろうけれど、一番の理由はキリシアの名前を組み込んだ事っぽいんだよなぁ。


「ふむ・・・で、何が原因で起きたのかは分からぬのか?」


「聖女の魔法を使用しました」


 ほう、と陛下が反応して残った側近たちも騒然となった。当たり前か。伝説的な魔法だし。陛下も気になるようだ。


「ではそなたは聖女となったのか?」


「自分で鑑定石を使用した所、称号の所にそのような表示が現れました」


「聖女と?」


「はい」


 おぉぉぉ!? とオッサン達が盛り上がる。いやまて、このままだと戦争の大義名分にされないか? 早まったか?


「しかし、聖女の体が光り輝いたとは、どの文献にも無いが?」


「恐らく聖女や聖者の使う魔法を改変したのが原因でしょう。発動に必要な詠唱式に女神キリシアの名を刻みましたので、それが原因だと考えられます」


「なんと」


 恐れ多い事を・・・と周囲から突っ込まれた。後になって分かったけれど、詠唱式や魔法陣にキリシアの名を刻むのは神の威光を笠に着る行為なので、褒められた事では無いらしい。それというのも、発動できなくなるからであって、発動できない原因が神の怒りに触れたからと解釈されるとか。


「そなたはそれを発動できたのか?」


「はい。魔力はごっそりと持っていかれましたが」


 ガタッと例の王宮筆頭魔導士兼魔術師隊長の老魔導士が立ち上がった。顔が怖い。


「おんしの魔力はいかほどあるのだ?」


「今は・・・1200万程ですね」


 あ、顎が外れた。今、コキャって言ったぞ。誰か! 彼の顎を! 顎を入れて差し上げて!


 陛下が目をひん剥いて顔を寄せてくる。だから怖いって。真似しないで良いから。


「女神の名を使った魔法でどの程度の魔力を要したのだ?」


 発動に100万、その後の継続消費で・・・えーっと減った分を逆算すると、だ。


「およそ八百万」


 ぶつぶつと周囲が計算し始めた。魔賢師級が1000人必要だとか、ゲートの魔石を流用できるのでないかとか言っているけれど、スキルが無いとそもそも発動できませんからね。そこんとこお忘れなく。まぁ、それよりも・・・。


「さて陛下・・・私はそろそろ休ませて頂いても構いませんか? お腹の子を優先させたいのですが?」


「おぉ、そうであったな。済まない事をした。此度の件は本当に感謝する。戦争が終わったら色々と褒美を出そう。期待していると良い」


「それは良い事を聞きました。それでは皆様、先に休ませていただきますね」


「うむ」


 退出の際に色々と礼を言われたが、それと同じくらい畏敬の念を感じた。大軍を一人で打ち払える聖女か。また妙な事に駆り出されなければ良いなと思いながら、幼い息子を抱きしめた。


「アルセウス。あなたももう2歳になったのね」


「あぃ!」


 はい、可愛い。

 ぎゅーっとしちゃおう。


 あぁ~・・・これだよ。私、ちゃんと母親しよう。もう戦争なんて終わるのだし。アルセウスとお腹の子を優先しよう。冒険は・・・時々で良いかな。



 ◇◇



 朝起きて、布団の中にアルセウスが、息子が居る事を確認する。おぉ・・・暖かい。息子よ、ママは幸せだぞ。


 そんな事を感じながら額の髪を分けてあげると、うぅんと息子がむずかる。


「アル~、あさでしゅよ~」


 むちゅっと額にキスをすると、ふぁ~っと小さな口を開いて欠伸をした。ああ可愛い。とっくの昔に、夜泣きはしなくなった。良い子良い子。


 寝起きのイチャイチャタイムを過ごしているとメイドが来た。こうしてお城で生活しているけれど、たまには実家のお父さんに息子の顔を見せに行ってみるかな。


「おはようございます、ユリア様、アルセウス様。お食事のご用意を致しますが、お持ちしますか?」


「ううん、陛下たちと食べるから良いよ」


「かしこまりました」


 息子を着替えさせて濡れタオルで息子の顔を拭き、私の顔も拭く。歯磨きをしながら息子の口の中も私の指でクニクニと磨く。


「っぷぁぅ、きゃぅ」


「ほれほれ」


「きゃはぅ」


 あぁ可愛い。


 はい、お水を口に含んでだばーっ。含んでだばーっ。はいキレイキレイ。

 自分も口をゆすいで食堂に来ると、既に陛下たちが来ていた。

 いつの間にかアナ姫の婚約者も同席する事が多くなった。つまり昨夜はお楽しみでしたねの結果だ。そういうことだ。


「おはようございます」


「はよごじゃましゅ」


「うむ、おはよう」


「おはよう」


 陛下と王妃様は朝から凛々しい。素敵な夫婦である。


「おはようございます!」


 アナ姫の旦那さんはまだ緊張が取れないようだ。私、何かしたっけか?


「おはよう~」


 アナ姫はまだ眠そうだ。起こしてあげよう。


「アナ様、そろそろ、御子を授かりそうですか?」


「んぁっ!?」


 起きた起きた。


「おはようございます♪」


「もうっ」


 もきゅもきゅとサラダを食べながら息子の離乳食を食べさせる。


「あ~ん」


「ぁ~」


 んむっ、とスプーンを咥えさせた。メイドさんがオロオロしている。私が自分でやると言っているのでどうしようか困らせているのだ。すまんがここは幸せタイム中なのでな! 君たちは下がり給え!


「ユリアさん私もやりたい~」


 目の前の席から歩いて来たアナ姫が、意味の分からない催促をしてくる。


「だめ」


「えっ」


 え? 良い分けないだろ。


「だめ」


「あっハイ」


 満面の笑みで強引に突き放すと、アナ姫はスゴスゴと下がっていった。私の天使を奪うというのか。良い度胸じゃないかアナスタシアぁ・・・。


「私の至福の時間を奪わないでください」


「ごめんなさい・・・」


 クスクスと王妃様が笑ってらっしゃる。お母様も共感できたようだ。

 はいアルもあ~ん。


「ぁ~、んむ」


 むぐむぐ、ハイ可愛い~~。

 あぁ~、この時間を独り占めできる母親って贅沢だわ。


 これまでも何度も妹弟の世話をしてきたけど、自分の子は別格だわ・・・。そういえばブランママはご飯の時だけ一番下の子を離さなかったな。手伝う? と聞いても無反応だったし。あれは、こういう事だったのか。


「という事があってね。お母さんの気持ちが良く分かった」


 私は今、通信兵にお願いしてブランと連絡を取っている。


「あっはっはは! そうだね、そんな事もあったね。あたしも大人げないって感じてたのを思い出したよ。あ~なつかし」


「そっちはどう?」


「もうそろそろ首都に攻めるよ。冒険者連合があたしが思ってたよりも強くてね。殆ど出番が無いよ。あたしが出る位なら自分が出るってハゲが前線に行くから、後ろの守りが無くなっちゃってね・・・柄にもない気の使われ方をされてる気分だよ」


 なるほど、自分の戦場で死ぬって言う欲もあるんだろうけれど、あの人なりに弟子を想っての行動だろうな。


「弟子想いの良い師匠でしょ」


「馬鹿言ってんじゃないよ!」


 はははと笑いながら通信を終えた。行軍中の通信内容じゃないな。すまん通信兵。ありがとう。あ、レオンは居なかったのでまた今度にしときます。伝言頼んどいたし問題ありませんな。


「あぃ!」


「ん~! そうね、そろそろお昼ご飯だね~」


「あぅぅ!」


 こらこらオッパイをモイモイするな。ごっはん~、ごっはん~。


 食堂に戻るとメイドが給仕をしてくれる。陛下だけ居ないのは仕事中だからだろう。まぁ、戦争中だし、各方面に向けての準備も要るだろうからね。私は私の仕事をしたので、もうお休みですよっと。


「ぁ~、んむ」


「はい、ごちそうさま~」


「いそしゃま~」


 うん、言えてないけどナデナデ。


「ユリアさんは本当に楽しそうに子育てをするのねぇ」


 王妃様が感心したように私達を愛でる。


「これが日常でしたから。それに・・・帰って来たなぁって感じもします」


「妹さん達が幸せでしたでしょうね」


「う~ん・・・好かれてましたけれど、結構鍛えましたから、厳しすぎたかなとは、少し思いますね・・・妹にはそれで一時期嫌われましたし」


「あら、どんなことを?」


 なんだったかなぁ。


「え~っと・・・剣の稽古で、お母さんと弟の様子を見ながら妹の相手をして、ねーね!ちゃんと相手して!って怒られましたね」


「うふふふ! 構ってもらえないと思ってたのかしらね。弟に嫉妬していたのかもしれませんよ」


「実際嫉妬してたんだと思います。それで妹に構うと、今度は弟が群がってきて・・・なのにあの子たちは仲が良いんですよねぇ。私だけ大変な気がしてましたよ?」


「年長者だけが悩める特権のようなものですよ。アルも下の子たちが産まれたら、似たような気苦労をするでしょうね」


 チラッとお母様がモリモリ食事中のアナ姫を見ると、赤い顔をした天然娘は俯いてしまった。こうご期待ですね!


「最初はどちらでしょうね」


「お婆ちゃんとしては男の子が良いわね。その後、女の子かしら?」


 じゃあ私の子はご希望通りになりますよ、ッと危ない、アルのスプーンが落下寸前だったぜ。


「はい、落とさないように気を付けなさい」


「ぁぃ」


 あむあむと食事に戻ったアルが完食する。デザートは私と同量食べる。食い過ぎでは・・・。この子も大きくなったもんだ。そう思ってスタータスを覗いてみた。


 ---------------------------------------------------

 アルセウス=バエス=エステラード(2歳)

 種族:素人

 レベル:1

 HP:660

 MP:721

 状態:通常


 スキル:気力制御LV5、魔力制御LV5、並列制御LV4、気配察知LV2、翻訳、フリキア言語LV3


 称号:超界者

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 普通じゃないけど普通だな。因みにアルは鑑定士が鑑定済みなので、「やべえこいつ!反応」は既に周囲から頂いている。さすが私の子という評価だった。


 レオンは「3代揃って天才か・・・」と、高評価を頂きましたマル!


「天才故にご飯もいっぱい必要なのかもしれませんね?」


「あはは・・・」


 そういえば私もいっぱい食べたなぁ。足りない分をせっせと稼いで買って、狩って、食いまくった覚えがある。お陰でブランも苦笑いだったな。


「そう考えると、私の商売の原動力は食欲だったのか・・・」


「そうなの?」


 うん。今のアナ姫みたいにね。


「アナ様も今は同じに見えます」


「ちょっと、それは聞き捨てならないわ!」


「いっぱい食べるのは良い事ですよ。お腹の子に良いですからね」


「えっ」


 あなたもう妊娠してますからね。


「一度、鑑定か診察を受ける事をお勧めします」


「うそっ、本当に!?」


「是非」


 きゃー!と歓喜の舞をしてその後、お母様に叱られるアナ姫。やっぱ天然だなぁ。


 そんな日常に戻って、戦争中の国家の王城で日々を過ごした。


 季節は夏を過ぎ、お腹が大きくなるころには秋を超えて冬がくる。


 そして私は二人目を出産した。


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